宮城全労協ニュース/第85号(電子版)/2006年10月30日

<沖縄県知事選挙に勝利しよう!>

(最新情報は「糸数慶子」公式ホームページをご覧ください!)


<本号の内容>
★「北朝鮮危機」に乗る安倍政権を許すな!
★(資料)
NTT反リストラ裁判提訴3周年
10・17首都圏集会へのメッセージ


★「北朝鮮危機」に乗る安倍政権を
    許すな!


安倍政権は発足後1か月をとりあえず乗り切った。中川・自民党幹事長は「ロケットダッシュだ」と自画自賛した。安倍は政権発足直後に訪中・訪韓をはたし、当面の最大の懸案をクリアした。続いて、訪中・訪韓のタイミングをはかったかのような「北朝鮮核実験」が政権を浮揚させた。安倍は2つの補欠選挙に勝利し、いま教育基本法をはじめ国会論戦にのぞんでいる。

●「あいまい主義」=歴史問題へのごまかし対応

中国、韓国との関係改善は安倍政権の今後を占う再重要課題だった。小泉が作り出した「靖国問題」の打開は、日本財界のみならず、米国政府の要請でもあった。訪中が補欠選挙へのサプライズになることも明らかだった。

安倍サイドはかなり以前から中国側と打開策を模索し、交渉してきたといわれている。11月アセアン会議が首脳会談の場になるとか、最初に訪韓すべきだという声が上がっていた。実際は政権発足直後の訪中と訪韓だった。安倍は日中間の「戦略的互恵関係」を主張し、中国との新たな関係を印象づけた。韓国政府は「北朝鮮核実験」への対応の真只中だった。韓国大統領は日本政府への主張をトーンダウンせざるをえなかった。

「小泉の靖国問題」は事実上棚上げされた形となった。しかし、「参拝するかどうかも、したかどうかも言わない」という「あいまい主義」が長期的に成立する保証はない。日中首脳会談では「政治的困難を克服する観点から適切に対処する」と述べたが、第一ラウンドは07年7月までであり、安倍はそこまでは靖国参拝しないということだろう。

安倍のねらいは「靖国問題」を政治問題にさせないということであって、「靖国問題」を解決しようとはしていない。安倍が配慮するのは日米関係であり(靖国神社は遊就館の展示のうち、「日米開戦」の経緯などの記述を変更すると伝えられている)、対アジア、朝鮮や中国への侵略戦争に関して持論を捨ててはいない。

安倍は歴史問題について持説と首相としての見解を使い分けた。そのような使い分けはもちろん安倍のごまかしであるが、同時に安倍政治の限界を意味している。「美しい国」と村山談話の継承は両立しないはずだが、首相としての安倍は侵略戦争の責任や東京裁判を否定することはできない。そのような使い分けでは、日本の保守政治はいつまでたっても「靖国問題」を引きずるしかない。現に下村官房副長官は「河野談話の見直しが必要」(従軍慰安婦問題に反省の念を表明した1993年の河野洋平官房長官談話)と発言した。下村は「首相がひよったのではない」ことを示したかったと発言の動機を語っている。このような「閣内不一致」の綱渡りがいつまでも続くはずがない。


●「北朝鮮危機」を利用する安倍チーム

安倍チームは「北朝鮮の核実験」への対応をシュミレーションしていたといわれる。実際、国連決議を米国と緊密に連携して成立させるために主導的な役割を果たし、ミサイル発射に際しては発動されなかった制裁項目を直ちに発表し、実行に移した。「核実験」が果たしてどのようなものであったのか断定のない中での突出した対応だった。

日本メディアの大多数は、連日、「北朝鮮核ミサイル」が明日にでも日本列島を襲うかの報道を流した。「北朝鮮の核」こそが世界の安全の敵対物であるという論調である。「国家危機管理の焦点化」は、安倍政権へのまたとないプレゼントになった。

日本は何をしなければいけないのか。それは「平和的解決」の実現につきる。米国は現時点での軍事行使を否定している(米国の統合参謀本部議長は、「仮に北朝鮮と戦闘になっても米軍は勝利する能力があるが・・非戦闘員の損害が出やすい第二次世界大戦型になる」と見通しを示している/毎日10月26日)。国境を接する3つの国はそれぞれ「平和的解決」を主張している。そのために「米朝」交渉を実現させねばならない。米国の「譲歩」を引き出し、6か国交渉を再開させねばならない。日本がそのために役に立つのか、まさに日本の外交力が問われている。

しかし安倍政権は「制裁」を強化し、「周辺事態法」の発動をねらい、米軍などの船舶検査と自衛隊の共同行動に備えている。「防衛庁を省へ移行させ、国際平和協力活動等を自衛隊の本来の任務とするなど、必要な体制整備を行って」(安倍首相発言/10月29日、海上自衛隊の式典での演説)いこうとしている。NHKへの放送命令など、安倍チームは「北朝鮮危機」に乗って政権基盤を固めようと走り回っている。

さらに安倍の盟友である中川・自民党政調会長は「日本の核武装論議」を繰り返している。ライス国務長官は「米国の核の傘」を強調し、日本での核論議を牽制した。しかし、麻生外務大臣は「議論は当然あっていい」と援護し、首相や官房長官も「個人の意見」だと容認した。一連の発言が「集団的自衛権行使」や憲法改悪への地ならしであることは明白だ。

中川たちが真剣に日本の「核武装」の実現を考えているのか定かではない。しかし、安倍や麻生の「火遊び」は「平和解決」の道に逆行し、解決をいっそう困難にするだけでなく、核兵器廃絶という人類的課題に取り組むべき日本の歴史的役割を否定するものである。日本はイスラエルの核武装を容認する米国の二重基準を糾弾し、「核クラブ」の解散−全面的な核軍縮への道筋をつけるべきなのだ。


●暗躍する安倍チーム

安倍は総裁選で対立した谷垣派を人事から排除し、また旧宏池会の再結集をさまたげる姿勢を鮮明にした。同時に参議院自民党とは対立を回避する姿勢も示した。硬軟使い分けの人事であるが、二つの特徴を見てとることができる。

安倍を支えるために党と政府の中枢に「安倍チーム」を配置した。中川政調会長、塩崎官房長官、5人の首相補佐官を先頭にして、彼らは「刺激的発言」を繰り返して党内摩擦を起こしながら、安倍をサポートするチームとして動いている。核保有論議も「NHKへの命令」もそうだ。安倍は官邸と直結させた権力装置をめざしているが、この摩擦が党内闘争に発展する危険性と常に背中合わせである。

人事は経済政策とも連動している。「上げ潮」路線と称される経済発展重視路線は、今年春、中川幹事長が打ち出したものだ。中川は安倍政権を準備するにあたって、小泉改革への批判をかわすためのアドバルーンが必要だった。国会財政赤字=増税問題や格差問題が政権運営の大きな障害になる可能性があるからだ。「再チャレンジ」もその対策として提起されたものだ。安倍はその後、小泉の構造改革にかわる言葉として「イノベーション」を多用しているが、それは日本経団連の御手洗新会長らの影響だったという。

経済成長の再優先を基本にすえた安倍は、中川や竹中と対立していた与謝野を人事から外し、さらに経済財政試問会議に市場原理主義者の大田を起用、政府税制調査会も異例の会長交替を実行した。しかしここでも、成長で財政破綻を埋め合わせるのは楽観的すぎるという批判は絶えない。

ともあれ、安倍にとっても自民党・公明党にとっても、07年参議院選挙の勝利が至上命題である。消費者金融の上限金利問題での転換も、郵政造反議員の復党も、すべては参議院選挙をにらんでのことだ。安倍チームが柔軟対応と独自主張を織り交ぜて政局の主導権をとっていくか、内外の諸問題を前に失速し混迷を深めるか。「北朝鮮危機」を利用した国家主義攻撃、教育基本法改悪をはじめ反動諸法案を許さず、沖縄県知事選挙に勝利する闘いが重要になっている。


★資料/NTT反リストラ裁判提訴3周年
10・17首都圏集会へのメッセージ


2006年10月17日

宮城全労協/NTT反リストラ闘争宮城県共闘


証人尋問を終え、いよいよ来年2月14日の結審に向かう皆さん!
北海道に続き、勝利をかちとりましょう!

「これは小泉構造改革、新自由主義グローバリゼーションとの対決だ!」−−皆さんはそのように確認し、NTTリストラを糾弾する裁判闘争を開始しました。あれから3年、NTT全国闘争はリストラ攻撃に風穴をあけ、反転攻勢の局面を切り開いていくでしょう。小泉を引き継いだ安倍政権は「再チャレンジ」を売り物にしています。皆さんの闘いはそのごまかしを許さず、新自由主義政策に抗する労働者民衆と結合して前進するでしょう。

ところでいま「ユニバーサル基金」が問題となっています。小泉政権の最後の1年、総務大臣に就任した竹中は「通信・放送改革」を断行できず、NTT再々編などの政治決断は棚上げされ、企業間競争や官僚・政治家の利権争奪戦がエスカレートしています。そのようななかで、懸案であったNTT固定電話網の赤字問題を浮上させ、総務省も「基金」の発動に踏み切ったということではないでしょうか。
          
「基金」はNTT東西の「不採算地域の赤字」を各通信事業者が負担するものです。KDDIは負担分を利用者に転嫁する、固定・携帯を問わず1番号あたり月7円を基本料金や通話料金とは別枠で徴収すると発表しました。NTTドコモとソフトバンクも同様の方針を表明しました。NTT固定電話部門の危機は携帯電話やインターネット事業にシフトしたためであり、市場競争の激化は通信自由化がもたらしたものです。ユニバーサル基金の是非は別として、利用者への料金転嫁は一方的な収奪であり、不当、違法です。

他方、ソフトバンクの孫正義社長は、「NTT東西から独立した中立的な『ユニバーサル回線会社』を創設」し、「国家事業として光ファイバー網の整備を急げ」と論陣を張っています。インフラ整備は公共事業だというわけですが、しかし彼の本音は、ユニバーサル網の整備は国家に負担させ、自分たちはその恩恵を受けて企業利益を最大化させるということでしょう。国営事業を食い物にした郵政官僚の発想と何が違うでしょうか。

同様の基金が郵政でも導入されようとしています。「郵便競争政策に関する研究会」(竹中懇)は6月、公社が事実上独占している「一般信書便」を市場開放させる、不採算地域の赤字を参入事業者の拠出などで補てんする「ユニバーサル基金」の創設を検討すると結論づけました。信書便法の改正法案は来年通常国会に上程の予定です。基金がけっきょく利用者負担になるとすれば、公共サービスの危機を転嫁する図式は同じです。

利用者同意なく公衆電話が撤去され、アナログ放送の廃止が決定される。多発する情報漏洩とネット犯罪。携帯電話が市場にあふれ、企業と国家が利用者ニーズを意図的に作り出し、過剰な利便性を押しつける。加熱する市場の一方で、高齢化と過疎化が進み、公共通信システムから排除される数多くの人々が生み出されています。

反リストラ裁判闘争の勝利とあわせ、「民営化」「自由化」政策に異議を唱え続ける電通労組の仲間たちが、労働者民衆との様々な共闘を作り出し、「もう一つの社会」を構想し生み出していくことを確信し、宮城からのともに闘うメッセージとします。

(*集会報告などはNTT共闘ニュースにて)

■以上