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★日米政府は「北朝鮮制裁」を止め、外交交渉で解決せよ!
★小泉首相は靖国参拝を断念せよ!
★イスラエルは即時無条件にレバノン攻撃を停止せよ!
<本号の内容>
●労働法制の全面改悪を阻止しよう!
●資料/「素案」に対する全労協の見解
<厚労省の中間報告を繰り延べ>
厚労省は6月、労働契約法と労働時間法制見直しの素案を公表した。しかしその後、予定どおりに審議が進まず、7月18日に予定されていた中間報告も流れた。焦点の一つ「自律的労働(ホワイトカラー・エグゼンプション)に関して、厚労省は「労働側への配慮」として残業代割増率引き上げを素案に入れた。使用者側はこれに反発。同時に、当初は年収1千万以上が「自律的労働」の対象と言われていたが、経団連は「年収400万以上」と提案しており、厚労省素案が宙に浮いた格好となった。
<過労死・自殺の労災、6割以上が時間管理型>
そのような審議状況のなか、東京労働局管内の労働基準監督署による調査結果が報道された(毎日新聞7月28日)。
調査によれば、05年に過労死・過労自殺で労災認定された48人のうち、11人が自ら労働時間を管理・監督する管理職(工場長、店長、本社部長)であり、また、他の一般労働者19人も上司の管理が及びにくい状況にあった。19人は営業職、システムエンジニア、現場施工管理者であり、「上司よりも自分が労働時間を管理する側だった」(毎日新聞)。東京労働局は、「時間管理を任されたり、上司の目の届かない所で納期に追われるなどの形で長時間労働を重ねるケースが目立つ」と分析しているという。
記事は、労働弁護団の棗一郎事務局次長の次のようなコメントを紹介している。「(自律的労働時間)制度導入で時間管理を外される労働者が増えれば、過労死も激増するという事態を調査の数字は示している」。
<突出する厚労省!>
「市場原理、規制緩和の行きすぎ」や「格差拡大」が、小泉政権の末期になってようやく政治課題となってきた。小泉首相や竹中大臣が「格差拡大」を否定しようとも、与党内でのは「修正」「見直し」が常識となっている。もちろん、安倍幹事長の唐突な「再チャレンジ政策」が総裁選の話題づくりであったり、参議院自民党の抵抗が選挙対策であったり、小手先の戦術対応という性格が濃い。とはいえ、それほど小泉改革が強引で乱暴であったことは、様々な領域・分野で指摘されている。また、この荒療治を主導した小泉−竹中ラインと経済財政試問会議、規制改革会議への批判も昨年後半から表面化してきた。
そのような中で、厚労省の突出は際立っている。厚労省は経団連のサイドに立ち、小泉改革の「威光」が生きているうちに、90年代以降の労働規制緩和をさらに促進し、労働基準法の根幹を破壊しようと策動している。経団連はどうか。奥田経団連は、企業倫理の回復と「人間の顔をした市場経済」をかかげて出発した。しかし、現実は、企業・経済犯罪、不正の横行であり、ついには日銀総裁に続いて総本山であるトヨタ自らが指弾された。まさに日本資本主義の根幹を問う事態にもかかわらず、経団連は労働規制緩和・雇用流動化の攻撃をさらに強めようとしている。
<「自律的労働」はまやかし!>
たとえば、紀陸孝日本経団連専務理事は「多様な働き方で高い成果」と主張している(朝日新聞7月3日)。「裁量労働制やフレックスタイムなど労働時間規制を緩和する制度もあるが、働き方が多様化しているため、それだけでは不十分だ。ホワイトカラー労働者の中で、労働時間を管理できる社員には、「労働時間規制の適用除外」という新たな選択も必要ではないか」、「賃金も労働時間の長さではなく、成果を中心に決められるべきだ。我々が提案している制度は、賃金と労働時間の関係を分離しようというものだ」。
そうして彼は、改革派の企業家や評論家たちと同様に、新しい「個々の労働者の自律的労働」を描いてみせる。「家庭の事情によっては、週3日の在宅勤務も可能になる。家庭と仕事が両立しやすくなれば、生きがいや、やりがいを感じる人も増えるだろう。時間管理を任された個人が、短時間で効率的に働けば、「長時間労働」を解消していくことにもつながる。新しい働き方を通して、心身ともに健康になれば、個人にも会社にも利益になるではないか。指示待ちではない、自律的な人材が増えると、仕事をダラダラしなくてもすむ。会社の風土も改善される」。
経営側や厚労省のいう「自律的労働」は現実離れした奇弁である。労働者を効率よく低賃金で働かせる。「自己管理」という責任を押しつけて労働者を弾圧する。それが彼らの「自律的労働」である。その結果、労災・自殺調査が指摘しているように、殺人労働の危険が増大することも明らかだ。
来年通常国会への上程に向けて巻返しをはかっている厚労省への抗議を組織し、労働法制改悪を阻止しよう。
◎宮城全労協パンフレット(06春闘学習会・講演録)参照。
◎以下は厚労省「素案」に対する全労協の見解です。
<全労協資料>
厚労省「素案」は労働法制の全面改悪であり「反対」です
2006年6月20日/全労協
(前略)厚労省は6月13日、労政審・労働条件文科会に対し、「労働契約法制及び労働時間法制のあり方について(案)」という厚労省「素案」を出しました。この厚労省「素案」について、以下の点から労働法制の全面改悪であり「反対」です。また、反対意見があるなかで7月中に「中間まとめ」を強行することにも反対します。
<労働契約法制関係について>
1.「就業規則の変更」という「労働条件の改悪」について「過半数組合」との合意があれば「合理的」なものとする。また、「過半数組合」がない場合は「すべての労働者を適正に代表する者」という表現で「労使委員会」の決議があれば「法的効果」を与えるとしています。
2.これは、組合組織率が18.5%という状況のなかでは、職場に「労使委員会」を設置することを基本としており、「過半数組合」がある場合は「労使合意」方式に変更することにより、「過半数組合」を取り込もうとしている。まさに、少数組合を形骸化し、職場の団結権を侵害するものであり「反対」です。
ましてや、「就業規則変更で不利益」を受ける個別労働者も「合資」したものとされ、不服がある場合の「立証責任」を労働者側に求める不当なものである。これは、労働条件の「本人同意原則」を無視し、労働者の権利を侵害するものであり「反対」です。
3.転勤・出向は「就業規則が不合理」でない限り、労働者の個別の承諾は「不必要」、転籍は承諾が「必要」としている。また、個別の「労働契約の変更」(勤務地・賃金等の変更)について、労働者が異議をとどめて承諾した場合、「異議をとどめたことを理由に解雇はできない」としている。これは、当然のことである。しかし、別な言い方をすれば、労働条件の「不利益変更」に反対し、応じなかった場合は「解雇」できるということである。つまり、「研究会」報告にある労働条件の「本人同意原則」を無視する「雇用継続型契約変更制度」が生きているということであり、使用者側の権限を一方的に強化するものであり「反対」です。
4.解雇について、「紛争の早期解決」、「原職復帰が困難」等を理由に解雇の「金銭解決制度」を導入するとしている。しかしこれは、裁判で不当解雇の判決が出されても「金銭解決」し、原職復帰させないということである。これでは、「組合役員」や会社に「不都合な者」等が職場から排除されることとなり、経営者側の「解雇権の濫用」を助長させるものであり「反対」です。
5.有期労働契約のルールの明確化については必要なことであるが、何よりも賃金、休暇制度、福利厚生、社会保険、年金等で正社員との均等待遇化を法制化すべきです。
<労働時間制度関係について>
1.「自律的労働」に従事する者は、法定休日(35条)と年次有給休暇(39条)を除く労働時間規制を適用除外するとしています。その自律的労働とは、労働時間や業務指示等について自己調整できる者、年収が一定水準以上の者等としています。また、全労働者の一定割合以内にすることも「慎重」に検討するとしています。
2.これは、「研究会」報告では、「係長級」「チームリーダー級」が「自律的労働」の対象として出されてきた経緯があります。また、日本経団連は「年収400万円以上」を対象と主張してきています。厚労省や日本経団連の狙いは、このレベルの労働者を「自律的労働」の対象として「36協定」の適用除外を想定しているのです。
3.それを、今回の厚労省「試案」では対象範囲を狭めてきています。それは、「日本型ホワイトカラーエグゼンプションン」として、多くの労働組合や労働弁護団等の反対意見が強いなかで、今回は制度として発足させ「小さく産んで、大きく育てる」という戦略なのです。これまでもパート等非正規労働は「一時的・臨時的」業務として限定してスタートしたものが、いつの間にか全労働者の33%までにも拡大してきました。派遣労働についても「専門的知識・業種」としてスタートしながら、05年度から製造業にまで拡大してきたことからも明らかです。
4.「自律的労働」の対象とされていく「係長級」「チームリーダー級」や「30才代」「40才代」は、働き盛りで月60時間〜100時間を超えて残業をしているものが多い実態にあり、「過労死・過労自殺」や「脳・心臓疾患」で倒れている労働者も多いのです。つまり、「自律的労働」として「36協定」から適用除外する制度は、サービス残業・タダ働きを合法化する制度であり、「過労死・過労自殺者」や「脳・心臓疾患者」を増大することとなるものであり「反対」です。
5.また、長時間労働の抑制と疲労回復の手段として、@月40時間以上の時間外労働に「1日の休日」、A月75時間以上の時間外労働に「2日の休日」の付与、B月30時間を超えた時間外労働の割増賃金を2.5割〜5割へ引き上げ、また、割増賃金の引き上げ分について、金銭ではなく「休日付与」を検討するとしています。
6.この割増賃金の引き上げと休日増について否定するものではないが、月60〜100時間という残業(過労死予備軍)をせざるを得ず、土日休みや有給休暇も取れないという職場の実態の本質を見ていません。リストラで人員削減され、少ない人員で増大する業務量の処理を競争主義・成果主義で酷使されているのです。
むしろ、経営の安定化のためには、必要人員を配置させ、悪しき競争主義・成果主義をなくさせて、労基法違反の経営者への罰則の強化と違反企業・経営者を公表する体制の強化こそが必要です。
■以上

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