宮城全労協ニュース/第90号(電子版)/2007年4月25日

<本号の内容>
★与野党1勝1敗の参議院補欠選挙
★「改憲派が減少」(読売新聞の憲法世論調査)


●国民投票法案の強行を許すな!

参議院補欠選挙は1勝1敗の結果となった。注目の沖縄で野党共闘はマスコミ予想をくつがえすまでにはいたらず、接戦の末に自民・公明が勝利し、野党は1議席を失った。安倍首相はみずから熱望して2度にわたって遊説に入り、党首が先頭に立って選挙戦を闘うという姿勢を強調した。与党は「党首討論からも小沢代表が逃げている」と「党首力」の違いをアピールした。

補欠選挙で敗北したなら求心力に赤ランプがついただけに、沖縄は安倍政権にとっては大きな勝利だった。自民党にとって参議院選挙の厳しさに変わりはないが、この1議席の重さは軽視できないし、また安倍を先頭にする選挙モデル(中川自民党幹事長)が沖縄で見えたことは与党にとって大きな収穫であったろう。

中川は次のように述べている。「(沖縄戦の)週末の総裁遊説の盛り上がり、熱烈歓迎ぶりを見ても<やっぱり安倍総理>なのである。<やっぱり安倍総理>の声で内閣支持率は持ち返した。次は<やっぱり安倍総理>の声のもと、同日選的総動員体制で自民党の態勢立て直しを図る」(4月16日)。「沖縄補選の与党の勝利は、参院選の<勝利の方程式>となる選挙モデルを、<安倍カラーで再構築した>ことにおいて価値があると思う」(4月23日)。

松岡大臣らの政治資金問題、郵政造反議員の強引な復党問題など、安倍政権をとりまく「スキャンダル」や内紛は絶えない。従軍慰安婦問題での「閣内不一致」、「再チャレンジ」の失速、公務員改革のごまかしなど、綱渡りが続いている。しかし、最新の世論調査では内閣支持率は下げどまり、一部には復調傾向にある。

民主党の「非力」さの影響がそこに表れている。小沢民主党は与党のしかける「組織対組織の闘い」に引きずり込まれているように見える。小沢は沖縄の敗戦を「力負け」と総括した。たしかに、野党陣営に「足並みの乱れ」があった、連合沖縄がフル回転できなかったと指摘されている。だが各メディアは、沖縄でも福島でも「無党派層の支持」は野党・民主党が多数だったと分析している。安倍路線との鮮明な対決こそが民主党に問われている。

政府・与党は圧倒的な議席差を背景に国会論戦を乗り切り、参議院選挙への道を切り開こうとしている。攻勢に転じようとする安倍与党を許さず、国民投票法案をはじめ反動諸法案と対決しよう。


●「世論調査 改憲派減少」(読売新聞世論調査)

読売新聞は継続して実施している憲法世論調査の最新結果について(3月17・18日全国実施、個別訪問面接聴取)「改憲派」が3年連続で減少したと発表した。この傾向は共同通信社による全国電話世論調査(4月14・15日)でも示されている。

「憲法を『改正する方がよい』という改正派は46%で、非改正派の39%を上回った。この改正優位は15年間にわたって変わっていない。ただ、今年は改正派が昨年比9ポイント減った。3年連続のダウンだ」(読売新聞社説/4月6日)。

解説記事では次のような補足がなされている。「(現行憲法がこれまで果たしてきた役割に対する評価は高いものの、憲法改正派が今回も多数を占めた。)ただ、改正派は10年ぶりに50%を下回った」。

実際、読売調査によれば「改正賛成派」は、2004年の65%をピークにして、05年の61%、06年の46%と低下し、「反対派」も最低だった04年の22.7%から06年は39.1%と上昇した。

このような結果を受けて読売社説は、「今日の国内外の情勢を踏まえれば、憲法改正作業は、休まず、たゆまず進めなければならない時代の課題だ」として、「『改正』へ小休止は許されない」と語気を強めている。


●自民、民主の双方で改憲派が減少

読売調査によれば「改憲派の減少」は自民党、民主党の双方の支持層で起きている。

自民、民主両党は昨年末、国民投票法案を大筋合意した。安倍首相は「憲法改正を政治日程にのせる」と決断し、「参院選の争点に据える」と公言した。「この一連の動きは、憲法改正の論議を加速させ、改正派の増加をもたらしていい」。「ところが、そうはなっていない」。読売社説は改憲派として次のように現状分析を行なっている。

第一に民主党。この調査では民主党支持層は一貫して改正派が過半数を占めていた。しかし、昨年は58%だった改正派は今回41%に下落した。参議院選挙対策のため、自民党との対決姿勢を強め、また憲法問題で党内対立が深まることを避けようとして、本来は改憲論者である小沢党首の判断によって改憲論議から「逃避」している。そのような姿勢が影響している。

第二に自民党。自民党支持層でも改正派は10ポイント減少した。「安倍内閣を支持すると答えた人の34%が改正に反対」している。安倍首相の対応が問われている。「首相は、国民に無用の不安を抱かせないためにも、憲法をどう変えたいのか、その具体的内容と手順を示し、自ら説得に努める必要がある」(社説)。


●「9条改正の必要なし」が多数
「集団的自衛権は行使せず」が半数

9条に関する質問と回答は以下(資料)のように3項目にわたっている。<9条改正>は少数である。9条第1項は80%、第2項は54%が<改正反対>である。また50%が「集団的自衛権はこれまで通り使えなくてよい」と答えている。しかし、この点について、解説記事は明らかに小さく扱っているし、社説は言及さえしていない。

解説記事が強調しているのは、9条に関して「解釈で対応」と「改正」が36%で並んでおり、「9条を厳密に守る」は20%であるということだ。このような強調のしかたは、あたかも「9条改正派」が「9条改正反対派」を上回っているかのような印象を与えるだろう。

さらに、この調査内容では<9条改正>の<改正派>と<反対派>が、第1の質問と第2の質問のそれぞれに登場する。特別の意図があるのか不明だが、恣意的な解釈も可能になる(*)。


(*注)9条改正に関する質問が別々の項目でなされている(資料の1番目と2番目の質問)。9条改正の<反対派>は、第2の質問で、9条1項については80.3%と圧倒的であり、2項についても54.1%と過半数が反対である。

解説記事は9条に関する3つの項目のうち、この結果をいちばん小さく扱っており、見出しは「戦争放棄 8割が支持」とつけられている。ところが記事の中では、第1の質問の意味で<9条改正派>という言葉が使用されている。つまり35.7%が<9条改正派>である。なぜこのような使い分けがなされているのか、どこにも説明はない。

もちろん、調査では一般的に、質問の組み立て方や聞き方が結果に影響する。調査する側の「意図」が項目の選定や設問の仕方に入り込む可能性があり、ときには特定の結果を引き出すために質問が作られるという「逆転」も起こる。だからこそ世論調査は、実施するほうも知らされる側も「慎重」でなければならない。

しかしそれにしても、35.7%が<9条改正派>だというのであれば、いったい80.3%と54.1%に示されている人々の意思は何だというのか。


[資料/読売新聞全国世論調査(9条に関する項目)]

◆戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法第9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法第9条について、今後、どうすればよいと思いますか。次の中から、1つだけあげて下さい。

・これまで通り、解釈や運用で対応する 35・8(%)
・解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する 35.7
・憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない 20.0
・その他 0.2
・答えない 8.3

◆憲法第9条の条文には第1項と第2項があります。それぞれについて、あなたが改正する必要があると思うかどうかを、順にお答え下さい。

◇「戦争を放棄すること」を定めた第1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
・ある 14.0 ・ない 80.3 ・答えない 5.7

◇「戦力を持たないこと」などを定めた第2項についてはどうですか。
・ある 38.1 ・ない 54.1 ・答えない 7.8

◆日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。

・憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする 20.8
・憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする 20.6
・これまで通り、使えなくてよい 50.0
・その他 0.1
・答えない 8.5


●共同通信では<改憲「賛成」微減57%>

また共同通信社の最新世論調査でも憲法問題がとりあげられている(4月14・15日、全国電話調査)。

「憲法改正に計57.0%が賛成し・・反対は計34・5%だった。2005年4月の同様の調査では賛成計61.0%、反対計29.8%で、小幅ながら賛成派が減り、反対派が増えたのが特徴だ」、「戦争放棄と戦力不保持を規定した9条については44.5%が「改正する必要があるとは思わない」と回答、「改正する必要がある」の26.0%を大きく上回った」(河北新報4月17日)。

<「改憲賛成の理由」は「時代に合わぬ」が54%で最大>と題して、河北新報は次のように解説している。

「・・賛成派が挙げた理由の中で、圧倒的に多かったのは『時代に合わない規定があるから』の54.0%で、『米国に押しつけられた憲法だから』は6.0%にとどまった。安倍晋三首相の自主憲法制定論と世論の間に大きな落差があることが明確になった。」(*注)

「改憲に『賛成』と答えた人の中では『必要』が50.7%に上ったが、『どちらかと言えば賛成』では32.6%。集団的自衛権行使を含めるのかどうかなど、9条改正の方向性がまだ見えないことや、憲法論議の深まりで、9条以外のテーマにも関心が拡大していることが背景にありそうだ。」

「首相は集団的自衛権行使の一部容認に向け、有識者会議で政府の憲法解釈見直しの検討を始める方針だが、自民支持層でも政府解釈が『今のままでよい』と答えた人が46.4%で最も多かった。公明は56.1%、民主は56.7%だった。/内閣支持層でも47.8%が『今のままでよい』で、『解釈変更できるようにすべき』は19.7%、『改憲で行使できるようにすべき』は23.6%。首相の言動を支持層が複雑な思いで見守っている様子が浮かび上がる」。

(*注)安倍首相は4月24日、自民党が主催した「新憲法制定推進の集い」で、改憲の理由を次にように列挙した。「@現行憲法は占領下でGHQ(連合国軍総司令部)の素人により起草された、A長い年月がたち、時代にあわないものもある、B新憲法制定こそ、新しい時代を切り開く精神につながる」(朝日新聞4月25日)。


[資料/共同通信社の世論調査より(河北新報4月17日)]

◆憲法は今年で施行60年を迎えます。あなたは、憲法改正に賛成ですか、それとも反対ですか。

○賛成 27.3(%)
○どちらかといえば賛成 29.7
○どちらかといえば反対 17.5
○反対 17.0
○分からない・無回答 8.5

◆(「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人に)賛成する最も大きな理由を一つだけお答えください。

○米国に押しつけられた憲法だから 6.0
○新たな権利や制度を盛り込むべきだから 17.1
○時代に合わない規定があるから 54.0
○国民の義務をもっと盛り込む必要があるから 14.4
○9条の拡大解釈を防ぐ必要があるから 5.9
○その他・分からない・無回答 2.6

◆(「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人に)反対する最も大きな理由を一つだけお答えください。

○今のままでも不都合はないから 16.0
○世界に誇れる平和憲法だから 38.3
○改正すると戦争に巻き込まれたりする恐れがあるから 41.6
○その他 3.2
○分からない・無回答 0.9

◆憲法9条は戦争を放棄し、戦力を持たないことを定めています。あなたは、憲法9条を改正する必要があると思いますか、そうは思いませんか。

○改正する必要があると思う 26.0
○改正する必要があるとは思わない 44.5
○どちらともいえない 27.0
○分からない・無回答 2.5

◆日本と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合、日本も一緒になって反撃する「集団的自衛権」についておたずねします。政府は今の憲法では集団的自衛権を行使できないとの解釈をとっています。あなたはこれについてどう思いますか。

○今のままでよい 54.6
○憲法の解釈を変更して行使できるようにすべきだ 18.3
○憲法を改正して行使できるようにすべきだ 18.7
○分からない・無回答 8.4

◆憲法改正の手続きを定める国民投票法案は、今国会で成立する見通しです。あなたは、国民投票法案についてどのように考えますか。

○早く成立させるべきだ 19.9
○今国会での成立にこだわる必要はない 55.6
○憲法改正につながる国民投票法案は必要ない 13.2
○分からない・無回答 11.3

■以上