宮城全労協ニュース/第94号(電子版)/2007年8月2日

(本号の内容)
★自民党が歴史的大敗−安倍政権を倒そう!
★山内(比例)糸数(沖縄)川田(東京)候補が当選!


★<速報>
NTT反リストラ裁判、東京地裁が反動判決!

東京地裁民事11部は7月25日、仲間たちの訴えを全面的に退ける反動判決をくだした。配転は「社員の配置を柔軟かつ効率的に行う」ものであり「経済の進展及び産業構造の変化等に即して当然」である。配転強要も退職・再雇用による15〜30%の賃下げも「労働者の合意を媒介とする個別的な労働条件の変更」であり、「合意の成立を前提とした転籍」である。こうして判決は、NTTの不当な攻撃の事実をねじまげ、リストラを容認し、労働者犠牲を支持した。

原告団は当日、「判決は断じて認められるものではない、全面勝利をめざしてより一層の闘いを作り上げていく」と声明し、NTT東日本に対して以下の申し入れを行った。

1.全国に不当配転した労働者全員を直ちに地元に戻すこと。
2.50歳退職・再雇用制度を撤廃すること。
3.「構造改革」=NTT11万人リストラを中止すること。

(以上、速報)



自民党が歴史的大敗−安倍政権を倒そう!

7月29日、参議院選挙の結果がでた。自民敗北の事前報道が政権党の底力を発揮させるかもしれないという指摘もあった。しかし、流れはくつがえらなかった。民報各社は20時の時点で等しく自民40議席割れをはじき出した。結果はその通りの自民党の歴史的敗北であった。とくに1人区は「オセロゲーム」のように自・民が入れ替わった。民主党は参議院第一党に躍り出た。自民党は結党以来初めて参議院多数派の座から転落した。政権批判は公明党にも及び、自民党に引きずられて敗北した。

報道各社による出口調査等の分析は共通している。

第一に、「投票に際してもっとも重視した項目」は「年金問題」が群を抜いており、2位は「政治とカネ」であった。

第二に、投票率は前回を上回った(選挙区で58.64%、前回より2・07ポイント増)。期日前投票が過去最高の1080万人、全有権者の10.33%にのぼったことが寄与している。春の統一地方選挙と重なる年は投票率が低下するという「亥年のジンクスが初めて破られ」、民主党の圧勝につながった。

第三に、「支持政党なし層」の過半数近くが民主党に投票した。

第四に、自民党は支持層の造反に直面し、少なからぬ割合(2割から3割弱)で民主党に流れた。


爆発した民衆の怒り−自業自得の自民大敗

「年金」「政治とカネ」が最大の問題だった。年金問題を「政争の具」にしたのは自民党であり、昨年来、年金問題を社保庁解体と労組攻撃にすりかえて選挙の材料にしようと策動した。安倍政権は「宙に浮いた年金問題」を軽視し、その後の対応も二転三転した。「私の内閣ですべて解決する」という安倍発言を民衆は受け入れなかった。

安倍首相はまた柳沢厚労大臣に続いて松岡大臣も擁護しつづけた。「自殺」を利用して真相究明を葬り去り、ザル法で一件落着をはかった。6月上旬以降、民衆の政権不信は自民党への「逆風」となって政治情勢を引っ張っていった。

安倍政権は投票日延期をはじめとして様々な手を打った。教育再生会議の室長と拉致問題の総理補佐官を担ぎ出し、比例区候補の目玉に据えた。政府は「年金」と「公務員天下り」対策で露骨なパフォーマンスを演じた。小泉前首相が重点選挙区に投入された。だが小手先の対応では情勢を逆転することはできなかった。「打つ手がすべてマイナスに作用する」ほどの逆風であり、「すでに安倍政権の底が割れていた」。

大臣の失言が続き、首相がそれを擁護するたびに内閣支持率は続落した。赤城問題が最後の決定打となった。松岡大臣の後継人物に事務所費問題が浮上したこと自体が大失態であるが、それ以上に赤城をかばった安倍首相の態度がダメ押しとなった。「月800円の光熱水費で大臣の首を切れというのか」。安倍の政治感覚は自民党支持者たちの不信を追い打ちした。

自民党の現場や候補者たちは「経験したことのない逆風」を訴えていた。「毎日数万票が逃げていく」。参議院自民党の三役、比例区の顔である舛添要一は内閣の緩みと政権の無策を批判した。党内から「仲良し官邸団」という言葉まで飛び出した。それでも安倍や塩崎官房長官たちは無視しつづけ、閣僚や派閥実力者たちも手をこまねく状況が続いた。テレビには支持者に向かって「電話を」と絶叫する安倍と、地方遊説を続ける小沢の姿が映し出されていた。けっきょく舛添は自民比例区でトップ当選したが、6年前から実に110万の個人票を失った(自民党全体では比例区で500万票の減)。安倍自民党のまさに自業自得の敗北である。


責任逃れの「続投」表明

森元首相、中川幹事長、青木参議院議員会長の3人は選挙当日に密談した。大敗を確認した3人は安倍退陣で一致し、辞任表明のタイミングを探るという話にまで及んだという。しかし安倍はそれを拒否し「続投」やむなしに流れていった(河北新報8月2日)。

安倍は結果が出る前から「続投」を決めていた。小泉や麻生は事前に「続投支持」を伝えていたといわれている。

安倍は「続投」のカケにでた。総理・総裁にしがみつく安倍は、「改憲」と「美しい国づくり」を安倍政権でなしとげるという野心を捨ててはいない。30日、安倍は正式に「続投」を表明し、「反省すべきは反省する」と繰り返した。続投理由は「基本的な政策は支持されている」というものだった。その根拠を問われた安倍は、「経済を成長させて景気を回復し、格差を解消する」とちぐはぐで虚ろな答えを返した。安倍は姑息にも、政権の「命」である「美しい国」「憲法改正」を口にしなかった。

安倍続投は党内でも説明がつかない。投票が近づくにつれて自民党幹部たちは「参議院選挙は政権選択ではない」と声をそろえ、首相退陣論をしりぞけてきた。にもかかわらず、安倍は最後になって「自分と小沢のどちらを選ぶか」と選択を訴えたからだ。赤城大臣の更迭も安倍の責任逃れであり、事態をますます悪化させている。しかし「安倍の他に誰がいるのか」が本音であり、すでに人事ポストにむらがる猟官運動も始まっている。自民党を恨み節と無気力がおおっている。民衆はこのような政権続投を許さないだろう。


転落した安倍政権

安倍政権は高い支持を得て、望外の「ロケット・ダッシュ」に成功した。それから10か月、あまりにも大きな落差である。

安倍政権には特有の「雰囲気」がただよっていた。安倍とその周辺の言動に見られる「軽薄さ」や「狭量さ」が当初から指摘されていた。米国から「ダブルトーク」と批判されるようなデタラメさ、ウソっぽさを民衆は敏感に感じとってきた。強行採決の連発は民意を無視した独裁的な権力行使の危うさを実感させた。

転落は昨年秋、郵政造反・現職議員の復党問題から始まった。小泉後継内閣として禁じ手であった。「既得権益者や郵政票に期待すれば選挙で敗北する」。小泉は警告したが、復党容認の道筋をつけたのも小泉だった。「離散集合は世の習い、郵政民営化だけが政治じゃない」という発言に「小泉チルドレン」たちは絶句した。

安倍は仲間うちを集めて政権基盤を強化しようとした。老練な小泉や森からすればそれは経験と自信のなさであり、試用期間として安倍を見守ったということだろう。しかし、安倍はますます手前勝手な姿勢を助長させ、審議会などへの人脈結集を強め、ついには中川幹事長との合意を破って郵政落選組の衛藤を復党させた。

このような人事や失態つづきの閣僚の擁護は「仲間内内閣」の批判をよんだ。「戦後生まれで新しい自民党のプリンス」というふれ込みとは異なって、権威主義で自己保身の安倍のイメージが定着していった。人々は「首相としての資質」「政権担当能力」を話題にし、政権不信に傾斜していった。


●改革路線の堅持か、修正か、転換か

御手洗日本経団連会長は「本格的な政策論争が行なわれず残念だ」とし、安倍首相の続投と「改革路線の堅持」を求めた。小泉後継の安倍が敗退することは小泉改革の挫折につながりかねず、日本資本主義のこれまでの基本路線が問われざるをえないからだ。

郵政選挙によって絶頂をきわめた小泉政治は最後の1年で失速した。労働者民衆の生活破壊は深刻化し、地域社会の荒廃は耐え難いものとなっていた。小泉を支えた都市部の熱気は急速に失われていった。そこに耐震偽装が発覚した。規制緩和・民営化への疑問が社会問題化していった。

安倍政権は「小泉(竹中)改革の影」を背負って誕生した。「改革か抵抗か」で切りさばく小泉流は色あせていた。安倍政権は独自色を打ち出そうとし、小泉と竹中が無視した「格差問題」に取り組もうとした。選挙の「顔」として選出された安倍首相にとっては「格差問題」は不可欠でもあった。

中川幹事長は次のように説明した。安倍は弱肉強食の市場原理主義ではない。小沢一郎はいつのまにか「社会主義」に変節した。安倍はどちらでもない第三の道を行く。それが「経済成長の上げ潮路線と再チャレンジ政策」である。

安倍政権が問われたのは「改革路線」の堅持か、修正か、それとも転換かということであったはずだ。しかし「経済成長路線」と「財政再建路線」が対立した。経済界はより一層の「規制緩和」を求めた。安倍は路線問題を棚上げし「実績を積む」ことに腐心した。官僚も予算獲得のために飛びついた。しかし、対策はその場しのぎの羅列にとどまり、急ごしらえの各種審議会も政局の緊迫のなかで立往生していった。安倍政権は「残業代未払い法案」は下ろしたが「最低賃金の引き上げ」は断念した。「労働三法案」は政治反動諸法案を強行採決するために犠牲にした。


生活の現場から民衆の選択

こうして安倍政権の社会労働政策は大きく後退していった。政策そのもののごまかしも露呈していった。「再チャレンジ」は新しい競争であり、実効性も疑問だ。非正規雇用対策、ニートやフリーター対策も魅力がない。小泉の「改革チルドレンたち」はどこに消えたのか。世論調査は都市部の青年たちの内閣支持率が低いと報じていた。

<市場化、民営化万能論はもはや時代遅れだ>という声も強まってきた。勝ち組の象徴であったホリエモンや村上ファンドはもはや若者のヒーローではない。「コムスン−グッドウィル」事件は介護と派遣という代表的な改革経営の実態をあばいた。

さらに改革の恩恵から外された「地方格差」問題が焦点化していた。

安倍政権への当初の期待感が失われていくなかで、民主党の「生活が第一」という主張が生きた。1人区の重視という小沢戦略が功を奏した。それは「改革継続か、修正・転換か」を棚上げしてごまかしてきた安倍陣営が、最後になって「改革実行力」という白々しいスローガンを掲げたことと好対照であった。

地方の疲弊は限界に達していた。中小企業は悲鳴をあげていた。農業に未来はない。若者には職がない。「駅前シャッター通り」の建直しのために自助努力せよと言われても、大手流通資本の進出を止めることはできない。自民党政治への不信と絶望が拡大し、地方は政策の修正・転換を求めていた。

小泉は選挙の最終盤、「東北1人区の全敗」を阻止するため、激戦の青森と秋田に入った。「格差のない社会は努力する者もしない者も同じ社会だ」。動員された自民党支持者たちは相変わらずの小泉節をどのような思いで聞いただろうか。「小泉旋風を巻き起こしたかつてのような熱気はなく、自民陣営には『マイナスにはならないと思うが、どれくらい票に結びつくか』と、効果を計りかねている様子も見えた」と河北新報は報じた。結果は民主党の東北1人区の全勝であり、その結果は全国的なものであった。

年金の枝葉末節な争点化に終わったとか、重要な政策論議がなかったというのは、選挙結果を薄めるための意図的な主張である。民衆は生活実感を通して「小泉改革」の見直しを要求したのであり、「小泉改革」にこびた安倍政策への批判票を投じたのだ。


安倍政権の打倒へ!

民主党の圧勝に加えて、野党は参議院で過半数の議席を得た。衆議院での自公の圧倒的多数と参議院での与野党逆転。これまで経験したことのない緊迫した国会状況が予想される。秋の臨時国会は9月に召集される予定であり、安倍首相が政権にしがみつく限りはそれまでに党と内閣の人事が行われ、第2次安倍内閣が発足していることになる。

民主党は大きなチャンスを手にした。期待はこれまでになく高まっている。最新の世論調査でもそれは示されている(*注)。

小沢民主党代表は7月31日、参議院での勝利は第一歩であり、「最終目標」は衆議院での勝利による政権の獲得であると表明した。小沢代表は同時に、「11月のテロ特措法の延長に反対する」「いままで主張してきた通りであり、(参議院で多数派になったからといって)今度は賛成というわけがない」と明言した。臨時国会での激突は必至である。

塩崎官房長官らは敗北直後から「民主党との協調」と臆面もなく言い出している。いっぽう民主党内部には「反対野党から脱皮すべき」の声がある。「議員立法の重視」でも自民・民主の歩み寄りは可能だろう。しかし「テロ特措法」はそういうわけにはいかない。外交路線の根幹、日米同盟が問われる問題であるからだ。民主党にとってはほかの野党との関係もある。

民主党が選挙結果を受けて安倍政権の退陣を迫ることは当然のことであり、それは民主党に寄せられた期待である。そして、期待が大きければ大きいほど、基本的立場や政策が問われることになる。「テロ特措法」は避けて通れない問題になるだろう。

11月1日、「テロ対策特別措置法」は期限切れになる。海上自衛隊は2001年11月2日以降、この法律によっていち早く、インド洋での「多国籍軍艦船への洋上給油」などの支援を行ってきた。当時の小泉政権政権によってなされた軍事支援であり、イラク・アフガニスタンがこうなってもなお、日本は米軍の攻撃に加担し続けている。安倍政権は政策継続の説明義務すら果たしていない。私たちは、民主党が小泉−安倍政権の戦争支持政策の誤りをただし、全面的な論戦と行動を通して延長を阻止することを求める。


「国民投票法」を強行採決した「安倍改憲」の日程には三つの国政選挙が想定されていた。次の第二ラウンドは衆議院選挙だ。時期がいつか、どのような形になるかは予断を許さないが、いずれにせよ第三ラウンドの2010年参議院選挙の前、どんなに遅くても2009年夏までには衆議院選挙は実施される。

第一ラウンドの結果を受けて、労働者民衆の次の闘いが始まらねばならない。


安倍右翼改憲内閣を倒そう!
「テロ対策特別措置法」の延長を阻止しよう!
新自由主義改革路線の転換をかちとろう!



(*注)
共同通信、朝日、読売、日経は各々、選挙直後の緊急世論調査を公表した(8月1日)。民主党への支持率は軒並み上昇し、自民党は低下している。公明、共産、社民各等はおおむね従来通り。以下は主な内容。

■河北新報は「5割が首相辞任を」「内閣支持29%に急落」「首相続投、地方ほど反発(四国67.5%、東北62.2%が不満)」と報じた。

■日経は、内閣不支持が63%で森政権末期の水準だと報じた。
「続投」 反対50%、支持36%
「解散・総選挙」 年内44%、来春15%、急ぐ必要なし29%
「次の首相」 小沢18%、安倍14%、小泉12%、菅8%
「次の政権枠組み」 自民と民主党の一部34%、民主中心の非自民連立28%、自公連立14%、自民単独8%

■朝日では「辞任が47%、続投が40%」。政党支持率では自・民が逆転した(民主34%、自民21%)。
「選挙結果」 良かった68%、そうは思わない18%(自民支持層も良かったが4割)「経済成長重視の改革路線」 賛成36% 反対43%
「民主大勝の理由」 自民に問題がある81%、政策に期待できる9%、小沢代表4%
「民主に期待するもの」 与党の政策を改めさせる37% 政権交代25%、期待していない33%

■読売の見出しは「首相続投 賛否二分、評価44%、評価せず45%」「早期解散不要53%」「内閣支持32%」であった。
「選挙結果について、『良かった』が64%で、『良くなかった』の21%を大きく上回った。ただ、安倍首相の「続投」表明については、「評価しない」が45%、「評価する」が44%だった。今回の選挙結果を首相に対する不信任とみなす声もあるが、首相の続投を支持する世論と退陣を求める世論は拮抗していることが明らかになった」。



★山内(比例)糸数(沖縄)川田(東京)候補が当選!

いくつかの重要な闘いのなかで貴重な勝利が実現した。

東京の川田龍平候補(無所属)は激戦を闘いぬいた。4位の丸川(自民)は69万、落選した保坂(自民)が65万、川田候補は68万を獲得し、最後の貴重な1議席を得た。川田選挙を担ったのは多くの自発的なボランティアたちだった。とくに若者たちにとって、新しい政治の可能性を実感させる闘いであった。川田候補への共感は全国に広がり、宮城県からも声援が送られた。

私たちは沖縄を背負って闘った山内徳信候補(社民党・比例区)、雪辱をはたした糸数慶子候補(沖縄選挙区、野党共同)の勝利をともに喜びたい。山内候補は14万5千の個人票を獲得し、沖縄を怒りを全国に示した。糸数候補は自民候補に12万5千票の差をつけて圧勝した。

二人は地元新聞のインタビューに答えて、「安倍政権への怒りがあった。県内でも教科書問題、擁護学校への米軍装甲車侵入などがあり、今の政権を変えてほしいとの期待が集まった」「憲法が危ない、平和実現のために戦う国会議員を押し出そうという気持ちが集まった」とふりかえり、反戦・平和への期待を背負って日米両国政府への闘いを進めると抱負を語った(琉球新報、7月30日)。

また山内徳信さんは座り込みを続ける辺野古に駆けつけ、「私は当選することを目的に選挙に出たのではない。(当選が)ゴールではない。私は議員バッジをつけて辺野古に座り込み、新基地建設を阻止し、たたかうために選挙に出た。これから私はまた辺野古でたたかう」と述べたという(辺野古からの通信等)。これからも沖縄との連帯を深め、憲法改悪阻止、反戦・反安保の闘いを進めていこう。

■以上