|
★教育基本法、防衛省法案の強行を糾弾しよう!
<本号の内容>
●郵政造反・無所属議員の復党騒動
−茶番劇を許さず、安倍政権を追撃しよう!
●(郵政職場からの投稿)
ここまでやるか!−女川港での漁民の犠牲の日に−
●郵政造反・無所属議員の復党騒動
−茶番劇を許さず、安倍政権の追撃を!
自民党<郵政造反・無所属議員>の復党問題は、平沼議員をのぞく11名の復党で第一ラウンドの決着がついた。復党議員たちの中には「安倍総裁は命の恩人」だと忠誠を誓ったものもいたし、反骨精神をにじませたものもいた。どちらにせよ、しらけた釈明だった。復党議員にとっては屈従の誓約書も踏み絵も一時の儀式にすぎない。
新人議員たちの抵抗は封じ込められた。もともと「小泉チルドレン」への反発は根強かったうえに、頼みの小泉も復党を容認した。「小泉改革」のシンボルだった新人議員たち、とくに無派閥議員の孤立と分解は必至だ。代表的存在である佐藤ゆかりと片山さつきの2議員には、法案採択を無断欠席(衆議院経済産業委員会)による党内処分の追い打ちまで加わった。
主張を一貫させたのは平沼議員一人だった。<党内手続きの無視、ユニバーサルサービスの危機、外資に奪われる危険>の3つの理由で、いまでも郵政民営化に反対だと表明し、誓約書を拒否した。「筋を通した」平沼も自己保身の損得勘定は露骨だった。平沼は12人の勢力を保持して復権を果たし党内への影響力を確保しようとしたが、中川幹事長に阻止された。
中川は「高いハードル」を突き付け、造反議員たちの屈服を迫った。平沼議員とは引くに引けない対立となり、権力闘争の性格を帯びていった。中川政調会長が乱入し、「政治は情けだ」と叫んで幹事長を罵倒するドタバタ劇を演じた。党の中枢にまで亀裂が広がり、利害や人間関係が錯綜しながら事態は泥沼化した。無派閥新人議員たちは右往左往し、復党反対を幹部に懇願して署名集めに奔走した。安倍は責任問題がとりざたされるにいたっても動かず、幹事長に一任し続けた。
小泉郵政解散から1年余。あまりにもお粗末で議員利害が丸出しの茶番劇だった。「これで一区切り」(読売新聞社説)とは虫がよい。復党騒動の迷走と混乱は安倍政権の危機に発展しかねない火種となってくすぶり続けるだろう。小泉の暴挙のツケが安倍政権への打撃となって回ってきたのだ。復党問題での安倍のつまずきは、エピソードに終わることなく、政権の存立そのものを掘り崩していくかもしれない。安倍政権を追撃しよう!
■参議院選挙の主導権争い
造反・無所属議員が新党結成組と分裂したのは復党が可能だと踏んだからだ。小泉の退陣が確定的となった時点で、復党は既定の事実となった。小泉はみずから「復党容認」の流れを作った。3人の総裁候補者たちは口をそろえて、追放はやりすぎだった、自分は小泉流に反対だったと発言した。内心はどうであったか不明だが、小泉は「政治は郵政だけではない」とまで語り、新総裁が判断する問題だと安倍に委ねた。
こうして復党容認が党内の大勢となった。<手続きは早いほうがいい。世論の反発もいずれおさまるだろうし、政党助成金の期限もある>と。「何か月もかける問題ではない」(麻生外相)はずだったが、ここまでこじれたのは参議院選挙にからんで自民党内の対立が存在し、政権の行方に重大な影響を与えかねないからだった。安倍は慢心していたのだろうか。自民党と安倍政権にとって、事態はその後、急速に悪化していった。
これじの出発は10月10日の安倍、中川、森元首相、青木参院議員会長による極秘会談だったという。「現職、前職合わせた造反組の一括復党が不可欠」という青木の意向を受け、「森が中川に命じセットした」。青木は参院選のファイルを示し、1人区の情勢を詳細に説明し、復党の念を押した。「造反組の復党が参院選にプラスなのか」懐疑的だった中川は、「統一会派」案を提示したが拒否された。青木は「無条件の一括復帰」を迫り、「暗に参院議員会長を辞する脅しまでかけた」。この会談以降、「復党論への反発が噴出し」、中川と青木を両極とする党内対立が激化していった。身動きがとれなくなった安倍は「沈黙」し、中川幹事長への「丸投げに終始した」(毎日新聞11月28日)。
青木たちは選挙区事情を最優先させた。29の1人区が決戦場であり、12人の造反・無所属議員のうち9人がその1人区にいる。ここでの与野党の勝敗差18が参院選を決する。いっぽう中川幹事長の展望は、<改革継承の自民党>と<古くて時代遅れの小沢民主党>の対比構造を作り出し、民主党を全国的に粉砕することだった。
<平沼は許さない、11名は踏み絵を踏ませて復党させる>という結論は、青木と中川のぎりぎりの妥協であり、安倍はドタバタ劇の果ての妥協を受け入れざるをえなかった。安倍は小泉手法とは異なる「独自性」と貫いたということも可能だが、それはやはり強弁というものだろう。けっきょく最も打撃を受けたのは安倍であった。
■再燃する党内闘争(小泉がやり残したこと)
小泉は表には立たなかったが、騒動の主要キャストの一人だった。復党容認の態度を変え、「特定組織=郵政票をあてにしたら敗北する」と武部元幹事長を通じて表明し、参議院サイドの無条件復活論をけん制した。いっぽうで「政治の世界では使い捨ては当たり前」などと「小泉チルドレン」を震え上がらせたりもした。最後に小泉は「11人は白旗を上げ、土下座した」と新人議員をなだめ、彼らの反対活動を停止させ、騒動の第一ラウンドを閉じる役割を担った。
小泉政権は参議院自民党の支持があって成立した。小泉は旧田中派を分裂させたが、それは参議院を「聖域」とすることでもあった。小泉が後継に指名した安倍は、その参議院自民党の「専権事項」(立候補者決定、閣僚推薦)に介入しようとしたが失敗し撤退した。すべては07年参議院選挙の勝利のために。これが大義名分であるが、しかし参議院問題は棚上げされたままである。
11月29日、「チルドレン」を前にして演説した小泉は「支持率の低下も覚悟して首相がやったことだ」と最大限の賛辞を安倍に贈り、支持率に一喜一憂するなと励ましつつ、退陣後はじめて「抵抗勢力」との闘争を口にした。道路特定財源の一般財源化を取り上げ、郵政民営化を例にあげて、「自民党が反対すれば反対するほどよい」と小泉流をぶちあげた。
小泉は安倍の姿勢にもどかしさを感じていたのだろう。小泉の視野には参議院指導部との対決シーンがあるのかもしれない。もちろん小泉時代は過去のものであり、安倍がどのように動くかは新しい環境のなかでの安倍の判断と決断による。しかし、参議院問題は小泉がやり残したことであり、復党騒動が示したように安倍政権の命運を左右しかねない難題となり続けている。
■問われる「小泉郵政」
「小泉チルドレン」ともてはやされた新人議員たち、とくに無派閥を通してきた議員たちは一転して厳しい状況に置かれている。小泉は「それが政治の世界」と開き直った。しかし、「郵政民営化」を支えた新人議員たちにとっては裏切りに等しい。復党騒動は「小泉郵政」とは何であったのかをあらためて問うものである。
復党組の野田聖子と対決した佐藤ゆかりは、次のように主張して最注目・激戦区での選挙を闘った。
「日本の家計は、企業の人件費抑制の傾向が続くのに加えて、いずれは財政再建のための増税も視野に入れざるを得ない状況です・・。政治の強いリーダーシップによる行政横断的な、トップダウンの創意工夫がますます求められる時代になってきました。」
「ビジネスモデル上、企業の利益最大化の答えが固定費削減である限り、人件費は今後も抑制傾向が続くでしょう。こうして労働面で企業収益の拡大に貢献する家計にとり、合理的選択とは、企業活動に貢献する一方で、収益を上げそうな企業の株主にもなり、収益が上った企業から非給与所得という形で株主還元を受けることです。・・こうして家計は、人件費抑制による負担と配当による受益をマッチさせることが可能になるのです。」
(佐藤ゆかりの「経済政策維新」3つの緊急提言より)
「郵政民営化は、あらゆる改革につながる本丸だ」−これが自民党の選挙スローガンであった。総選挙後の委員会審議で野党議員がその真意を問いつめたシーンがある。<郵政が民営化されれば外交も内政もすべてが改革されるのか?>与党席がどよめき、大臣席からも失笑がもれた。真顔で問われても困る、大人げないことを言うなよ、というわけだ。
佐藤は「貯蓄から投資へ」という証券業界の主張をストレートに打ち出し、国営郵政を倒す使命から自民党の公募に応じ、「刺客」の任務を引き受けた。笑ってごまかした与党議員たちとはちがって、佐藤にとってはまさに「郵政民営化は(新自由主義)改革の本丸」であっただろう。このような人材が民主党ではなく、自民党候補となったのは小泉の功績でもあった。
小泉にとって「郵政」は権力闘争の手段であったとしても、復党の容認は佐藤たちの議員活動への敵対であるだけでなく、政策的な裏切りである。そのツケは支持率の低下となって安倍政権に回るだろう。
■安倍に突き付けられた「イエローカード」
安倍は復党問題でつまずき、指導力に疑問符がついた。「改革の継承か、変質か」という政権発足当初から指摘されてきた懸念も強まっている。経済財政試問会議や政府税調を動員して安倍が新自由主義政策を貫徹できるか、安倍にとって厳しい局面もとりざたされている。
小泉のアジア外交は改める。構造改革路線は継承する。これが経済界の要求である。「格差問題など改革疲れを理由にして、昔の自民党に戻ることは許されない」。経済界はそのように繰り返し警告してきた。
外交においては、安倍流のバランスがあるといえる。中国訪問や靖国参拝の「あいまい主義」が右から批判されるリスクを、「北朝鮮への強硬姿勢」や防衛省や教育基本法など右翼的な国家主義政策によって相殺する。しかし「構造改革路線」の継承に関しては、政策としても、指導力に関しても安倍政権は不明確だ。
「復党は有権者の理解を得られない」と日経新聞は社説を掲載し、経済界の懸念を代弁した(11月28日)。「造反組を強引に復党させても来年の参院選で有利になるかどうかは疑わしい。安倍首相はこうした事態を甘く見てはならない。造反組の復党は安倍政権や自民党がこれまでの改革路線を修正・後退させるのではないかとの疑念を生みかねない。もし、そうでないなら来年度予算編成で改革路線堅持の明確なメッセージを有権者に示すべきである」。
日本経団連や経済同友会は「改革路線の継続」、規制緩和・民営化路線の徹底、税制など企業優遇措置の拡大、労働市場のいっそうの自由化と労働者の権利はく脱などを主張し、そのような政策が可能な長期安定政権を要求している。いっぽう安倍は改憲のためには5年は必要だと野心を隠さない。そして、いずれにしても07参議院選挙の勝利が彼らの大前提である。
安倍は今回の「イエローカード」をクリアするために、右翼国家主義政策を強行し、労働者民衆への攻撃を強めるだろう。我々はレッドカードを突き付けるために闘おう。
●郵政職場からの投稿
(注)
「小泉郵政」はなんであったのか。今回の復党騒動はあらためて「郵政民営化」の不義を明らかにしている。
実際、ユニバーサル・サービスの危機は現実のものとなっている。新経営陣は経営拡大に走り「民業圧迫」の批判がたえないが、利害対立の「線引き」はけっきょく民衆から切断された調整の場で決められる。利害調整の責任者である田中直毅(郵政民営化委員長)は<小泉政権の郵政民営化とは政治から郵政を遮断することだった>と言っているが、現実は政界をふくめた郵政利権の争奪戦が繰り広げられている。
田中はまた、「(郵便局網の維持といっても)魚屋も肉屋も八百屋もなくなったところで郵便局だけあっても仕方がないという議論はありうる」と語っている(朝日新聞9月9日)。暴論もはなはだしい。
職場では「トヨタ方式」が業務を混乱させ、労働者を監視し、過労死労働を強要している。多くの労働者が早期退職に追い込まれている。郵政現場からの投稿を掲載する。
●<投稿>
=ここまでやるか!=
10月6日の夕方から翌日にかけ、宮城県内を猛烈な低気圧が襲った。
女川町では入港を目の前にしたサンマ漁船が遭難した。本日までに5人の死亡が確認され、11人が今もなお行方不明となっており、捜索が続いている。大変な被害だ。
海上の荒れの何十分の一かも知れないが、陸上でも風雨はすごかった。私もあの日、運悪く仕事の日だった。おまけに2時間の超勤であった。暴風雨の中、しかも不慣れな配達区。地図をなるべく濡らさないように広げて見ながらの配達は、楽なものではない。それに追い打ちをかけるように、命じられた作業が消費者金融のチラシ配布であった。
手紙はがきのように宛名書きではなく、郵便と一緒に特定の地域にだけ配るものだが、郵政はこのようなチラシ類をタウンプラスと称し、将来の事業会社の重要な収益源と位置付け、依頼してくれる業者の獲得に懸命になっている。
先日のあの暴風雨下ではさすがに全戸配布は無理と判断し、アパートやマンションといった比較的入れやすく、量がさばける場所に限定するようにとの指示が出されたが、気に入らないのは業者のほうだった。
高金利や多重債務の問題が国会でさえ無視できず、改善の方向で議論が進められている状況なのだが、収益さえ上がれば仕事の内容や依頼する業者・企業は関係ないということなのか。
公社は口を開けば我々に「コンプライアンスの徹底」などと言ってくるが、形式的に法を守るだけがコンプライアンスではないだろう。経営上の理念や倫理が問われているはずだ。しかし、今の郵政には反社会的な経営であるかどうかは関係なく、収益こそが関心事であるようだ。
仕事となればどんなものでも綺麗事ではすまない部分や性質がある。そういうことは理解しつつも、釈然としない気分を払うことはできない。
「完全民営化」となればこんなものではないだろう。そう思えば、こんな事でクヨクヨ考えたりする事じたい、自分は「民営郵政」には不要の資質なのだと自ら納得させてしまったりもする。
(一郵政労働者)
■以上

|