<本号の内容>
★小泉首相の靖国参拝を糾弾する!
★郵便局再編/抵抗激しく13局が半年先に延期
(資料/宮城・東北の再編計画)

*写真/「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動=
8月11日から15日まで、東京で靖国参拝抗議集会、キャンドルデモ、集会やコンサートなどが取り組まれた(主催:キャンドル行動実行委員会)。仙台からも参加した。
<小泉首相の靖国参拝を糾弾する!>
●8・15参拝を強行
小泉首相は8月15日の靖国参拝を強行した。中国、韓国は中止を求める警告を発してきた。財界や自民党内からも参拝批判が公然化していた。「昭和天皇の発言メモ」まで持ち出されたり、総裁選挙とからんで靖国神社の在り方や「A級戦犯合祀」の代替案もいくつか提示されていた。経済同友会・北城発言が代表するように、靖国問題による日中・日韓関係の悪化は「日本の国益」に反するという体制側の危機感が強まっていた。アメリカからも重ねて懸念が表明された。にもかかわらず小泉首相は、参拝へのこだわりをすべてに優先させたのである。
小泉首相は「心の問題だ」と言った。小泉パフォーマンス以外には、こんな言葉は「通用しない」だろう。そうであっても、自民党も財界も小泉の最後だから仕方ないと「諦める」ことによって参拝を容認した。それもこれも、小泉が保守政権を立て直した最大の功労者であり、新自由主義政策の断行者であり、いまなお異例の高支持率を保っているからである。しかし、小泉が財界と自民党にとってきわめて危険な爆弾を残したことは明らかである。小泉独断のツケは重い。
「歴史上もっとも成熟した二国間関係の一つ」と宣言した日米関係にとっても、靖国問題は暗雲となっている。小泉は会見で、「ブッシュ大統領が靖国参拝するなと言ったとしても私は行く。もっともブッシュ大統領はそんな大人げないことは言わないが」とわざわざ付け加えた。小泉にはブッシュを救ったのは自分だという自負心があったに違いないし、日米同盟にも亀裂が入っているという批判がよほど気にくわなかったのだろう。小泉の個人的思い込みは別として、靖国問題は「東アジアの安定」を脅かしているだけでなく、アメリカと日本の戦後関係を掘り崩しかねない危険性をもつ。
●問われているのは「日本自身の歴史認識」
小泉は参拝を正当化する3つの根拠を示したが、きわめて恣意的であり、説得力はまったくない。「いつ行っても批判、反発がある」といらだって見せ、だったら8月15日で何が悪いと飛躍させる。「靖国という一つの問題だけで首脳会談に応じない」と中国、韓国首脳を批判して国民の歓心をさそう。A級戦犯合祀については、「特定の人に対して参拝しているのではない」と話をそらす。
そうして小泉は、靖国問題とは「日本自身の歴史認識」の問題であることを隠した。侵略の歴史を背負う国の責任者として、明らかに失格である。侵略されたアジア諸国が日本の政治責任者の靖国参拝に抗議するのは当然のことであるが、日本にとっては侵略戦争の総括が靖国問題の核心である。平和・友好の「未来指向」の対外関係を築くためには、日本自身が靖国問題を解決しなければならない。しかし小泉は、アジア諸国諸国民に敵対的な意識を日本国民の中に作り出し、そのナショナリズムに支えられて自分の行為を正当化しようという矮小・卑劣な手法に訴えてきたのだ。
●安倍の綱渡り
小泉参拝の処理は安倍に託されることになる。自民党総裁選は安倍官房長官の独走となり、勝ち馬に乗るために党内は雪崩をうっている。総裁選では「再チャレンジ」のようなごまかしを織り交ぜながら、憲法改悪を前面に押し出す「小泉以上のタカ派」ぶりを鮮明にしている。しかし安倍は、小泉的政治手法と「党内融和」の間で、あるいはタカ派の主義主張と現実政治との間で、難しいバランス取りにせまられることになる。
財界もアメリカ政府も懸案を穏便に処理すること、少なくても問題を棚上げにすることを安倍に求める。しかし、「参拝するかどうかも、したかどうかも言わない」という対応で事態を沈静化できるだろうか。そしてそもそも、「東京裁判」に否定的な立場を政治信条とする安倍にとって、どこまで綱渡りが可能だろうか。あるいは、対中国で妥協する分、対北朝鮮の強硬姿勢を貫いて国民的支持を煽るということか。いずれにしても、8・15参拝を実現した小泉の高揚感を共有する安倍にとって、外交での綱渡りが最初の試金石となるだろう。
●中国敵視の風潮に立ち向かおう
小泉首相は「自分は日中友好論者」であると繰り返してきた。しかし、靖国問題に限らず、彼が首相在任中に日中友好の立場で外交を進展させたことはない。そもそも日中関係の洞察や展望を語ったことはない。そして最後の外交活動はあえて中国を刺激するものだった。モンゴルや中央アジアの訪問は中国(とロシア)を意識したものだ。インドへの接近も、オーストラリアとニュージーランドを東アジアに組み込もうとする戦略も、対中カードとしてそれら諸国を利用しようとする思惑であり、アメリカの承認の下に進められていることだ。
小泉は最後まで「日中友好」や「戦争への反省」の内容を示すことはなかった。彼は中国、韓国との外交関係を悪化させただけではなく、日中、日韓民衆の対立をあおり続けた。その結果、「中国、韓国の言いなりにならない」という「ナショナリズム」の風潮を拡大させた。8・15参拝が、中国敵視論者や「ナショナリズムに目覚めた人たち」を勇気づけたことは間違いない。
小泉によってもたらされた民衆間の対立感情(各種調査が、日中・日韓の民衆関係の急速な悪化を示している)を克服するために、可能な手立てをとることが必要だ。とくに、日本の若者たちの間に広がる「ナショナリズム」の増殖を阻むことが問われている。また小泉首相が事実上放棄した「日朝ピョンヤン宣言」を発展させ、朝鮮半島の危機の平和的解決のために尽くすことが求められている。
参拝の当日、加藤元幹事長の自宅が放火された。小泉首相も安倍官房長官も沈黙しつづけた。まるで政敵へのテロをほくそえんでいるかのごとき対応ではないか。事態は「抵抗勢力に刺客をぶつける」という政争の次元ではない。小泉は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と日本国憲法を引用し、「まさに心の自由だ」と言い放って靖国参拝を正当化した。それが本心であるならば、あるいは最低限でも政治の最高責任者として、放火事件をただちに批判すべきだった。小泉や安倍の対応は厳しく問われなければならない。
小泉首相の靖国参拝を糾弾し、安倍官房長官の姑息な対応を許さず、日本−アジアの民衆連帯を築いていこう!
<郵便局再編=地方の切り捨て
抵抗激しく13局が半年先に延期>
日本郵政公社は6月28日、かねて準備を進めてきた郵便局の再編計画を正式に発表した。全国に4696ある郵便集配局は、「統括センター」と「配達センター」と称する3648の郵便局に集約される。その結果、1048局は「無集配局」となる。
これは全国ネットの見直しの第一弾だが、政治的な思惑がからんでいる。新生ジャパンポストの出発のためには、「抵抗勢力」の地域拠点として特定郵便局長をフレームアップし、かれらの既得権を掘り崩してトップダウンの全国体制を敷かなければならない。しかし、その試みはなかなか効果があがっていない。参議院選挙をひかえた自民党が特定郵便局長会との対立を修復しなければいけない事情もある。そこで、もっとも手をつけやすい所から攻撃を強行することになる。つまり、過疎地を狙い撃ちにした組織いじりであり、そこで働く労働者への攻撃である。
「地方切り捨て」に対して抵抗が続いている。郵政公社は今年4月から全国667自治体に(公式に)説明会を開催してきたが、8月中旬までに99自治体が反対を表明した(読売新聞8月25日)。その半数近く、約40の自治体では住民の抵抗によって説明会も開けない状況であり、公社は九州地方を中心とした13局の無集配化については来年2〜3月の半年先に延期したという。
地方での無集配化への反発は強い。「配達の遅れ」という直接的な利便性の問題だけではない。切り捨てられるものの疎外感が地域をおおい、やがて郵便局そのものが廃止され、全国ネットから排除されるのではないかという疑念がふくらむからだ。
「過疎地では市町村合併、公共機関の出先や学校の統廃合、企業の撤退など、衰退に歯止めがかからない。住民が『そのうち郵便局も』と感じるのも、無理からぬことだ」(北海道新聞社説/郵便網は守られるか/6月30日)
生田総裁は、「各種の施策は地域密着・地域貢献をつぶすためではない」と強調してきた。「事業性の追求とパブリックな使命の両立」が必要であり、そのために「第一に法令、国会附帯決議、答弁を十二分に尊重すること。第二に、利便性、魅力は守り、高める。第三に、辛いと思う職員もいるだろうが、事態を理解してもらい、事業トータルとして良くするための努力をしていく」(自民党総務部会・郵政政策小委員会合同会議/6月15日)などと説明してきた。
小泉首相や竹中担当大臣は郵便局ネットワークの維持を重ねて表明してきた。法案には、郵便局は「あまねく全国において利用される」と明記された。しかし、その内容は最後まで明らかにならなかった(しなかった)。こうして、あの郵政国会の確認事項は<地方の切り捨てはない>ということなのか、それともどうでもいい解釈が可能なのか、あいまいなまま法案が成立したのであった。小泉も竹中も、そうしたことにはもはや興味も示さないだろうし、なんの「痛み」も感じていないだろう。そうであるとしても、「郵政民営化」の責任者として、事態がかわったのか、解釈が違うのか、あるいはこの計画は「地方切り捨て」ではないと言うのか、はっきり答える義務がある。
●宮城では15局
◎06年10月2日実施/3局
集配業務が廃止される局(業務を統合する局)
北白川、越河(白石)
村田(大河原)
◎07年3月5日実施/12局
松岩、唐桑、大島(気仙沼)
作並(愛子)
北上(河北)
歌津(志津川)
松山(鹿島台)
色麻(中新田)
大内、大張、筆甫(丸森)
瀬峰(高清水)
*生田総裁は、「(事業性と公共性の)両立は難しいが、サービスダウンだけはするなと現場に伝えてある」とも述べている。一方で、郵便局の再編によって「余剰人員」がいわば自動的に生み出される。東北支社の計画では「内務で141人減」であり、局毎の人員増減計画が提示されている。結論は労働強化以外にない。
●1048局は圧倒的に地方局である。都道府県毎では、北海道(160)、新潟県(55)、広島県(46)、長野県(45)、山口県(43)と続く。東京都(5)、大阪府(3)など、大都市との格差は明白である。支社毎では次のようになる。
◎左から、「集配を取り止める局数」/「現在の集配局数」(廃止される局の比率)
北海道 160/445(36%)
東 北 109/621(18%)
関 東 48/426(11%)
南関東 28/117(24%)
東 京 5/106( 5%)
信 越 100/306(33%)
北 陸 37/162(23%)
東 海 77/456(17%)
近 畿 94/472(20%)
中 国 167/540(31%)
四 国 75/269(28%)
九 州 118/712(17%)
沖 縄 30/ 64(47%)
●東北では109(18%)が無集配局に
東北支社(東北6県)の内容は次のとおり。左から、
◎集配を止める局
◎統括センター(郵便物を区分・集配する)になる局
◎配達センター(区分しない)になる局
◎現在の集配局
青森 12+10+ 56= 78
岩手 21+15+ 75=111
宮城 15+18+ 67=100
秋田 17+11+ 67= 95
山形 22+11+ 57= 90
福島 22+20+105=147
東北 109+85+427=621
計画によれば、このうち10月には24の局で再編を先行実施、残りの85局は来年3月に再編されることになる。
■以上

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