●薬害肝炎患者の「無条件救済」を!
−薬剤企業と国の責任逃れは許されない−
●福田首相は患者たちの要求を受け入れよ!
大阪高裁は12月13日、薬害C型肝炎訴訟に関する和解骨子案を提示した。すでに全国5か所の裁判うち4か所の訴訟(仙台地裁を除いて!)で、企業と国の責任を認める地裁判決が出されていた。和解骨子案は公表されていないが、救済の範囲をもっとも少なく限定した(法的責任の及ぶ期間をもっとも短く限定した)東京地裁判決を踏襲している。原告たちはただちにこれを拒否、「一律救済」を求めて政府の政治決断を求めることを改めて明らかにした。
「命の線引きは許されない」「切り捨ては許さない」。すべての被害者の救済を求める原告たちの主張はまったく正当である。企業と政府は原告たちに向き合い、責任を明確にして謝罪し、その要求を一刻も早く実現しなければならない。
多くの犯罪・不正行為を繰り返してきた薬剤企業、製薬会社は、そのたびに責任逃れに終始し、企業利益にしがみついてきた。国はそのような企業の対応を断罪することはなかった。厚生労働省は企業犯罪の共犯者でさえあった。薬害C型肝炎に関しても、企業と国は増大する感染者への対応を放棄してきた。被害は拡大し、多くの生命が奪われた。B型肝炎を含め、昨年の肝硬変・肝がんによる死者4万2726人の大半が肝炎ウイルス感染者であるといわれている。患者たちは責任をとらない企業と国に抗議し、実名を公表して提訴に踏み切り闘ってきた。
舛添厚労大臣は11月7日、はじめて原告団と面会した。興奮してはしゃぐ大臣の姿がテレビに映し出された。まるで脚光を浴びるスターの笑顔ではないか。言いようのない違和感がそこにあった。全国の患者たちの心は凍りついたに違いない。「これで全面解決ですよ、といいたげな態度で、自分たちの被害を訴えようと緊張していた私たちの気持ちとのギャップを感じ、がっかりした」「舛添さんがどこまで本気で、どこまで信じていいのか私にはわからない。まだ握手はできない」(朝日新聞11月8日)。そして現実に、原告たちの「期待」は次々と裏切られていった。
12月3日、厚生労働省は社会的批判の末にようやく実施した内部調査結果を公表した。副大臣を責任者とする調査は、身内の自己保身そのものであった。厚労省が存在を否定していた感染者リストは、当の厚労省の地下倉庫で発見されたという。リストを提出していた製薬会社は、「記載されていた418人のうち、その後の調査で47人の死亡が確認されている」と発表した。調査は厚労省の隠蔽の責任を問うことはなかった。現職幹部の3人に「厳重注意」が言い渡されただけである。調査結果を公表した副大臣は、最後まで被害者への謝罪に言及しなかった。原告たちは調査結果を批判し、舛添厚労大臣への不信をあらわにした。「(大臣の発言は)軽すぎる。責任をあいまいにして幕引きしたいのが見え見えだ。人の命を何だと思っているのか」。しかし、舛添大臣が政治責任を貫くことはなかった。
大阪高裁の和解案提示を前にして、原告たちは福田首相への会見を求めて首相官邸を訪れた。首相の返答は門前払いだった。首相は国会審議でも、「自分は詳細は知らない」と逃げ続け、答弁を舛添厚労大臣にまかせた。そして、その大臣は「リップサービス」を繰り返した。
大阪高裁の和解骨子案を聞いて原告の一人は、朗報を待ち望んだ患者たちに、「自分の力が及ばなかった」と詫びたという。患者たちは懸命に生き、闘っている。首相や大臣の言動がどれほど患者たちを傷つけてきたか。
12月14日、舛添は渡辺行革担当大臣との折衝を前にしたテレビ取材で、「お互いストレスがたまるが、私は打たれ強いから」などと興じていた。大阪地裁提案を原告たちが拒否した翌日、そして、年金公約をふみにじって批判を浴びた二日後のことだ。しょせんはその程度の人物であるとしても、福田内閣の目玉人事である舛添大臣は、自分が国民の期待を裏切っていることの重大さを理解していないようだ。人心に背く福田政府にツケが回るに違いない。
福田首相は、「一律救済には根拠がないとだめだ」と述べ、東京地裁判決にそった分断措置で切り抜けようとしている。彼のいう根拠は財務省に向けられている。「税金を使う根拠」を「国民」に示す責任は政府にある。患者たちを救済しないのであれば、そういう政治家や政府は退場すべきなのだ。
企業と国は原告たちの要求を受け入れよ!
責任を明確にして謝罪し、患者たちの無条件救済に乗り出せ!
(12月15日)
■以上
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