NTT宮城県共闘ニュース/第27号(電子版)/2009年10月26日

小泉構造改革NO! NTTリストラに反対する宮城県共闘
仙台市青葉区北目町2-40-301宮城全労協気付
▼電通労組
http://WWW.dentu-rouso.or.jp/
▼宮城全労協
http://www.ne.jp/asahi/miyagi/zenroukyou/

(注)NTT東・西は2001年11月、「構造改革」と称する「経営改善施策」を発表しました。業務、雇用、労働条件に関する中心的な政策が「11万人リストラ」であり、高年齢労働者を選別的に排除する人員削減攻撃が強行されました。

高年齢労働者に対するNTTの雇用政策は「高年齢者雇用安定法」の立法趣旨に真っ向から反するものです。また、高年齢労働者の雇用継続にあたって「企業の実情による基準」を許している労働行政にも責任があります。

電通労組の仲間から「雇用保険審査請求」の闘いについて寄稿していただきました。



<寄稿>
働きたくても再雇用されない!
65歳までの雇用確保は高年法の義務だ!


高橋 喜一(電通労組)


雇用保険審査請求の闘い

 一昨年からNTTを「60歳定年」で離職させられた労働者が「雇用保険審査請求」の闘いを開始している。

 年金法改悪により年金受給開始年齢が段階的に引き上げられるなかで、無収入となる空白期間を埋めるために、高年齢者雇用安定法は「65歳までの雇用確保」を企業に義務付けた。しかしながらNTT東日本は、法が求める措置を何ら講ずることなく、「60歳定年退職」を強制している。この間、退職を余儀なくされている高年齢労働者は、NTTリストラ攻撃での「雇用選択」に応じなかった労働者たちである。会社は「60歳定年による退職」を雇用保険の離職理由に記載しているが、「退職再雇用制度がありそれに応じなかった」から「定年退職」としている。しかし「NTT構造改革」の趣旨はあくまでも中高年齢労働者を狙った「コスト削減」であり、高年齢法に基づくものではない。

 審査請求人は「反論書」のなかで、「事実」として「NTT構造改革の本質」を解き明かしつつ、労働者に退職を迫った執拗な会社対応の状況を明らかにしてきた。同時に就業規則に不記載の「継続雇用制度」というものは、「退職に関する事項」は「絶対的必要記載事項」とする労働基準法に違反すること、また就業規則に明示無きものを労働者が選択したという会社主張は矛盾しており、ハローワークの判断には誤認があると指摘してきた。

 このようななか、立会い審理に同席した参与から「・・今回のケースは各通達や就業規則の時系列的な変更や平成14年、平成18年の本人の議論があり処分庁は現状としての意思確認に重きがあったと思うが、判断の根拠となるべき時系列的な就業規則や労使協定や本人確認の調査が不十分であると思う」「就業規則上のいろいろな時系列的な関係で問題がないわけではない」「平成18年度に社員就業規則に再雇用制度を明記する際、事前に本人意思の再確認がなかったとの重要証言が得られたが、この点の原処分庁の確認はなく、立会い審理でも争点として判断する十分な材料が得られなかったため、会社側に確認したうえで審査官に一任せざるをえない」など、「会社への再確認」「処分庁の調査の不十分性」「就業規則記載時の本人意思の再確認」について意見が出されている。

 しかし、雇用保険審査官が出した結論は、「労働基準法」「就業規則」よりも会社内部の伝達物である「社長通達」を根拠として「棄却」の判断をするという驚くべきものだった。
 
 このような経緯のうえで、審査請求人は「棄却決定」を不服とし、中央審査会への「再審査請求」を開始している。


法の趣旨を逸脱する継続雇用制度の実態

 1990年に「65歳までの継続雇用の努力義務」が法施行され、昨年4月1日から「高年齢者雇用安定法」が本格施行し、「高年齢者雇用確保措置の実施義務」として「定年の引き上げ」「定年の定めの廃止」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を講ずることになった。しかし、85%の企業が導入し「希望者全員を対象」とした「継続雇用制度」を巡って、希望しても「再雇用」が「拒否」されるという事態が相次いでいる。

 その背景には、継続雇用制度は「現に雇用している高年齢者が希望する時は、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度」であり、『勤務延長制度』(定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達したものを退職させることなく引き続き雇用する制度)や『再雇用制度』(定年年齢に到達したものを一旦退職させた後、再び雇用する制度)としながらも、「労使協定」などで対象者を選別する「基準」を認めているということがある。

 厚生労働省は「@働く意思・意欲 A勤務態度 B健康 C能力・経験 D技能伝承などその他」を例示しながら、記述されている具体的事例について「指針として示しているのではありません」とことわり、「労使で十分に協議の上、各企業の実情に応じた基準」の策定をうながしている。

 つまり、「希望者全員」の継続雇用とは裏腹に、企業の意思を反映しやすい仕組みになっているわけだ。定年前数年間の「成果業績評価」の「結果」をもとにした「再雇用拒否」や恣意的な「人事評価」、これまで従事していた業務に直接必要性のない「資格」取得(パソコン・英検)の義務付け、クリアできない数多くの選別項目など、「会社ニーズ」が前提になっている。一方で厚生労働省は、「高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈される」としている。

 継続雇用を希望した高年齢労働者を待ち受けるのは「選別基準」という高いハードルであり、実際には働きたくても失職に追い込まれていく現実がある。


リストラの道具と化した継続雇用制度

 2001年以降、「NTT構造改革」という攻撃が行なわれてきた。50歳時点で「辞職願」を提出すれば、賃金の30%切り下げにより子会社に「再雇用」という名の「就職斡旋」を行い、60歳以降は「希望」すれば、更に賃金を約60%削減して一年単位の契約社員に採用するというものである。

 NTTは退職再雇用制度の導入によって「人件費削減額は最大490億円」と算盤を弾き、50歳から59歳の労働者に対する退職再雇用攻撃を強力に推し進めた。「退職」すれば年金支給年齢まで継続雇用する、そうでなければこれまでの仕事を奪って広域配転させ60歳定年退職させるという仕組みは、高年齢者の再就職の困難さを逆手に取ったものである。実際、ハローワークで職探しをしてもほとんど見つからない状況にある。

 60歳定年以降の継続雇用を希望するなら、50歳時点でNTTを退職する以外にない。本来は60歳以降の雇用確保を前提に「継続雇用の意思確認」は退職年齢直前に行なわれるべき(厚労省の聴取時期もその線に沿っている)ものであるが、50歳選択とするNTTの制度については容認し「問題なし」としている。こうして人件費削減の道具として「継続雇用制度」が使われている。

 年金財政の悪化を理由に行なわれた年金制度改悪によって、60歳からの年金支給開始年齢が2001年度から段階的に引き上げられ、老齢基礎年金(定額部分)は13年度から65歳からの支給、老齢厚生年金(比例報酬部分)は13年度から段階的に引き上げ、25年度から全ての年金受給開始年齢が65歳になる。1961年4月2日以降に生まれた人は、年金支給までの5年間は何ら収入のない「空白期間」が生み出されることになる。

 高年齢者雇用安定法は65歳までの雇用確保を義務化した。しかし厚労省は「60歳までの雇用が確保される仕組みがあれば継続雇用制度」として、企業にとって使い勝手の良い制度設計を行った。企業における選択基準の設定容認、子会社・グループ会社への転籍(労働条件の切り下げ)など、法的趣旨を逸脱する内容も容認した。

 「退職・再雇用」を拒否した高年齢労働者たちが、60歳定年を前に、NTTに対して高年法に基づく「継続雇用の申し入れ」を行ったが、全く無視され「失職」を余儀なくされている。このような状況の中で、「NTTは60歳以降の雇用継続についての措置義務不履行」であるとし、多くの高年齢労働者が「労働契約上の債務不履行、不法行為による損害賠償責任」「労働契約上の地位確認」の請求の裁判を闘っている。また、継続雇用を希望したにもかかわらず失職したのは「会社都合による解雇」であるとし、各地で労働保険の審査請求が行なわれている。


社会変革をめざす闘いの一環として

 先日、ある高年齢者の集りに参加して、「再就職」の様々な実体験を聞く機会があった。民間の運送業で働いていた61歳の労働者は、「辞めてから60以上の履歴書を送ったが全部門前払いだ」と語った。次々と発言が続いた。

 「ハローワークに行ってもこのような時勢だからと言われる」「面接相談まで2時間待って、面接は十分。最後に頑張って下さいと言われそれで終わり」「せめて年金がもらえるまでは働かないと」。こどもの学費や家のローン、介護の問題など、どれもこれも切ない話しだった。

 「働くこと」「生活すること」「生きていくこと」の根本がおかしくなっている。1986年「中高年齢者の雇用の促進に関する特別措置法」が改正され、同年6月には「労働者派遣法」が施行された。以降、労働市場の破壊が急速に進行し、労働者は年代を問わず不安定な状況に置かれている。

 昨年末・年始、「年越し派遣村」は、そのような社会の実態を余すことなく明らかにした。「労働」「社会保障」「福祉」の脆弱性とそれが生み出す貧困が浮き彫りとなった。政府は待ったなしの対策を問われ、「新自由主義」からの転換を迫られたが、しかし有効な政策を打ち出すことはなかった。

 変化を求める大きな声はついに自公政権を倒し、歴史的な政権交代をもたらした。社会を変革する運動はこれから本番だ。NTTに雇用継続を求める闘いはその一環である。


■以上