●ご案内−『労働法律旬報』08年1・2月合併号
●電源開発に続いて空港外資規制問題で大揺れ
●職場からの報告「労働者の怒り、さらに爆発」
不当配転された電通労組の仲間より、東京から職場報告を送ってもらいました。
NTTリストラ=「50歳退職・再雇用」の選別排除によって首都圏に配転された労働者たちの「外販営業職場」。昨年末、そこでなされた「土休日営業」の提案に怒りが爆発、労働組合の枠をこえて労働者が立ち上がりました。職場の状況、そしてNTTの意図についての第一報です。
●職場報告の前に、『労働法律旬報』の案内です。
発売中の1・2月合併号(1663・64号/08年1月25日)にNTTリストラ裁判に関する論文が掲載されています。
「高齢者切り捨て施策と配転命令の効力」(電通労組員配転事件)、近藤昭雄・中央大学教授によるものです。
近藤教授はこのなかで、「『企業合理化』の大義名分のもと、労働者の主張、生活利益への配慮などまったく及ぼすことなく、有無をいわさずに企業の政策に労働者を従わせようとする企業の『専横』が『法による裁き』の場に引き出された」と指摘し、「労働者の『人格』『人としての権利』が護られていくのか、それとも、『賃金奴隷』化の道を歩むことになるかの、リトマス試験紙」であるともいえ、「上級審の人権感覚」に強く期待したいと結んでいます。
ぜひご一読ください。
●民営化−規制緩和政策をめぐって、福田政権下で、政府・与党が大揺れになっています。「空港外資規制」では「安全保障優先」か「外資導入優先」かで、自民党と内閣が二分する状況です。成田の「完全民営化」を前にして、外資規制問題が定まっていないことを暴露しています。福田首相は、「あんまり『外に閉ざされた日本』ということになってもまずいという思いもある」と、あいかわらずのあいまい主義です。
この問題は昨年、電源開発でも問われたことでした。電力卸大手の電源開発(Jパワー)の筆頭株主が英国系の投資ファンドであり、このファンドが「行動する株主」として増配や社外取締役の選任要求をつきつけ、電源開発経営陣が大あわての事態に陥りました。
小泉政権下の郵政民営化論争でも動揺の問題が指摘されました。しかし、当時の小泉−竹中は外資導入優先論に終始し、論争を押し切りました。郵政民営化は小泉の強権的な政治手法をともないましたが、一連の「小泉チルドレン」問題はあの騒動がいかにご都合主義であったかを物語っています。
反対論を封じ込め、抵抗勢力と切って捨てた民営化−規制緩和政策が、いま社会的な矛盾となって全面的に噴出しています。タクシー問題然り、介護や教育、労働市場などの不正・犯罪然りです。NTT問題も根は同じです。
●職場からの報告
NTTの乱・続報
「土休日営業」提案に
労働者の怒りさらに爆発!
高橋喜一(電通労組)
一二月一八日、NTT東日本本社前に東京三拠点(多摩、成増、千住)、神奈川、千葉、埼玉の各センターから「土休日営業の白紙撤回!」を要求し七〇名を超える「外販営業」労働者が結集した。
どこまで人をコケに
NTT東日本コンシューマ事業本部は、「土休日営業」施策をNTT労使の合意の下に一一月末の神奈川センター強行導入を皮切りに千葉、埼玉での実施、そして一月六日(日)からの東京センターの導入を意図している。一一月上旬の「職場説明」によって始めて「土休日営業」施策を知った労働者は余りにも酷い内容に怒りを露に反撃を開始した。会社の施策内容は「・・・将来を見据えた更なるBフレッツ普及拡大に向けて販売活動の強化に取り組むと共にお客様とのコンタクトポイントこそが事業全ての原点」とし「・・・訪問スタイルの構築、コンタクト機会の拡大を図る観点から、キーマンの在宅率が高い土休日における営業活動の実施」するとし、具体的には「一二週で一二回の土日勤務、年末年始の正月期間・ゴールデンウイーク期間を除く祝日は全員出社し営業活動を実施する。また毎週月曜日は全員出社の日とする」というものである。
NTTは週休二日制を取っており土休日営業によって連続休暇が削減される。それは、例えば「就学児童や幼稚園児」を抱える労働者にとって参観日、相談日、運動会等の学校行事に参加を困難にさせ、また要介護者を抱えている人にとっても土日の介護の問題が大きくのしかかってくる。月曜日全員出勤は「ハッピーマンデー」による三連休が無くなる事を意味し遠隔地から広域配転された単身赴任労働者にとって見れば唯一の楽しみである三連休を利用した帰省が奪われる。
それでは「外販営業職場」とは何なんだろうか?
NTTが進めている「NTT構造改革」(一一万人リストラ攻撃)のなかで強行された「五〇歳退職・再雇用」攻撃は、「NTTを五一歳で退職し、賃金を最大三〇%カットし子会社に再雇用され年金受給まで契約社員として働く」(再雇用型と位置づけ)という道と、「より高い業績を得るため全国流動しながら六〇歳定年までNTTで働く」(満了型と会社は位置づけ)という許しがたい選択を強要するものである。こうした攻撃は「一〇〇%退職再雇用に追い込む」という方針のもと、応じない労働者一人一人に恫喝やパワハラが繰返されてきた。しかし「満了型選択者」は「約八〇〇名」にのぼり、これらの労働者に対し在りもしない「業務上の必要性」を創り出し、労働者から隔離するために設けられたのが「首都圏六センターの外販営業職場」である。北海道、東北を始め東日本エリアから三〇〇名を越える労働者がかき集められ、雨の日も風の日も猛暑の夏も寒い冬の日も「訪問営業」を強制され、揚句の果て「成果主義の徹底化」のなかで「販売実績が低い」と、「ボーナスの四分の一カット(D評価)」や「総合評価によって「成果手当てが削減」される。家族と引き裂かれて五〇歳を超えての単身赴任労働者。職場の平均年齢も当然五〇歳台。様々な仕打ちのなかでも歯を食いしばって頑張ってきた労働者が今回の提案に「もう許せない!」と怒り心頭するのは当たり前である。
まさに山猫的反乱
各職場での反撃は目を見張るものがある。各センターに大衆的な「有志の会」が組織され、各職場で「白紙撤回」要求署名が開始された。有志の会は独自の活動として呼びかけチラシの配布、職場労働者の交流など創意工夫をもって一人でも多くの署名を!と活動を展開した。署名に応じた労働者は全体の七〇%から八五%に及んだ。
何よりも特筆すべきはNTT労組組合員の奮闘である。NTT労組はこの問題について一〇月段階に「決了」し、会社に対し会社責任で「職場説明」することを了解していた。職場組合員に何の事前説明もなしに「土休日営業」を容認した事に対し、各センターではNTT労組幹部に対し職場集会が開催され大衆的な突き上げが行われた。午後九時過ぎまで展開された職場集会は、労働者の怒りが噴出し糾弾の場と化した。NTT労組幹部は労組員を説得する事も出来ず「会社との再対応」を約束させられる。彼らの会社との再対応は、組合員からの質問要求項目に対し「会社見解」を張り出すというものであり、更にNTT労組に対する不信を増幅させるものであった。NTT労組員は、これまで繰返されてきたNTT労使関係の本質を鮮やかに見抜き「NTT労組からの脱退」が相次いでいる。
また、労働組合の違いを超えて「有志の会」が創られ大衆的な統一戦線として取り組まれてきた事は重要な意味を持っている。それぞれの労働組合(電通労組、通信労組、NTT関連労組)は、会社との団体交渉を始め労働基準監督署、労働局に対する取組をしつつ情報共有を行い、職場にフィードバックし有志の会の闘いをより豊富化している。
職場ミーテングは通常の時三〇分が二時間にも及ぶこととなり、急遽会社が在りもしない「会議」をでっち上げ「管理者救出」に当たる事態だ。現場管理者が応えられないのも当然である。そもそも「就業規則」をたてに「四週間の変形労働時間制」導入による土休日営業の展開だったはずだが、より具体的な問題が突き出されてきたからだ。「国民の祝日法案は祝日は国民の休日とあるが、なぜ我々は休日にならないんだ?」とか「変形労働時間制なら四週で時間調整すべきなのに、何で一二週になるのか?」「みんなが休んでる土休日に営業活動するのは苦情を拡大し会社にとってもデメリットでは?」と、「応対ワースト一位のNTT」の週刊誌記事が紹介される。それぞれの経験からも訪問営業の「負」の部分が指摘され答えられない始末だ。この間の闘いを経て労働者は様々な問題疑問点について討論しその結果を確実に会社にぶつけていくが故により具体的に、より論理的に追求し続けている。こうした状況は「労働者が闘いのなかで成長」している証左でもあり自信ともなっている。
経営こそハリボテ事業計画の責任を取れ
今回の「土休日営業」の背景には、二〇一〇年のNTT再々編問題が絡んでいる。NTT東は「料金」「一一六センター」等のコールセンターの外注化(OS化)を進めようとしている。首都圏のコールセンタ五四拠点(四〇〇〇人分)を、北海道、東北、北関東、信越などに分散させ、それによって、各地方で退職・再雇用者の仕事としてあった各県の直営コールセンタを、NTTグループの「NTTソルコ」や「テレウェル東日本」等の四社にアウトソーシングするという計画で、完了時には固定電話系のコールセンタは全て子会社の運営となる。一六五拠点七三〇〇人体制で維持してきた体制は、三三の子会社運営拠点六六〇〇人体制になる。この子会社運営拠点の労働者は非正規雇用労働者(契約社員)を地元採用し、「三〇%のコスト削減効果」に結び付けようとしている。
問題は「地元で今の仕事に従事しながら年金受給まで働く」といわれた退職・再雇用者の処遇はどうなるのかという点。全国のコールセンタの集約再編は「運営コストの割安な地方圏で業務を維持し二五〇〇人を首都圏でのBフレッツ営業にシフトする」ということが計画の流れである。NTTにとって見れば「成熟部門の固定電話系」に従事する労働者を出来る限り縮小し、アウトソーシングできるところは全て外注化するということになる。
またこの間、NTT東西は「法人営業部門」の殆どを「NTTコミュニケーション(長距離会社)」に顧客と法人営業部隊共々業務移行した。これはNTT四社体制になったときに収益の大きい長距離通信を始めIT関連業務を含め「収益の上がる会社」としてコミュニケーションが創られ、海外(特に東アジア圏)での投資(利益の収奪のために)を積極的に推し進めてきたが、その実行会社こそ他ならぬこの会社である。その上でNTTは再々編を睨み業務の集中を図り始め、NTT東西は固定電話系の維持(ユニバーサルサービス)を更なるOS化で切り抜けながら来年には一一三(故障受付部門)の集約計画を明らかにし、「固定電話系」と「IT系」に全ての業務を切り分けていこうとしている。ユニバーサルサービス(固定電話系)業務のコスト削減計画は、NTT労働者の賃金を始めとする労働条件が、より安価な労働力に取って代わっていくことであり、安価な労働力を求めてNTTは国内各地に拠点分散を図るという事でしかない。これによって各県の総合会社(退職・再雇用の受け皿会社)に採用された「五〇歳退職・再雇用」労働者もまたNTTから「約束を反故にされかねない」状況が生み出されていく。
二五〇〇人の首都圏営業部隊の創出は「中小規模事業者、マンション、戸建などへの訪問販売力」を強化する事にあり、そのために今回のコンシューマ事業部における「土休日勤務」は「新たな営業活動の構築」として導き出されたものである。「ひかり三〇〇〇万件」を目標とした中期事業計画はものの見事に頓挫し、「ひかり二〇〇〇万件」に下方修正した。先の計画自体何の根拠かも示されない。単に「固定電話六〇〇〇万加入の半分で三〇〇〇万ひかり電話加入目標」としただけ、という会社発言は到底経営者としての資質に欠け許されるべき問題ではない。こうした根拠も不明な無理な計画によって労働者の尻をたたき続けてきた経営者こそ、「責任」の所在を明らかにし経営責任を取るべきだ。

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