宮城全労協ニュース/第93号(電子版)/2007年7月7日

<本号の内容>

●安倍政権を倒そう!
●瑞慶覧長方さん、「生き証人」として訴える
−沖縄に連帯する6.24東北集会
(資料)沖縄県議会の意見書
●社会保険庁解体、全員解雇−選別再雇用を許すな!
(資料)電通労組の主張
●介護労働者組合の声明


●安倍政権を倒そう!

<赤城農水大臣に事務所費疑惑>

延長国会は7月5日に終了した。12日公示、29日投票の参議院選挙日程がこれで確定した。国民の期待に応えるための会期延長だと安倍首相は強弁した。だが国会は社会保険庁解体法案など最後の強行採決に踏み切った29日をもって事実上終了している。延長するにしても、予定通りの22日投票は可能だった。けっきょくは投票日を1週間ずらすためであった。「1週間あれば怒りを沈静化できる」。こんなごうまんな手法を許してはならない。民衆はそれが逆効果だったことを安倍首相らに思い知らせるだろう。

7月7日、赤城農林水産大臣の事務所費不正疑惑が一斉に報じられた。安倍首相は松岡大臣の事務所費疑惑をかばいつづけた。「政治とカネ」の問題は「自殺」という結末によって骨抜きにされた。後継指名を受けた赤城は「安倍人脈」の一員であり、大臣ポストのたらい回しだという批判が党内にくすぶっていた。赤城をめぐっては、事務所費が年によって大きく「不自然に変動」している問題や、農業団体からの献金報告書を修正するなど、大臣就任直後から疑惑が報道されており、新たな火種をかかえることになった。それにしても安易な「仲間内人事」であり、そのツケが安倍首相に回ることは必至である。


<「危険水域」に入った内閣支持率>

与党は年金逆風にさらされている。政府・自民党は、実効性もさだかでない対策を乱発しながら、反転攻勢のチャンスをうかがってきた。強行採決によって国会が事実上閉幕し、1日の小沢一郎民主党代表との党首会談が7月反転攻勢の出発になるはずだった。しかし6月30日の「久間発言」がもくろみを砕いた。その影響は直後の各種世論調査にあらわれた。

新しい世論調査の結果は内閣支持率の再下落を示した。朝日新聞では「危険水域」とされる30%を切り、28%まで下がった。最新の読売新聞の調査(7月3〜5日)でも32%である。1週間前の同紙調査に比べて支持率は2.4ポイント下がり、不支持率は53%で2.1ポイント上がった。

中川自民党幹事長はあらためて「7月5日の記者会見で風向きが変わる」と反転攻勢の檄を飛ばした。安倍首相はそこで「年金対策の前倒し」を表明した。その内容が大きく報道された翌日、内閣は「年金記録ミスは昭和39年より以前からだった」と認めざるをえなかった。まさに泥縄の事態が続いている。自民党は不信解消のための有効な手立てを持てないまま、告示をむかえようとしている。そのタイミングでの赤城疑惑報道である。


<民意を国政に!>

一方、内閣支持率の低下は、民主党をはじめ野党各党の支持率の拡大に結びついているわけではないことも事実だ。「民主党が年金不信の『風』を十分には吸収しきれず、逆に自民党が逆風をやわらげて挽回し、態勢を立て直す可能性も十分残っていると言えそうだ」と読売新聞は今後の展開に期待感を隠さない(7月6日)。

しかし、世論調査に共通しているのは、内閣支持率の低下だけでなく、「参議院での与野党の拮抗あるいは逆転」、「政権枠組みの変化」を求める声が多数だということであり、そしてまた9条改憲には反対であるということだ。この声を政治に反映させるために闘おう。

連立与党は年金など「生活重視」を前面に押し出している。安倍首相は延長国会の最中である6月30日、四国一周の「異例の1人区行脚」に出た。各地で地元景気対策を訴えたという。選挙期間は「改憲」を封印せよとの声が自民党の現場から吹き荒れているからだ。だが自民党の選挙公約は「美しい国の礎」から始まり、その第1項目に「2010年の国会で憲法改正案の発議を目指す」と明記されている。この参議院選挙は「改憲発議」の最初のハードルである。

右翼改憲政権を倒そう!
連立与党の過半数割れを!
一人でも多くの改憲反対派を送り出そう!



●瑞慶覧長方さん、「生き証人」として訴える
「沖縄戦の体験者として歴史教科書の歪曲を許さない」
−「護憲・反戦・反安保」沖縄と連帯する6.24東北集会−


6月24日仙台で沖縄連帯集会が開催された。安倍政権の改憲攻撃を許さないために、「護憲・反戦・反安保」の沖縄と連帯して国政を動かそうと、東北全労協が集会を呼びかけた。沖縄から瑞慶覧長方さん(沖縄社会大衆党顧問、山内とくしん後援会共同代表)がかけつけた。

集会では川田龍平さん(薬害エイズ訴訟元原告)の東京からのメッセージが紹介された。教科書検定問題や在日米軍の再編など「沖縄の人々に重く背負わせている政治の現状をこれ以上続けるわけにはいかない」、「改憲に歯止めをかけ、9条がかかげる理念を世界に広げるために、東北の皆様と力を合わせていきたい」。

瑞慶覧さんは6月15日、沖縄からの派遣団の一員として、高校歴史教科書の検定問題で文部科学省をただし、その変更を求めた。瑞慶覧さんはご自身の戦争体験をもって、文部科学省の対応を厳しく批判した。


<沖縄戦の「生き証人」として瑞慶覧さんの講演>

瑞慶覧さんの講演は圧巻だった。沖縄戦の生き証人としての瑞慶覧さんの話に、集会参加者たちは聞き入った。

忘して忘しららん
戦世のつらさ
繰返ちなゆみ
子孫のために

「戦争ほど恐ろしいものはない。忘れよう、忘れようとしても決して忘れることはできない。悲惨な戦争のあのつらさを、二度と繰り返してはいけない。子や孫たちのために。そういう信念で、沖縄で反戦運動を続けてきて、いまも皆さんに訴えているのです」。

こうして瑞慶覧さんは、「62年前、国民学校6年生で13歳のとき」から、「米軍の火焔放射機の放つ火の球に追われて崖を下った」翌年の6月20日までを一気に語った。

崖を下り地底に追いつめられた瑞慶覧さんたちは、餓えによる幻覚と「日本人として捕まるのは恥だという葛藤」のなか、1週間ほどしてついに前に踏み出し、米軍の捕虜となることによって生き延びた。

「集団自決」への軍の強制などの記述が削除された「歴史教科書検定問題」に対して、瑞慶覧さんは実体験を通してその虚偽を糾弾した。

「当時、日本は神の国であった。天皇の子である日本人が、鬼畜生である米軍に捕虜になることは最大の恥であった。そういう辱めを受けるよりは、潔く日本国民として、天皇の子として自分で死ぬのが最高の美学だ、美徳だと教えられていた」。「そうして私たちは、軍から手榴弾を二個、渡されていた。一個は米兵に対するもの、そして一個は自分たちに対するものだった。自分たちをやる場合は、信管を抜くまでは同じだが、ポンと抜いたらみんなでこうして抱き合って、手榴弾を持っている人は自分の胸に当てて爆発させる。そうすると、五、六名は間違いなく自決できると。これはぜんぶ教えられている。それが当時の実態だった」。

(*)なお、瑞慶覧さんの講演録は後日、宮城全労協ホームページに掲載します。


<沖縄県議会で全会一致の意見書、すべての市町村議会でも>

歴史歪曲への県民の怒りを受けて、沖縄県議会は6月22日、全会一致の意見書を採択した。また沖縄の各地で続いていた市長村議会の意見書採択は、6月28日、嘉手納町議会と国頭村議会が検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決したことにより、沖縄のすべての自治体が明確な意志を日本政府に突きつけることになった。

以下、電通労組首都圏支部の仲間から送られてきた東京新聞(6月28日)の記事を紹介する。

「『戦争に関しては保守も革新もない。今われわれがアピールしなければ、次第に戦争が風化していき、集団自決も何もなかったということになりかねない』。沖縄県議会の仲里利信議長(70歳)=自民党=は、今月22日に可決された意見書の狙いをこう説明する」。

「県議会が意見書の提出に向けて動きだしたのは、今月上旬だった。23日の沖縄全戦没者追悼式の前に県会として意思を表明すべきだというのは、全会派の思いだった。だが、軍命の表現をめぐり、与党・自民党は『関与』、共産党など野党は『命令・強制・誘導』を主張。意見書は全会一致が原則のため、可決できない可能性があった」。

「その流れを変えたのは、仲里氏が19日の県議会文教厚生委員会で行った戦争体験の告白だった。『思い出したくなくて、後生(ぐそう/あの世)まで持っていこうと黙っていたが、今の状況で話さないと機会を失うと思った・・』」。

仲里議長が家族らと共にガマ(壕)に隠れていたとき、子供の泣き声で米軍に居場所を知られることを恐れた日本兵が、子供に食べさせるように毒おむすびを家族に手渡した。家族は話し合い、「家族一緒なら、殺されてもしようがない。死ぬときは一緒だ」、と家族全員でガマを出て逃げ回った・・。

「仲里氏の告白に、共産党の県議も涙を流し、『分かった。文言にこだわるべきではない』と話しかけてきた」。このとき、全会一致の可能性が現実のものとなった・・。


■資料/全会一致で採択された意見書の全文

去る3月30日、文部科学省は、平成20年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させている。

その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなどを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである。

また、去る大戦で国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くのとうとい生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではない。

よって、本県議会は、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、今回の検定意見が撤回され、同記述の回復が速やかに行われるよう強く要請する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年6月22日

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 文部科学大臣 沖縄及び北方対策担当大臣あて

●社会保険庁解体、全員解雇−選別再雇用を許すな!

(宮城全労協ニュース92号からの続報)

朝日新聞は6月27日、「社保庁労使100の裏協定」と題する記者の連名記事を大きく掲載した(社会面トップ)。どのような意図によって、このタイミングで掲載されたのだろうか。「消えた年金の遠因か」と言葉を選んではいるが、ほくそえんでいるのは明らかに自民党であろう。

「5千万件の年金記録が宙に浮いてしまったのは誰のせいなのか。元検事を含む検証委員会で解明作業が進み、職員のボーナス返上が打ち出されるなか、社会保険庁の労働組合の存在が焦点の一つとなっている」という出だしで記事は始まっている。労働組合(旧自治労国費評議会)の刊行物から記述を拾い、識者と労組のコメントを掲載している。

記事にはどういうわけか自分たちの、取材した側の見解はどこにもない。しかし、読者の多くは労働組合の責任を追及している記事だと受けとめるだろう。そのように印象づける構成、作り方になっていることはいちべつして明らかだ。こういう報道姿勢が許されるのか。

とくに、見出しには「PC45分 休み15分」「キー操作 1日5千」とあり、パソコン作業に関する「覚書や確認事項の主な内容」が列記され、そのような労働実態が<消えた年金の遠因>だと誘導している。

朝日新聞の記者たちは「1時間のパソコン労働につき15分の休み」などは不当だというのだろうか。

厚生労働省のガイドラインは、たとえば作業時間について、「1連続作業時間」は「1時間を超えないようにすること」、「作業休止時間」は「連続作業と連続作業の間に10〜15分の作業休止時間を設けること」、「小休止」として「1連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設けること」としている。

ガイドラインは作業時間、環境、機器の選定と調整、健康診断など多岐にわたり、「VDT作業者の心身の負担をより軽減し、作業者がVDT作業を支障なく行うことができるようにするため」に厚生労働省が策定したものである。これは労働者からすれば最低限の要求である。(<新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の策定について>より/2002年4月5日/厚生労働省)

社保庁のみならず、自治体オンライン化によって情報が結合・管理され、そのために「パソコン労働」が日常化されようとしていた80年前後、自治体労働者は技術面と健康面で大きな不安に直面していた。この不安は「官民」問わないことである。民間企業はいち早く労働者をパソコン労働にしばりつけようとした。「コンピュータ導入による合理化攻撃との闘い」は民間企業の大部分においては早期に一掃された。その結果、「コンピューター労働」と深く関連している労働強化やサービス残業がまんえんし、労働者の健康破壊が深刻化する大きな原因となっていった。だから国もガイドラインの策定に乗り出さざるを得なくなったのだ。

「消えた年金問題」や「社保庁不信」を労働組合攻撃にすり替えてはならない。このような記事が、あたかも正しいかのように垂れ流されてはならない。

年金を支払ってきた人々、そして受給者たちは、事態を知らされないまま今日にいたった。労働組合が責任を負うのは、このままでは年金が正しく支給されないということを民衆に訴えなかったことにある。必要なのは、労働組合をつぶすことではなく、労働組合の社会的役割と影響力を復権させることである。

中川自民党幹事長は、社会保険庁の労働組合は「ばい菌」だと書いた。安倍首相は「長年にわたりあしき労働慣行がまかり通っているのは大きな問題だ」「ごみを一掃しなければいけない」と演説している。これらの言葉に表現されているのは、彼らの階級的嫌悪である。


以下、電通労組の見解を掲載する。VDT労働や国民総背番号制度についての言及もなされている。


■資料/電通労組の主張/6月26日(電通労組hp掲載)

労働組合攻撃、差別・選別による再雇用を許すな!
社会保険庁解体=民営化反対!
年金問題は国がすべての責任をとれ!

<年金問題のすり替えを許さない!>

5千万件の受給資格者が未登録、記録なしと「宙に浮いた状態」の年金の実態が明らかになり、労働者民衆の年金不信、怒りが頂点に達しています。1997年、国民年金と厚生年金との統合時の記録漏れというずさんな社会保険庁の管理ミスで、受給ができないことが明らかになっています。

この事態に安倍自公政府は、急遽議員立法で「年金時効特例法案」を上程し、社会保険庁関連法案とともに強行採決しました。5年の時効を撤廃するという法案ですが、この5千万件がこの法律で救済されるわけではありません。参議院選挙対策として、その場凌ぎの安倍自公政権の責任回避とゴマカシを許してはなりません。

安倍自公政府は、「年金問題の背景には民間ではありえない常識はずれの社会保険庁の労使慣行がある」とし、かつての「親方日の丸の国鉄」と同様、社保庁の問題は労働組合にあると断言し、労働組合への全面的な攻撃に出ています。マスメディアもそれを増長する報道をしています。

6月18日のNHKの「ニュース9」では、1997年の年金原簿の電子化の際の「VDT労働」に関しての労使協定を取り上げ、「(60分のうち)45分の作業に対して15分の休憩をとる」としていると問題にし、これらが「ずさんな管理につながった」と政府の労働組合攻撃を助長する報道をしています。協定内容は、厚生労働省の「VDT労働指針」に基づくものであり、民間の職場で野放しになっている労働者の身体保護を逆に拡げる責任が政府の側にこそあります。

安倍首相、塩崎官房長官、柳沢厚労相は、この年金問題の責任をとるとして、夏季一時金(ボーナス)の一部返納を表明しています。これは当然としても、社会保険庁の労働者にも返納を強要する動きは許されません。

社会保険庁解体の発端となったグリーンピアに見られる巨額な年金保険料の流用問題や年金の管理ミスの責任をとるのでなく、労働者と労働組合への攻撃を通して労働者民衆の年金不信、怒りの矛先を変えようとしています。このすり替えを許してはなりません。


<労働者を差別・選別する再雇用を許すな!
社会保険庁解体は国鉄解体と同じだ!>

社会保険庁関連法案の一つ、「日本年金機構法案」が衆議院で強行採決され、参議院で審議中でありますが、この法案は社会保険庁を廃止し、非公務員型の公法人「日本年金機構」に業務を委託するというものです。社会保険庁の民営化です。社会保険庁の組合(自治労)への露骨な攻撃を強める安倍首相は、社会保険庁への問い合わせ集中に関して、「一生懸命働いている職員もいるが、時間外などしたがらない職員もおり、こうした職員は新しい機構には必要ない」と発言し、「まじめな」労働者だけ再雇用するとしています。

まさに、20年前、国鉄を解体し民営化したとき、国鉄労働者にかけられた攻撃と同じものです。私たちは、労働者を差別・選別する再雇用に断固反対します。

労働組合は、労働者の生活と権利を守る闘いとともに、労働組合の社会的責務として公共サービスや安全、公正を求めて闘うことも当然です。

民間に委ねて本当に信頼される業務ができるのでしょうか。東京都の水道事業の外注化、公共サービスの市場化テストの頓挫と、公共サービスの民営化・商品化はいろいろなところで破綻を示しています。公共サービスは国が責任をもって実施すべきです。私たちは、安易な民営化に反対します。

また、このずさんな管理を「利用」し、年金・医療保険・介護保険の個人情報を一元管理する「社会保障カード(国民カード)」を住基ネットと連携させて導入することを狙っています。

住民登録・戸籍・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報が一瞬でわかる「国民総背番号制度」の完成です。個人情報漏洩が厳重なセキュリティを施してもなくならないなかで、年金問題沈静化と利便さだけで参議院選挙の公約に盛り込む自公の危険な狙いを許してはなりません。

国家公務員法改悪反対!
労働組合攻撃は許さない!
年金問題は国がすべての責任をとれ!
国民総背番号制の導入策動を許すな!


●介護労働者組合の声明

以下は介護労働者組合の声明です。

なお、宮城全労協6月16日付の「『コムスン不正』の原点に労働組合弾圧」(トピックス欄)を参照してください。2000年のコムスン労働組合の闘いの資料を掲載してあります。


■資料/コムスン問題に関する声明

全国一般全国協議会・介護労働者組合
(2007年6月11日)

1.コムスン、グッドウィルグループは介護保険制度を食い物にするな!
直ちに介護事業から撤退せよ!

6月6日、厚生労働省は、コムスンに対して指定の更新を行わないことを都道府県に通知した。これをうけてコムスンは事実上、事業存続が不可能なこととなった。日本の介護保険を担う最大手の企業でおこった組織ぐるみの不正は、極めて悪質であり、厚生労働省のこの処分は当然のことである。


店舗数の規模が株価の評価につながり、株式上場のために、結果として人員を偽装して事業所申請をうけ、さらに毎月の介護保険の水増し請求を繰りかえし、売り上げを確保する。国民の税金と保険で構成される介護保険を食い物にしてきたその企業体質は強く批判されなければならない。

今回の不正横行の根本問題は、インターネットカフェに寝泊りする現代の日雇い労働者=フリーターを使い捨て、さらに彼らからピンハネし、ぼろ儲けし、急成長してきた違法、偽装もいとわない派遣業として親企業=グッドウィルグループにあることは論を待たない。コムスンの今回の問題は、「労働者は使い捨て」という派遣的企業手法を、人を大切にする介護事業に持ち込んだことの破綻であり、金儲けのためには手段を選ばないという手法にその原因があるのだ。

司直の判断ではあるが、コムスンとその親企業グッドウィルは、不正受給=詐欺罪で処罰されるべきであり、折口会長は責任をとるなら潔く辞任し、介護事業から直ちに撤退することを要求する。

2.国、自治体はコムスン、グッドウィルグループを協力させ、利用者のサービスを保障すること!コムスンで働くすべての労働者の雇用と労働条件を保障すること!

コムスンを利用していた多くの利用者が、サービスの継続に不安を感じている。とりわけ、人の配置が困難な24時間の訪問介護サービス利用者に不安が大きい。この原因は、介護保険制度の不十分さに起因する。このため、ずさんなコムスンの事業の在り方を厳しく指弾できなかった自治体もあると聞く。国、自治体は、コムスンとグッドウィルグループに協力させ、利用者の不安を払拭し、サービスを継続することに全力を尽くすよう求める。

24時間365日を標榜するコムスンで働く労働者たちが、低賃金と長時間労働を強いられ、未払い賃金があることを訴えている。また、事業所の閉鎖統廃合のなかで解雇問題も発生し、今後、雇用問題が急増することが予測される。コムスンで働くすべての労働者の雇用と労働条件を保障することを求める。

3.国、自治体に介護保険制度の早急で大幅な改善を計ることを求める。

高齢者、要介護者に対するサービスは、人にかかわる大切な仕事だ。しかし、育児や介護など人に関わる仕事の対価は著しく低い。もちろん、コムスンや親会社グッドウィルのように、介護事業を食い物にし、大幅な利益追求に走ることは許されない。しかし、充分な介護サービスが、介護労働者の安定した生活保障抜きに実現できないのも事実だ。悪質な事業者を介護サービス現場から排除する仕組みと共に、介護サービス単価の引き上げをはじめとする見直しを、早急に実現するよう国、自治体に求める。

4.私たちは、2000年介護保険開始時に、コムスンが全国展開する際、九州事業本部を中心としてコムスン労働組合を結成した。6名の解雇者をはじめとした組合つぶしの不当解雇と闘い、また、長時間労働、残業代未払い、深夜の危険な労働の見直しなどの労働条件の改善を求め、会社の介護保険上の不正とも闘った。会社は不当解雇を認め勝利的和解を実現し、当時の樋口社長自身が深々と組合に不正行為を詫びた経緯がある。

残念ながら職場復帰はならず、組合員の多くは他の介護会社に再就職し、全国一般労働組合全国協議会・介護労働者組合を結成し、介護現場の労働条件の改善のために奮闘してきた。

私たちは、今回のコムスン事件に対し、悪質かつ組織ぐるみの故意の不正であり、働く者と高齢者にこれ以上の被害が及ぶことを黙過することが出来ないと考え、以上の声明を発することとした。

コムスンに働く労働者をはじめ、介護労働に携わるすべての仲間に、共によりよい介護保険制度と介護労働者の雇用の安定と労働条件引き上げのために闘うことを呼びかける。

■以上