<資料>
「1.31集会」より、挨拶、メッセージ、講演を再録します。
◆自衛隊のイラク派兵に反対し、憲法改悪を許さない1.31東北集会
(2004年1月31日、仙台市イズミティ21)
・主催者挨拶 高橋 治
・メッセージ 糸数 慶子さん(沖縄県議・沖縄社会大衆党副委員長)
・講 演 土井たか子さん(衆議院議員・前社民党党首)
◎高橋 治/主催者挨拶
みなさん、お晩でございます。今日は寒い中、こんなにも大勢ご参加いただきまして、感謝申し上げます。クライムの皆さんのホットな、ぬくもりのある歌を聴かせてもらいました。
今日の集会は「反戦・平和のトーク&ライブ」として開催しています。社民党前党首の土井たか子さんには、国会情勢があのような状況の中、来仙していただきました。感謝申し上げたいと思います。今日の集いは、政党・政派に限らず、あるいは立場の違いを越えて、イラク派兵に絶対反対だと、憲法改悪は許さないと、こういう立場の方々の呼び掛けで実現しました。
夕べは与党、自民党・公明党の強行採決で派兵は承認されましたが、心からの怒りを覚えます。さらにまた、悲しみも感じます。というのは、ブッシュはイラク戦争を始める前にいろいろな事を言いました。テロ集団とフセインは関係あるとか、大量破壊兵器を持っているとか。しかし今、それはウソであったということがはっきりしつつあるわけです。ブッシュはフセインを倒すためにはいいんじゃないかと開き直っていますが、これは開き直りではなくて、最初から、理由は何であろうとフセインを倒してやる。イラクを支配してやる、そして中東にアメリカの覇権を確立する。いわば、邪魔者は殺せという立場で進めてきたのだと思います。まったくけしからん。
このブッシュに小泉が、、世界的にいま笑い草になっていますね。ポチ、忠犬と言われている、その小泉が唯々諾々と自衛隊派遣を決めてしまう。復興支援とか人道支援とか言っても、戦争と人道支援は両立しません。小泉の単独・強行採決を絶対に許す訳にはいかないし、怒りを一層強めるわけでありますけど、一国の総理に我々があのような人を戴いているということについては怒りとともに恥ずかしさ、悲しさをも感じます。イラク派兵反対、もちろん憲法改悪は許さないという決意を固めて、このような政権を一刻も早く退場させなければならない。そしてまた、自民党支持者の中にさえ、あるいは日米安保に賛成する人の中にさえ、イラク派兵反対の方もはっきりおるわけでございますから、そういう方々にも闘いの輪を広げていかなければならないと思います。
20年、30年、あるいは100年後、21世紀の始めに生きていた人たちが何故こんな事をしたんだと言われないように、今に生きている我々が後々の歴史、本当に間違いのない教訓を後々に残しておくように、頑張っていきたいと思います。そういう一つのきっかけにこの集会をしていただければありがたいです。今日は本当にありがとうございました。
◎自衛隊のイラク派兵に反対し、
憲法改悪を許さない1・31東北集会へのメッセージ
2004年1月31日
糸数 慶子(沖縄県議・沖縄社会大衆党副委員長)
四季に乏しい沖縄ですが大寒を過ぎたころには10度前後の寒気が訪れ、冬らしさをみせました。今、緋寒桜が野山を紅色に染め、これから足早に春へと向かいます。寒さの厳しい東北の地では春はまだ遠く、雪景色の中でしょうが、冬と親しくお付き合いをしていることと思います。
このたび、自衛隊のイラク派兵に反対し、憲法改悪を許さない1・31東北集会への参加に声をかけていただいたことに感謝を申し上げます。悲惨をきわめた沖縄での戦争、敗戦後27年間も米軍の占領下に置かれた沖縄、その沖縄の歴史を語り合うことこそが若者たちへの平和へのメッセージになるとの主旨で集会を主催された実行委員会の皆様、そして集会に参加されている多くの方々に敬意を表します。
お招きをいただきながら公務のため参加できなかったことをお許しいただければと思います。
私は、いまこの集会に参加されている皆様と同様に、日本という国の政府の愚かな選択に憤りさえ覚えます。イラクはいまなお戦場なのです。その戦場に自衛隊という軍隊を派兵した。この選択は、いつかきた道であり、戦争への道なのです。
私たちの沖縄は、1945年4月から6月までの間、戦場と化しました。約3ヶ月の戦争で20数万人の尊い命を失い、全てが灰燼と帰しました。沖縄の人々のこころにあるのは、あの忌まわしい戦争への問いかけなのです。
しかし、沖縄は日本から切り離され、27年間も米軍の占領下に置かれました。そこは戦場そのものであり、全てにおいて軍隊が優先され、人権や平和を希求する沖縄のこころは踏みにじられてきました。米軍車両にひき殺された少年、地上から落下してきたトレーラーに押しつぶされて死んだ少女、小学校に墜落した戦闘機、そして米兵による殺人、婦女暴行などの凶悪犯罪、枚挙にいとまのない事件事故のほとんどは、支配者である米軍が処理し、なにひとつ明らかにされることはなかったのです。それが占領下なのです。
いま占領下のイラクでなにが起こっているか明らかではありません。伝わってくるニュースはテロであり、米英中心の占領軍の被害状況です。その報道は、イラクの復興に努める正義の占領軍と、それを阻害する悪のテロという単純な構図を作り上げていきます。そこだけに目がいくと自衛隊の派兵は正義となり、正当化されるでしょう。そうではなく占領軍そのものに目を向けるべきなのです。占領下の沖縄が体験したことが、そのままイラクで起こっているとみるべきです。
占領下で筆舌に尽くしがたい屈辱を受けた沖縄は、米軍からの解放を願い日本への復帰を切望しました。祖国復帰です。その祖国復帰の運動は、戦争につながる一切のものを排除するという一点に集中し、米軍基地の即時無条件全面返還を訴えました。しかし、復帰は実現したものの基地は残り、再編強化へとつながっていきます。
沖縄はそのような状況にあっても日本への復帰が平和憲法への復帰ととらえました。戦争を放棄した憲法9条への復帰です。それが沖縄のこころでした。しかしながら沖縄での戦争から59年、復帰から32年を数える今、日本は戦場に軍隊を派兵したのです。
私たちは、歴史からなにを学ぶのでしょうか。
あの戦争からなにを学んだのでしょうか。
イラクへの自衛隊の派兵は当初、国民の大多数が反対しました。しかし、派兵が決定すると、賛成と反対が拮抗したのです。既成の事実を積み上げていくと、これほどまでに平和はもろく、崩れ去るものなのでしょうか。
私たちは新たな平和運動を構築しなければなりません。日本政府は人道支援、復興支援、国際貢献などという響きのいい語句を連ね、戦争への道を突き進んでいるのです。自衛隊員に死傷者が出たとしても殉教者にまつりあげ、国際貢献や日米同盟の重要性を説き、障害となる平和憲法の改悪に向かうことでしょう。
その戦争への勢力に打ち勝つためには現小泉政権の打倒しかありません。そのためにこそ新たな平和運動が求められているのです。
私は残念ながら集会に参加できなくなりましたが、この集会に参加された皆様と共に、英知を結集し、戦争への道を断つ決意を表明して、メッセージといたします。
◎土井たか子さん/講演/「がんこに護憲」
皆さん、今晩は。お忙しい所をようこそおいでくださいました。たくさんの皆さんがこうして、夜、寒い中、お忙しい所をお集まりいただいて、宮城県ばかりではなく、岩手からも、山形からも(福島からも)いらしてくださっているということです。もうジッとしておれないと、何とかしなければとんでもないことになる、そういう思いで駆け付けていただいた皆さんばかりです。
●昨日の今日ですから、まだほとぼりは全然覚めるどころの騒ぎではありません。むしろ怒りはさらに心頭に発して、まあ寒いとき震えが来ることがありますが、怒りを覚えても震えるものですね、人間は。私、昨夜はもう、震えがとまらないくらいに本当に憤りを全身に感じましたよ。国会は長いですけど、送っていただいてもう30年あまりですか。今までにいろんな出来事が国会でございましたけれど、昨日という昨日みたいにひどいやり方というのは後にも先にも初めてです。戦後59年、武器を持って戦地へ自衛隊がでかけるなんてことは絶対にあってはならないことだとお互いが頑張ってきたんじゃありませんか、今まで。
そのことが、あえなく崩されようとしているばかりか、踏み破られて・・。いったんこういうことを許してしまえばあとは取り返しもつかない状況になる。私たちの経験からよく分かっています。だから、憲法第9条というものを決める時にですね、再び戦争してはならない。そのためには第9条をしっかり政治にも暮らしにも、地域にも職場にも活かしていくことが大事だと、お互いが心に強く誓って今日まで頑張ってきたんじゃありませんか。
さきほど管野哲雄さんにお会いしました。気仙沼からわざわざ2時間あまり、この会場にもおられるはずです。皆さんのご協力で(国会に)出していただいたのが2000年の選挙でした。それから3年の間、ずいぶんひどいことがありましたよ。小泉さんになってがたっと変わったですね、空気が。しかし、この間の11月9日(総選挙)以降、一段と国会がひどい状況になりました。これは何といっても、頑張るときはいろいろありますけど、決定的な頑張る場面となったら、皆さん、まず選挙の時と申し上げておきたいと思います。選挙がもう政治の始まりですからね。選挙が終って政治が始まると思ったら間違いですよ。選挙がすなわち政治、そして選挙の結果によって、政治の状況というのは動いていくわけです。いま、あの11月9日以後が動いていると思ってください。
●昨晩、ニュースをご覧になって皆さんの中にもはらわたが煮えくり返る思いがする方がたくさんいらっしゃると思うんですが、突然の審議打ち切りですよ。国会が承認するかしないかを決めることに対して、強行採決とは、何ですかこれは。お互いが疑問に思っていること、お互いがこれは法に反していると考えていること、そういう問題は一つ一つ克明に質していくことがなければ、国会で承認する意味がないです。
この特別委員会で、わずか二日だけの審議です。昨日、あの本会議後の新聞記者の皆さんの質問に答えて小泉総理は、「十分に審議していただいので」と、こういう表現をされております。どこかで隠れて審議が別にあったのなら分かりませんが、公式に特別委員会という所で審議をやったのはわずか二日ですよ。
そのわずか二日の出来事を見ただけも、答弁のひどさ、おそまつさ。ひどいじゃないですか。答えたことが間違っていた、と。それも単に些細な間違いじゃないんですよ。総理もこの間違いを認めて、撤回をして、詫びを入れざるを得なかった。防衛庁長官も同じです。
自衛隊が行くことに対して、何といっても法律が決めておる通りに従っていたしますから、従って間違いがございませんというのが、小泉さんのいつでも質問を受けた時の答えだったんですよ。そして、あなた方、間違ってもらっちゃ困る、戦争に行くんじゃありませんから、と。イラクに行くのは人道復興支援活動のために行くんであって、戦争のために行くんじゃありませんから、と。もう必ず、判子をついたみたいに、聞かれたらそれしか答えなかったんですよ。
法の定めに従う。イラク特別措置法、略してイラク特措法と申しますが、この法律は管野さんもその時は衆議院議員だった。昨年の通常国会、会期は150日と決まっている。その国会を突然、会期終了の直前になって40日間の延長を決めたんです。イラクに自衛隊を派兵するために特別の措置法がいる、と。与党は数を頼んで、数さえあったら何でもありですよ。
この法案はすでに政府の手によって用意されている。小泉内閣から提案をしてもらって、40日の間に何が何でも、与党の方は数があるから、これは可決成立できるので法律にする必要があるといってやった。それが40日の会期延長ですよ。そしてイラク特措法を力づくで、、強行採決でございました。
●法に従ってやるから大丈夫といわれているのはどこか。2条の3項の所だと思います。・・現に戦闘行為が行われておらず、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと見られる地域において実施するものとする。ですから、いつなんどき戦争行為が行われるかもしれないという所には行けないんですよ。一言でいえば安全な場所でしょ。この条文からしたら、戦闘行為が行われるかもしれないという疑いがあるだけで行けないんですよ。そこで、いまイラクでどこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、示していただきたい、と。当然(の質問)です。これに対して小泉さんの答えは、「この私に聞かれても分かるわけないじゃないですか」。居直られた。
そして、政府からも調査団を派遣するからというのが、その次ぎの問題でした。調査団なるものを派遣して調べた結果、サマワという所が、安全なんです、と言われた。しかし、何が安全なのか、ということはよく分かりません。ところが、本会議の答弁には、サマワ市の評議会というものがあって、それが機能しているから、従って安全の確保という点からしたら大丈夫だという発言なんです。だから、サマワ市の評議会というものが非常に大事な問題だと。それが存在して、機能しているということが、彼の地を安全な場所とする保障になるというふうに思われる答弁だったんです。
ところがオランダ軍や、それからアメリカ、イギリス軍の軍事占領下に、、軍事占領行政と正確に言いましょう、その下にイラクはあるわけです。その連合国の暫定当局(CPA)、このオランダ軍とCPAが、実はサマワの評議会は解散してもうないと言っているんですね。ということではありませんかと聞いたら、オロオロとなっちゃってですね、はっきりしない。オランダ軍が、CPAがはっきり言っているじゃないですか。調べようと思ったらすぐに調べられるじゃないですか。ところが、あるのかないのか、調べるのか調べないのか、答弁を聞いていたらはっきりしないですよ。あれほどですね、「改革なくして景気回復なし」とかね、「改革を邪魔するものは、抵抗勢力があるなら自民党をぶっこわす!」と言った人ですよ。だけどこの問題に対してどうもはっきりしないですね。しかし、そのうちにそれは、実はないということがわかって、言ったことが実は事実でなかったと認めざるを得なくなった。防衛庁長官は、議長にあって話を調査団はいたしました。その議長も、実は議長代理だったということが分かって、これも平身低頭謝って前言撤回すると。そういうことばっかりなんですよ。
そうして、もう一つですね、呆れ返る話は。調査報告を予定原稿として用意しておいて、そして調査報告を作る時にはその案に従って出すということが、もう準備されていたということがどうも出てきたんですね。これはひどいじゃないですかという問い詰めに対して、これもはっきりする返答ではないのです。
「非戦闘地域」、「安全な場所」にしか行けない、というのは、これは、法に従って考えれば鉄則なんですから、いろいろ調査した結果大丈夫だと、安全ですというやりとりというのは、政府にとってはよほど責任をもってしっかり取り仕切りをやり、取り決めなければ、誰しも納得ができないですよ。しかし、こんないい加減な答弁で、対応で、委員会は次々と続けていくわけなんです。以前だったらもう、内閣不信任でしたよ。これ命がけで自衛隊を送るというわけなんですからね。命がかかってますからね、中途半端な、生半可な話じゃ認めるわけにはいかないというのは当然じゃないでしょうか。
●だから、まだまだ問題はこれからだと言っている矢先に、審議打ち切り、強行採決、なんですよ。開いた口がふさがらないです。従って、野党の方はこぞって、こういうことならばもはや国会承認をすることのための案件として質疑応答をすることはできないと。もう一度、特別委員会の場所に問題を返して、質問を続行すると、いうこと以外にこれに対して活路はない、と。しかし、それには頑として与党の方は聞きませんから。自民党も公明党も。昨日の夜はですね、じゃあせめて補正予算の中身について補足質問を今日やったらどうだ、と。その結果は今日の午後1時から本会議を開いて採決をするということでいかがか、と。もしそんなことやったら、私はここに来ることはできなかったんです。
だけどね、それはちょっとおかしいんじゃないですか、と。問題は、予算も問題だけど、その予算を付けるもともとの問題が一番根本的な問題じゃないですか、と。イラクに対して自衛隊を派兵するということは、これは認められない。憲法から考えると、許される中身ではないと思うがゆえに真剣に取り上げて問題にしているのが特別委員会の場所なんだから、そこにもう一度戻してこの問題に対して国会に責任をもって討議する以外にないじゃありませんかということを、私たちは言い続けたのでございます。昨晩、しかしその声をまったく無視した形で、与党だけで本会議を開きまして、そして強行採決を与党だけでいたしました。ニュースの時間にテレビの画面をご覧になっておられますと、ざっーと野党の方は席が空っぽだったでしょ。
私たちは、本会議という席に欠席というのが好ましいとは本来断じて思っていません。けれどもね、こういう状況で、皆さんだったらどうなさいますか。NOと言ってもその声は馬耳東風なんですよ。質問に対して、懸命にこちらは聞いてるけれども、それに対して誠実な答えは出てこないんですよ。そしてもう、自衛隊に対しては防衛庁長官から出動命令が出ているわけですから。陸上自衛隊の本隊は行くということを決めた上で国会の承認を得るという作業に入っているんですよ。だからそういうことから考えれば、この国会の承認の重さというのは、よほどここではっきりした中身が出ないと、これからの日本のあり様ということを考えた場合に、こんな重大な問題、一言で言えば国の有り様がこのことによって変わるんですから。これだけ大きな問題に対して、もう二日間で審議は打ち切って採決をすればそれで国会承認が具体化するなんて問題じゃないと思います。
参議院の方は、俄然、昨夜は怒ってました。私は、瑕疵ある承認であると。国会の承認がなければ自衛隊は返ってこなければいけないんですよ。従ってですね、その承認もれっきとした承認ではなくて、瑕疵ある承認だということになれば、自衛隊もたいへん迷惑だろうと私は思う。やりずらいですよ。しかし、こういう状況に対しての責任は何処にありやといえばですね、もちろん、小泉さんのもともとこういう問題に対する認識にあることはいうまでもありません。一番大きな問題は何かと言えば、憲法問題です。
●憲法問題からすれば、私どもは憲法第9条に違反していると思う。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国憲の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と、ちゃんと9条は規定しています。それからすればね、武力を、日本の場合は、イラクという戦場に行くわけですから、イラクという場所が平穏無事な場所で戦争はすべて終結していますということができない場所ですよ。ご存じの通り、アメリカの最高指揮官もイラクはまだ戦場だということをはっきり言っているわけです。毎日ですね、テロ行為だとか、ゲリラだとかいうことが言われておりますけれど、アメリカ軍にも死傷者が後を断たないんじゃありませんか。毎日ですよ、いずれかの場所で、イラクの国内でそれがある。そして、罪なき人たちが、その都度犠牲になっているというのが現実なんです。そこに、しかも武装していくわけですからね。「武力による威嚇又は武力の行使は紛争解決の手段としてはならない」と決めていることに真っ向から反するじゃないですか。
しかも忘れてならないのは、時間がもっとあったら私は皆さんと話しあって考えたいと思うんですけれども、自衛隊法、防衛庁設置法、1954年のことです。今から50年前に自衛隊は発足したんです。この二つの法律が作られて。この自衛隊法が衆議院を通過して参議院に行ったときに、いくらなんでも黙ってこの法律を成立させるということになったら、後で私たちが心配していることが的中したときに、何にも国会はこれに対して取り決めがなかったということになる。といって、国会決議を作ったのが「自衛隊の海外出動なさざることに関する決議」なんです。
自衛隊法と自衛隊設置法という二つの法律が問題になり始めたときから、自衛隊は専守防衛に徹しなければならないと。海外にどういう理由をつけても、どういう大義をつけても、出動してはならない。いったん外国の地に武装して足を踏み入れたら、後はエスカレートする一方だということを、私たちは過去の経験で知っている。それを広げることは容易にできるけれども、それを収束させることはいかに難しいことかも知っている。だから、窮屈なように見えても、不自由なように見えても、どんなことがあっても海外に自衛隊が武装していくことは断じて認められないということをはっきりさせようというのが、その時の国会決議の中身なんですよ。そして、自民党のもちろん、内閣でございますけれども、誠実にこのことはどこまでも遵守いたしますと答えています。この国会決議は無効にはなっていません。決議は満場一致で作られるものでして、国会決議でできた中身というのは重いんですよ、実は、皆さん。この自衛隊の海外出動、なすことはまかりならんということをきっぱり決めていることから考えても、今回、おかしいんです。憲法違反じゃありませんか。
●先程申しましたイラクのCPAから<第17号の文章>なるものが日本に出されているんです。米英軍事占領機関の暫定当局ですよ、もう一度申し上げておきますけど。そのCPAの司令17号は、自衛隊は司令17号に基づく連合国の要員である、と。従って、自衛隊は軍事占領行政が行われるイラクにおいて、この軍事占領行政下に属しているということをはっきりと書いてあるんです。そして、自衛隊はイラクの法廷で裁判を受けることはない。イラク当局から逮捕されたり、訴追されたり、法的手続きの執行を受けることもない、と。つまり治外法権ですよと、自衛隊は。
なぜ治外法権か。アメリカ軍、イギリス軍が軍事占領下に治めているイラクに来て、その軍事占領行政に服するからなんです。日本の自衛隊が。これ、はっきり文書として、CPA司令17号として出てるんですね。しかし今回の特別委員会で資料として出てきたのは、これの英文だけなんです。こういうのを資料として各委員会に政府側が出す時には、仮訳にしろ日本語で書いた資料も添付して出してくるのが当然なんですよ。日本の国会なんです。私は長い間外務委員会におりましたけれども、たとえ大急ぎで仮訳にしろ、横文字を日本語にして来るのが資料提出というものです。私どもが要求したら、そうしなければならない義務が政府側にはあるんです。今度はこれを仮訳でいいから出してくださいと外務省に言っても馬耳東風だったというのは聞いております。
憲法から考えて問題になる点がいっぱいある。戦争をしに行くんじゃない。人道復興支援のために行くのであると。しかし、言うのを忘れておられることがあると私は思うんです。それは何か。安全確保支援活動なんですよ。それはちゃんと基本計画にも出てきますしね、防衛庁の方がその行動要項の中にこれをはっきり出しているんですよ。
米軍のいろんな資材を運ぶ。武器・弾薬は断じて運びませんと言ってるけれども、しかし、武器・弾薬を身につけた米兵を輸送するわけですから。武器・弾薬は一切運びませんと口をきわめて言っても意味がないです。そしてまた、フセインがかつて猛威をふるっていた時に、フセイン軍としてあった残党に対する掃討作戦、これをアメリカ軍がするときには応援をいたしますという中身もあるんですよ。そうすると、これ自身が、交戦権はこれを認めないと9条がしっかり決めていることに真っ向から反するじゃないですか。
私たちはそういうふうに理解しております。しかし、小泉さんが言われるのは憲法に違反しない。なぜ違反しないか。
12月9日に閣議決定をして、記者会見の時に出してきたのは憲法前文の箇所です。同じ場所を施政方針演説の時にも、本会議場で言われました。それは憲法の前文の一部分、それの摘み読みなんですよ。その一部分には、「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」。こう書いてあるから、イラクに行くことは憲法違反じゃないと。
確かにですね、この部分を見ますと、それぞれの国は自らのことのみ考えて行動してはならないという国際社会の原則が述べられているわけです。しかし、私は聞いていて、小泉さん、そうおっしゃるなら、それはアメリカを相手にして言うべきだったですね、と。自国のことのみに専念してはいかんのであって、ね。国際社会全体のことを考えて努力していかなければならないと、アメリカに言うべきじゃないですか。言うべき相手を取り替えておられるんじゃないか。むしろ憲法に対して違反していない、堂々と言うべきは前文の箇所もさることながら、第9条という問題はどうなっているんだと私たちは言いたい。第9条に対しては触れずじまいです、小泉さんは。
●このイラクに自衛隊を送ることが先であって、先に送ってしまえば後はもう、たとえ瑕疵がある国会承認であろうがなかろうが、法に違反していようがいまいが、そんなことはおかまいなくイラクに自衛隊を送ったということが実現していさえすれば、ということが頭におありになるんじゃないか。なぜか。ブッシュ大統領との間の約束なんじゃないですか。もはや日米同盟の方が憲法よりも大事な政治になってしまっているんですよ。さっきも少しお話がありましたけれども、安保条約の方が大事、もっとも大事なのはブッシュ大統領との約束だということになってるんじゃないですか。
しかし、そのために先制攻撃も敢えて辞せず、大量破壊兵器がイラクにあるがゆえにイラクに対して先制攻撃をせざるを得ないといって3月20日にやったその大義、いったいどうなっているかということ。これも、私はアメリカの人の中には正直に議会に出て証言をそこまで勇気をふるってやる人があるというので、もう一度注目をしましたけれども、前調査団長の発言ですから、一個人が言っているのとは訳が違うんです。調査団として、イラク全土をいま占領している米軍の下で、イラク全土に対して調査をした結果、3月20日の開戦時にもすでにイラクに大量破壊兵器があったとは思えないという報告をやっているんですよ。戦争の大義は、それじゃいったい何だったんですかねえ。この大義を聞いて日本の小泉内閣総理大臣は支持しますと真っ先に言った人でしょう。いったいこれは何なんだと。あの戦争は何だったのか。こういうことにもなりかねないですよ。そしてその戦争について、戦争の後もですね、まだ戦争は終わってないんです。だって、戦争の終結宣言はまだです。
しかもですね、まだまだイラク全土において死傷者が絶えない毎日ですから。その中に日本という国は、どういう姿勢で、どうやっていくのかということぐらい世界が注目している問題はないですよ。私は、こういう時であればあるほど、日本国憲法を大事にせんといかんと思います。そして日本国憲法を活かさなければいかんと思います。本当に日本国憲法を活かしたならば、これはやっぱり、国際的な取り扱いの上でも、外交姿勢が違いますよ。アメリカ一辺倒ではなくて、アメリカに対してこれは間違ってると思うことはしっかり間違ってると言わなければいかん。いつもその後をついて歩くしかないということであっては、平和外交が活きるはずはないじゃありませんか。
しかも日本の場合は、このアジアにおいて、近隣諸国と信頼があるという状況を作っていくこと、お互いが協調して、安全保障についても一国対一国ではないんで、これに対して数ヵ国が寄って協力しあいながら共同の安全保障に対してしっかり取り組んで行きましょうということがもうヨーロッパではかなり進んでますよ。このアジアではその点が遅れているんです。お隣の中国は一生懸命でしょ。いま6者協議がいつ開かれるかというのが問題で、北朝鮮の核問題だと言われていますが、私たちにとってはもう一つ、拉致問題があります。けれどもこの問題解決というのは一国対一国で本来やらなければならない問題であるとは百も承知ながら、多数の国が寄って、この問題に対して取り組んでいくということが、非常に国際関係から考えれば、先程の摘み読みで日本の憲法を言われているんじゃない。小泉憲法でしかない。その中身を認めるわけにはいかんですよ。その前文を誠実にやろうとしたら、やはり数カ国が寄ってこういう問題で一生懸命になるときに、日本に対しても日本の立場を理解して、心配してくれる近隣諸国に必ずなります。これはやはり、日本としてはそういう姿勢をしっかりもって、また積極的に努力しているということがなければ、本当の安全保障にはならないんではないでしょうか。
いまの政府の、小泉内閣の外交姿勢はほど遠いです。先程も小泉内閣の打倒を具体的にしなければならないというご発言がございましたけれども、本当にですね、これは政治を変えなければダメですよ、基本的には。今のままであったら、これはどんどん取り返しのつかない道をスケール・アップして歩いているようなものです。
●いつユーターンが出来るか。それは政治を基本から帰る時だ。こう私は申し上げたいと思う。それはどうすべきか。少なくともその時に、第9条が戦争が出来る条文に作り替えられてしまったといったら、これ本当に取り返しがつきませんよ。少なくともですね、そうしないということをしっかり決めてる第9条。これは変えることは反対ですと言われる方が、いつも世論調査の時には圧倒的に多いということ。ずっと毎年世論調査を見ていたら、他の条文に対しては変えていいんじゃないかという方があるんです。環境権、必要じゃありませんか。人権の充実、これも大事じゃありませんか。情報の公開、これも憲法で考えたらどうですか。地方自治の在り方、中身ももっとしっかりしたものにしていく必要があるでしょう。けれどもそんなことを今、政府や小泉さんや自民党が問題にしているわけじゃないんですよ。
自衛隊をいつでもどこにでもアメリカ軍の要請を受けて出掛けていくことができる日本にしなければいけないという前提からしたら、邪魔になるのは9条じゃないですか。この9条を作り替える、これがいま言われている憲法の、改憲の一番の焦点でございます。私はこの中身を称して、改正と呼ばないと思っています。改悪と言わなければと思っています。改悪を許すことは私どもにとって不幸でございます。改正に反対と言ったらどうして改正に反対するんですかと言われますよ。けれども、ただひたすら考えて、従ってその道を歩いている人は決して自ら改悪と言わないところがクセモノなんです。それをしっかり見てとって、改悪を許してはならん、しっかり憲法の第9条は活きる方向の努力が私どもにとってはなすべき道だという人を一人でも多く増やしていかなければならない時なんです。
いま国会の中では、皆さんの声を誠実に反映するという議員の数が足りません。従って、第9条をしっかり活かしていくためには、国会の外での皆さんの声を確実な声にして、それを国会の中に活きる声と合い呼応させなければなりません。日本の政治が、日本の私たちの手によって、しっかり主権在民という中身がこの第9条の中に活きますように。いまのままでいけば国会はハイジャックされるかも知れませんよ。従って、お互いの暮らしの中から第9条を活かして行くということにしなければ大変なことになりかねない。
改憲の日程が取り沙汰されています。2005年には改憲案を出すと自民党の方では言われておりますけれども、2005年を待たずに、おそらく作業はもっと進むでしょう。私も憲法調査会におりますが、衆議院でも若い議員の中には憲法第96条で改正のための手続きを作るということ。「改正」のですよ。手続きとはどういうことか。国会の衆議院の3分の2、参議院の3分の2。それは総議員で出席議員じゃないですよ。総議員の3分の2が賛成しないと憲法に対して改憲の発議はできないんです。
そして発議を受けて、肝心要は国民の投票によって「改正」が認められるか、認められないかが決まるのです。国民投票がどういう形になるのかというところが、大変大きな問題なのです。国民投票法は只今ございません。それをこの国会で作ろうという気配があります。具体的には議員立法でやろうということになります。そのためには、改憲を意図して考えている人たち、推進議員連盟300名で作って、その法案すら用意しています。一昨年の11月にすでに出ています。
それは、国民の有権者総数を問題にせざるを得ないのに、またしなければならないのに、それをしていませんよ。有効投票の過半数ありさえすれば容易なのです、その案にしたがって考えれば。だからいかにですね、皆さんの考え、皆さんの判断、そして皆さんの投票というものを意識しているか、逆に言えば。意識しているかということが窺えるものです。
●がんばってですね、戦争が出来る憲法に変えようとしているこの動きに対して、しっかりとトドメを刺さなければなりません。そして憲法九条が活きる状況をしっかり作っていくために、精力を尽くすということが肝心だということを私は昨日の夜、怒りに震えながら、しきりにその事を考えました。
真夜中過ぎに帰って、夜、布団に入っても、天井を睨んでそのことを考えておりました。今日、日頃大変ご苦労をいただいている皆さんにお目にかかることが、また新しく気持ちを持って頑張っていく気に必ずなるということも自分に言聞かせて今日参りました。
皆さん、どうか元気で頑張っていただきたいんです。近隣近在、いや日本全国に対して皆さんの所から発信していただくこと。私どもも発信いたしますから、それを受け取ってまた活かしていただくこと。お互いがそういう連絡も大事にしながら、励まし合って頑張っていこうではございませんか。
今日はありがとうございました。長時間、ありがとうございました。皆さんの、2004年、今年が日本の岐路になる年だと思います。お互いが元気で活きているよという証をしっかり示すべき年だと思います。皆さんのご健勝を念じまして終わりにします。ありがとうございました。
■以上