宮城全労協ニュース/第78号(電子版)/2006年4月13日

「日本人よ、『格差』を恐れるな!」と竹中総務大臣
小泉首相、竹中大臣らの現実隠しと居直りを許すな!


<本号の内容>
★フランスで反動的雇用契約の導入を阻止!
★電通労組、フランスSUD−PTTに連帯メッセージ!

★宮城労働局と春闘交渉(4月12日)
こんな「労働契約法」はいらない!


フランスの学生・労働者の勝利!雇用新制度の撤回を勝ちとる!

新新雇用制度に反対するフランスの学生と労働者の闘争は勝利した。2月以降、闘いは全国に波及し、数波にわたるデモは数百万規模に拡大していった。学生連盟は各地の過半の大学でストライキを継続し、労働組合のストライキがこれに合流した。学生組織と労働組合は共通の目標達成のために協議を重ね、地域社会への説得活動を展開し、世論の多数の支持を得ていった。与党陣営に亀裂に入り、シラク大統領も自己保身に走った。こうして、強硬突破をねらったドビルパン首相はついに敗北を認め、新制度を撤回した。

4月10日の大統領声明に対して学生連盟と各労働団体は勝利を宣言し、予定されていたデモを中止した。学生連盟は、新雇用制度の撤回は第一の勝利であり、新たな法律の内容を見極めて次の闘争展開を準備する、と声明した。
                                  
闘いには数多くの「新しい若者たち」が参加した。学生たちの多数は自分たちの目前の雇用と労働の危機に対して、労働組合と連携しながら政府と対決する道を選んだ。新自由主義グローバリゼーションに反対するフランスでの持続的で社会的な活動が、この闘いの背景にあった。そのような下地と主張の社会性がストライキ・デモ闘争の大義を支えた。失業や社会保障に対して、フランスの労働運動、学生運動、社会運動がどのような挑戦を続けるか、私たちは今後も注目し、連帯していく。


<「中国の労働者と競争するフランスの労働者」!>

日本のメディアは総じて、問題はフランスの「硬直した雇用制度」にあると主張した。フランス政府は「失敗」したが、小泉改革は「成功」した。「フランスの混乱」は、日本の小泉改革の正しさを再確認する学習である。なぜなら、グローバル化の世の中にあって、「労働市場の弾力化」は不可避なのだから、というわけだ。

「フランスの労働者は結局、月1万円で深夜まで働く中国の工員たちと競争するはめになった」、という報道があった(朝日新聞/4月11日)。「市場原理」によって、フランスの「一度雇ったら解雇しにくい現行制度」や「働く者に優しい仕組み」が「グローバル化で再考を迫られる」。この主張によれば、フランスの学生や労働者の要求は、「既得権の防衛」のために「改革」を妨害する「保守的」な行為になる。これはまさに、小泉改革に乗ってメディアが繰り返した「抵抗勢力批判」と同一だ。
       
問われているのは逆である。新自由主義グローバリズムこそが問題なのだ。その見直しを求める民衆の声が、反戦の要求とあいまって、南米をはじめ世界に拡大している。これが「もう一つの世界」である。「雇用の弾力化」とか「流動化」「規制緩和」などは新自由主義の言葉であり、それを当たり前のこと、仕方のないことして受け入れるのなら、日本で「格差問題」を問うことなどできるはずがない。フランスの勝利は、新自由主義グローバリズムに反対し、「もう一つの世界は可能だ」とする世界的な労働者民衆運動の勝利である。


<「理由なき解雇」によって雇用が増大する!>

新雇用制度は<試用期間内の理由なき解雇>を経営側に認めるという内容だ。これは小泉首相の就任直後の政策と共通する。小泉首相は、企業が解雇をしやすくすれば雇用が増えると説明した。企業は政府のお墨付きを得て、リストラ攻撃を全面化させた。「雇用の流動化」「労働市場の規制緩和」によって、労働者を大量に解雇し、不安定・低賃金の非正規雇用に置き換えていった。

竹中総務大臣は格差問題での質問に対して、「(セーフティネットなど)不十分な点はあると思う。しかし規制改革のおかげで(雇用が生まれて)就職でき、所得は低くてもゼロではない人がたくさん出てきた」(毎日新聞4月4日)と答えた。これが彼らの言う「雇用の改善」だ。しかし、高校生は就職後3年以内に半数が離職している。事実上の「理由なき解雇」が経営側によって強行され、「ニート化」が進み、他方、「コンビニ雇用」「マクドナルド雇用」がますます増大している。竹中発言はあまりに軽薄であり、意図的であり、決して許されるものではない。


<フランスの街頭政治!>

「フランスの街頭政治」への批判が一部メディアで強調された。つまるところ、労働者や学生たちのストライキやデモに対する嫌悪感である。それは、日本のメディアが、とくに初期において、この闘争が一部の破壊活動に扇動されているという印象を与えようとしたことと無関係ではないだろう。しかし、闘争の発展にともなってそのような歪曲は通じなくなり、労働者・学生の要求は雇用改善にならないという主張に変じていったのではないだろうか。

「フランスの街頭政治」を批判する論者たちは、「政治のエリート主義」に毒されている。労働者民衆の異議申し立てや抵抗権は当然のことである。政府が、ストやデモに立ち上がった労働者や学生の代表と話し合うことは当然のことである。このような<日本ではなくなってしまった光景>が、世界中にあふれている。政治は政治エリートの独占物ではないのだ。

日本ではどうか。この間、規制改革会議や経済財政試問会議などという場で、「国民各層の利害調整」という形式さえとらずに、政策大綱が決定され、さらに市場化テストのような個別事項が検討されてきた。いったい、どちらが民主主義なのか。

昨夏、「郵政民営化法案」が自民党内反対派によって否決された。直後の小泉首相の解散・総選挙の強行、小泉自民党の勝利によって、反対派はあっさりと崩され、賛成に転じた。世論は大きく分かれていた。しかし、国会内の民営化反対派は大衆的な闘争に支えられてはいなかった。特定郵便局長会と郵政内の多数派労働組合の反対運動も、社会的な抗議闘争に広がることはなかった。フランスの今回の闘争との決定的な違いがここにある。

もちろん、国会前では座り込み闘争が連日のように組織された。しかし、今回のフランスと昨夏の日本の郵政との落差は明らかである。このことは、私たちが突きつけられていることであり、日本の労働運動が問われている課題である。


電通労組からSUD−PTTへの連帯!
(3月22日/電通労組)

フランスの新雇用契約制度(CPE)への抗議デモは、高校生、大学生の闘いに労働組合が合流して全国に拡大しています。

フランスからのメールによれば、3月18日のデモでは、SUD−PTT(*)の労働者が機動隊に踏みつけられ瀕死の重傷だということです。この労働者はテレコム(電信電話)部門に所属し、携帯電話会社で働いています。

3月28日には、高校生、大学生、労働組合によるゼネストが呼びかけられています。電通労組は、SUD−PTTより連帯メッセージの要請を受け取りました。電通労組は下記メッセージのフランス語への翻訳を依頼し、SUD−PTTに送りました。

★メッセージ/電通労組組合員一同

私たちは、フランス政府と大企業に要求する。
新自由主義政策に基づく雇用破壊の新採用契約は、
安上がりな労働力確保と労働者の使い捨てである。
新採用契約を即時撤回し、高校生、大学生、労働者の声を聞け!

私たちは、フランスの高校生、大学生、労働者の闘いを断固支持する。
フランス政府は闘いへの弾圧を止め、責任を取れ!
3.28ゼネストの成功を!

(注)
<SUD> フランスの独立労組、「連帯・統一・民主主義労組」。1988年以降、新自由主義政策に反対する闘いを組織。郵便部門ではフランス第2位になるなど、国鉄、教員や社会運動分野でも活躍。<SUD−PTT>は郵便・電信・電話部門。
2001年6月、宮城全労協は訪日したSUDの郵便、国鉄の組合員と仙台で交流。電通労組はその後、NTT不当配転反対闘争などを通して交流してきた。

こんな「労働契約法制」はいらない!
−宮城労働局へ強く申し入れ−

06春闘は中小労働組合で厳しい闘いが続いている。宮城合同労組は労働相談を通した解雇撤回の裁判などで奮闘している。また、各地で自治体や労働局への交渉が取り組まれている。4月12日、前日の岩手県に続いて、宮城全労協の労働局交渉が行われた。

11日、労働政策審議会の労働条件分科会が開催され、「労働契約法制」のたたき台が労働省から提示された。05年9月に「研究会報告」が出されたが、各労働団体はこぞって反対を表明してきた。しかも、この有識者報告は一つの意見にすぎない。しかし、11日の分科会では「研究会報告」の内容がベースとなっており、労働時間規制の解除も盛り込まれているとマスコミ各紙が報道している。

来年国会上程に向けて労働省の作業が本格化しつつある。「研究会報告」を踏襲した反動的な法案づくりを許さない闘いがいっそう求められている。

宮城全労協は宮城労働局に対して、厚生労働省は労働団体の反対を重く受けとめ、「研究会報告」をベースとするような審議は行うべきではないことを、現場から本省に上げるよう強く申し入れた。

また、最賃、高校生就職、「ニート」問題など、県内の労働行政についての交渉も行われた。交渉団は個々の施策の充実を要請すると同時に、「少子高齢化」時代を迎えて、今日の子供たちや青年労働者たちが20年後、30年後の社会と生活に夢と希望を持てるような政策体系の中心を厚生労働省が担うべきであると意見を述べた。


●資料/宮城労働局への06春闘申し入れ/宮城全労協

(前略)・・「格差拡大」「二極化」など、「構造改革の影」を与党議員すら指摘せざるをえない状況があります。雇用、賃金、労働諸条件など、労働者の権利と生活がおびやかされる中、労働分野の規制緩和や市場化の横行に歯止めをかける労働行政が必要とされています。

ところが、この間の「労働契約法制」の審議には、企業や資本による労働者使い捨ての思想が色濃く見られ、とうてい認めることができない内容が多く含まれています。

「今の労使は対等。どこで働こうと自由なのだから、労働条件を下げられたりしたら転職すればいい」(12月、労働政策審議会での経営側委員発言/読売新聞1月17日)。このような認識は現実の労使関係を意図的に無視したものだと言わざるをえません。

看過できませんので、「労働契約法制」に関して、以下、申し入れます。


1.「契約法」制定に向けた基本的考え方を明らかにしていただきたい。また、「研究会報告」(05年9月)は今後、法制化に向けて、どのように扱われるのか。

2.各労働団体がこぞって「研究会報告」に反対していることは周知のことと思います。労働諸団体の反対意見をどのようにとらえているか、またどのように反映されるのか。

3.無効解雇の金銭処分、労働者代表の制度なき労使委員会、就業規則の決定方法と位置づけなしの効力強化、有期雇用の固定化、変更解約告知に反対します。見解をうかがうとともに、これらの議論の今後の取り扱いを明らかにされたい。

4.労働時間規制緩和(ホワイトカラーイグゼンプション)に反対します。この点にかかわる議論の経緯と今後の取り扱いをおうかがいしたい。

5.法案作成への今後の手続き、スケジュールを明らかにされたい。

加えて、以下の点について申し入れます。

<最低賃金制度について>
6.地域最賃の大幅引き上げ、ランク格差縮小の実現を求めます。
7.「最賃を上回る生活保護」は問題であり(最賃は据え置いて)生活保護給付を引き下げるべきだという論議がありますが、見解をお聞かせいただきたい。

<高校生の就職について>
8.改善とはいっても、宮城県=最低ランクが続いており、施策拡充を求めます。
9.同時に、早期離職(就職後3年以内離職率50%前後)の実態改善を求めます。
 
<「ニート」対策について>
10.宮城県は、@県内「フリーター」は10年間で3倍増(全国平均2倍増)の5万6千人(15歳〜34歳/02年)、A「ニート(若年無業者)」は1万2千7百人で9割増(全国6割増)、Bいずれも高年齢化が進んでいる、と発表しています。実態と改善対策の説明を求めます。

■以上