<本号の内容>
◎NTT不当配転・第4回口頭弁論
◎NTT企業年金反対の全国共同闘争へ!
◎ソフトバンク、日本テレコムを買収/通信業界の再編が加速
◎あいつぐ個人情報の流出、ヤフーBBも
★なぜ「構造改革」なのか? あいまいなNTT、裁判長も指摘
−不当配転・第4回口頭弁論−
前々回の口頭弁論(2月26日、東京地裁)で原告側は、NTTが本質的な主張に踏み込むことを期待し、争点を明確にするための準備書面を提出した。小手先論議では不当配転の本質をえぐり出すことはできないからだ。NTT側はその返答として準備書面を提出し、第4回口頭弁論(4月15日)ではその内容が論点となったが、またしてもNTT側のあいまいな姿勢が問われた。
不当配転は「NTT構造改革」がもたらしたものであった。では、「NTT構造改革」とは何か。なぜ「構造改革」が必要だったのか。改革の目的、計画の根拠、実行の判断を示すべきだ。そうでなければ、NTTリストラによる配転の実像が明らかにならない。配転が「構造改革」の結果としてあることは明白である以上、本質論議にならなければ「配転の当否」を判断することはできない。だから、裁判長も、提出された準備書面には「(構造改革を)デザインした実態がストレートに書かれていない」と指摘する事態となった。こうして、裁判長は次回口頭弁論(当初予定5月27日)を取り止め、「争点整理」の場を設定することになった。
裁判にあたって、問われているのはなによりもNTTの姿勢である。NTTリストラが企業内はもとより、社会的にもたらした大きな影響を真摯に受けとめるべきだ。NTT側のまっとうな対応が求められている。
(次回口頭弁論は現時点で未定。)
★拡大する減額反対のうねり
NTT企業年金改悪に反対する全国共同闘争へ!
NTTは企業年金の大改悪に向けて、この間、説明会を開催してきた。宮城県内では4月、5月にかけて、石巻、岩沼、古川、仙台の4ヶ所。NTTは「今回見直し(=減額)ができなかった場合、企業年金制度の維持が困難となり、場合によっては制度の廃止(解散)もあり得る」と説明した。退職・再雇用攻撃に続いて、またしても、脅し、恫喝だ。
電通労組は「同意の強要に屈するな」とキャンペーンしている。『NTTの企業年金改悪に「同意しない会」(宮城)』は学習会を呼びかけながら、「みんなで「不同意」の輪を広げよう」と訴えている。
−−「私たちは、自分の退職金を企業年金に預け、将来受け取る年金受給についてそれぞれ「契約」したのです。しかも、その条件を提示したのはほかならぬ会社です。なんで「削減に応じろ(同意しろ)」などと言われる必要があるのでしょうか!社会のルールを逸脱してはなりません!会社は約束を守りなさい!」(『同意しない会(宮城)』チラシより)
NTTは「3者協議会」を設置して改悪強行をねらっている。事業主、加入者、受給者の「代表」で構成されるが、この協議会自体が根拠や基準等が不明確なものである。加えて、NTT労組のバックアップが期待されていることも明白だ。
6月1日から選挙の立候補が始まり、投票は6月22日から7月5日に行なわれる。退職者ならびに現加入者の不満と危機感が高まる中、「改悪反対、減額反対」をかかげて全国的な共同闘争が実現しようとしている。
企業利益に執着し、労働者の生活を破壊するNTTを許すな!
全国の連帯と団結で企業年金改悪反対の大きなうねりを作り出そう!
■いわゆる業界紙での話だが、「通信興業新聞」の「電電ウソップ」というコラムに、「落し穴」と題する文章が載っている(03年11月24日号)。「大手通信Nグループ傘下の地域通信会社」の支店長と総務部長が、馴染みの居酒屋で一杯やっているという筋立てだ。
支店長が飲んで荒れる。民営化、分割再編成の度に給料は減らされ、職場も変わった。「悪くなる一方だったが、その上、最近では、年金まで減らすと言うじゃないか。本当にどうなっているんだ、この会社は」。トヨタを抜いて日本一のNグループである。平均株価も回復し、金利も上昇し、年金環境は良くなっているのに、と嘆き、怒る。
総務部長がささやく。「調子の良い時には、逆に落し穴があるのかも知れませんよ。マラソンのQちゃんだって、絶好調と言っていながら途中で失速したじゃありませんか」。支店長が応じる。「そう言えば・・地域会社の惨状を救った退職再雇用は、9回裏2アウト満塁の場面で逆転ホームランが出たようなものだったが、その後は、社員のやる気が低下してしまってひどい状況だ・・」。
コラムは、二人の管理職が二次会に流れるところで終わりになる。NTTに蔓延する閉塞感がうかがい知れる。そして労働者は日々、こんな管理職を相手にして働かねばならないのだ。「やる気が低下」するのではない、「やる気が奪われる」のだ。
★公共通信が投機の対象に
ソフトバンク、日本テレコムを買収/通信業界の再編が加速
ソフトバンクは5月27日、日本テレコム(国内固定通信3位、旧国鉄系)を3400億円で買収すると正式発表した。11月16日、米投資会社リップルウッド・ホールディングスなどが所有するすべての株式が売却され、ソフトバンクの100%子会社になる。ソフトバンクはこの買収により、ADSL再大手でヤフーBBを運営するソフトバンクBBに加えて、固定系の中軸を手に入れた。日本テレコム買収は@法人顧客の拡大、A長距離中継回線の統合による容量増大、B経験を積んだ人材など、メリットに富むとされ、ソフトバンクはインターネットを使ったテレビ放送、電子レンタルビデオなど、「メニューの高度化」に意欲を燃やしているという。
日本テレコムの「転売」は、リップルウッドが昨年夏に買収したとき、すでにうわさされていた。公共通信も投機の対象にすぎない。リップルウッドは旧長銀を1210億円で買収したように、「はげたかファンド」の代表的存在であった。今年2月、新生銀行の株式上場によってリップルウッドは2200億円を手にした。この間つぎこまれた公的資金は8兆円、そのうち4兆円はすでに回収不能である。
日本テレコムは電々公社と国鉄の「民営化」=私有化により、国内諸企業が参入した旧国鉄系通信網の新電電として発足した。しかし99年、英BTと米AT&Tの出資を受けることになり、その後、携帯電話部門は英ボーダフォンが手中にした(J−フォン)。03年のリップルウッドの買収を経て日本テレコムは、20年間の「漂流」の果てに、ソフトバンクの手に落ちることになる。
ソフトバンクの孫正義が「21世紀情報通信王」の野望を抱き、企業買収を繰り返してきたことはよく知られている。石油王・ロックフェラー、鉄鋼王・カーネギー、自動車王・フォードらは20世紀の象徴であり、21世紀はマルチメディア、インターネットだと狙いをつけ、彼は100億円で赤字のヤフーを買ったという。世界一の野望を貫くために、彼は企業買収・合併を積極的に展開した。そのためには「規制緩和」が必要だったことはいうまでもない。
孫正義社長は記者会見で次のように述べている。「日本テレコムは非常に安い買物だった。3400億円は2年半で回収できる。ブロードバンド(高速大容量)通信事業者のナンバー1を目指す。通信もメディアもエンターテインメントも包含した企業のナンバー1だ。この5、6年が勝負だ」、と。
またこの日、DDIポケット(PHS事業最大手、KDDIグループ)の売却も発表された。KDDIが米投資会社カーライル・グループと第2株主である京セラに2200億円で売却する。カーライルが60%の株式を取得し、経営権を握る。
「公共通信、公共サービスは売り物ではない!」という闘いがますます必要になっている。
★相次ぐ個人情報の流出
ヤフーBBの顧客情報流出。今年2月に発覚した衝撃的な事件であった。週刊誌は政治スキャンダルがらみとして取り上げてもいた。ヤフーBBは全国紙に謝罪記事を掲載した。当然だ。ヤフーBBの強引な拡大路線や非正規雇用に大きく傾斜した雇用政策により、情報・データのズサンで不適切な扱いが日常茶飯事となっていたと指摘されている。
この数年、同様の<事件>が相次いでいる。企業としても信用失墜のゆゆしき事態であるはずだが、対策がなっていないし、流出規模が桁違いに膨れ上がってきている。大きな事件をピック・アップしただけでも、、
2000年、◎KDDI。代理店が受けた20万人の情報のうち、3万人が盗まれた。
2001年、◎小田急百貨店。38万人の顧客情報が内部でコピーされて流出した。
2003年、◎ローソン。56万人の会員情報が、委託したシステム管理会社からダイレクト・メール会社に漏れた。その後、、
◎ファミリー・マート(18万人)
◎ソフトバンクBB(452万人)
◎三洋信販(32万人)
◎ジャパネットたかた(30万人)
◎アッカ・ネットワークス(NTT系ADSL大手、30万人)
◎東武鉄道(13万人)
◎サントリー(7.5万人)
◎コスモ石油(220万人)
◎日本信販(10万人)と流出が相次いついで発覚している。
今年2月に発覚した三洋信販の場合、当初はCD−ROMで32万人が流出と報道されたが、5月までに116万人分の信用情報の流出が確認されている。氏名、生年月日、勤務先、完済分を含む貸付残高などの情報で、貸し倒れ分を除いたほぼ全顧客分に相当するという。この間、架空請求による詐欺被害が続出、三洋信販に被害を申し出た顧客は370件、被害額は1億1千万にのぼる。
「情報の大量流出」はもはや日常的な問題だ。森−小泉政府は世界最先端の「IT社会」をめざすことを宣言し、そのための施策を予算化してきた。新自由主義者は「危機管理」というおぞましい言葉を流行らせたが、しかし、有効な対策は「官民」ともにない。それどころが「住基ネット」を利用した国民情報の漏洩の危険性もリアルな段階になっている。企業は言うに及ばす、国家・政府の責任が問われている。しかし、小泉政府にはそういう観点はまったくない。それどころか、むしろそのような状況を利用して、情報の管理・統制が飛躍的に強化されようとしている。
(付記。2日、大手旅行会社・阪急交通が62万人分の顧客データ流出を公表したと報道された。)
■以上

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