プロ野球選手会のストライキを支持する!
経営側は選手会とファンに謝罪し、選手会の要求を受け入れよ!
宮城全労協(2004年9月18日)
日本プロ野球選手会は9月18日、経営側との労使交渉が決裂したことにより、予告していたストライキに突入した。選手会は「選手の雇用の問題」だけではなく、「球界の発展」を願ってのことであり、「プロ野球の将来を考えに考え抜いた末の選手の苦渋の決断である」と声明した。交渉が決裂した17日夜、選手会の古田会長はファンに理解と支持を訴えた。それはファンに感動と希望を与えるものだった。圧倒的多数のファンは選手会を支持し、ストライキを受け入れ、ともに闘った。非難されるべきは誰なのか、事態は明白だ。経営側は選手会とファンの要求を受け入れ、責任をもってこの問題を解決しなければならない。
一方、これが「違法スト」であるとの攻撃がなされた。選手会は労働基準法上の労働者ではない、また球団統合の凍結という要求は労働条件ではなく経営上の問題であって団体交渉になじまない、従って「違法スト」だという主張がメディアに登場した。そして、日本プロフェッショナル野球組織は交渉決裂後、「選手会が労働組合であったとしても、球団統合及び球団の新規参入自体は経営事項であり、義務的団体交渉事項ではなく、これを理由にストライキを行うというのは、違法かつ極めて不当」だと声明した。
なかでも読売新聞は、選手会のストは社会的にも容認できないと非難した。「この十年間の厳しい不況で、多くの労組は経営側のリストラ攻勢にさらされてきた。合併、企業買収、工場閉鎖、事業縮小。いずれも組合員の生活にかかわる深刻な問題だったが、労組の多くが「合併反対」や「工場閉鎖反対」を前面に掲げることはしなかった。合併や工場閉鎖は経営判断に属する問題との認識があったためだ」(9月8日、解説記事)というのだ。読売新聞はさらに、スト突入当日の社説で、「今後、ストの違法性が議論されることになるだろう。経営側は、試合の中止で被る損失について、賠償請求を検討している」と述べた。社説には「ファンを裏切る“億万長者”のスト」というタイトルがつけられた。こんな筋違いの言いがかりまでして、ストライキを攻撃し、選手を威嚇しようとする。さらに、こっけいなことに、郵政民営化を主張する「構造改革」論者たちも選手会批判に加わっている。
球団統合などの組織再編は選手、球団職員、およびプロ野球に携わる広範な人々の雇用と労働条件、生活基盤をゆるがす。まして「縮小」であればリストラ合理化、人員削減・解雇に直結することは必至だ。「違法スト」キャンペーンは不当であり、経営側の責任逃れにすぎない。何よりも経営側の横暴、不透明、無責任こそが問題なのだ。「たかが選手のくせに」という渡辺恒雄・前巨人軍オーナーの発言がすべてを物語っている。
経営側は選手会を無視し、一方的にプロ野球界の再編=リストラを強行しようとした。経営側はまず、オリックスによる近鉄の事実上の吸収を決定した。それを既成事実として、渡辺常雄・読売巨人軍(前)オーナーらが1リーグ制への再編を打ち上げた。「新規参入」は相手にもされなかった。渡辺氏はその後、球団のスカウト活動での違反行為が発覚したことによって引責辞任したが、プロ野球を大きく変化させる再編構想を毎日新聞とのインタビューで明らかにした。別の合併など球団削減の動きは消えていない。産業再生機構や金融界はダイエー球団の切り捨てを要求している。どこかにシナリオがあり、すべては密室で決まっているのではないか。選手会が不安を抱き、経営に対する不信を強めたのは当然のことだ。
今回の当事者の一人はオリックス球団の宮内義彦オーナーであろう。宮内氏は総合規制改革会議(現在の規制改革・民間開放推進会議)の議長でもあり、経済財政試問会議の竹中経済財政・金融大臣とともに、小泉政権の構造改革を象徴する人物である。規制改革会議は、病院や学校、農業、職業紹介事業などの株式会社化を進め、非正規雇用の拡大のために労働法制の改悪を強行し、そしていま社会保障全般の改悪に踏み出している。宮内氏は常々、規制緩和・撤廃は「消費者や利用者の選択肢を広げ、民間の自由で公正な活動を促し、社会や経済を活性化させる」ためだと語ってきた。今回の再編劇はどうなのか。けっきょくは利益最優先の経営者の横暴ではないのか。選手会やファンの疑問と怒りに対して、宮内氏はオーナーとして、また小泉政府の政策推進者として、答える責任がある。
日本プロフェッショナル野球組織は「違法スト」声明を撤回せよ!
この間の非を選手会とファンに謝罪し、選手会の要求を受け入れよ!
■資料
「プロ野球選手会のスト」を支持する!
全労協事務局(全労協fax情報/580/9月7日)
〜労組・プロ野球選手会が「球団合併」決定に対し、「1年間凍結」・団交要求等で9月中の土日ストを通告〜
労組・プロ野球選手会は、9月6日、球団側が一方的に近鉄とオリックスの「球団合併」を進めることに対し、@球団合併を1年間凍結して、その是非、労働条件等を協議すること、また、A新規参入球団に必要な加盟料60億円や参加料30億円の撤廃、または大幅な緩和、B下位球団から優先的に指名できる完全ウエーバー制などドラフト制度の改革と放映権料の収益分配等を要求して、11日以降の9月中の毎週土日の公式戦にストライキをすることを日本プロ野球組織に通告した。
球団側は、6日、12球団代表による臨時実行委員会を行い、近鉄・オリックスの合併を承認し、8日の球団オーナー会議で正式承認する動きである。また、スト通告に対し、「選手会への損害賠償も視野に入れて行う。球団の統合は経営権の問題。選手会が労組であるかどうかは議論があるが、いかなる認識にしてもストの目的が適正でない」(豊蔵実行委議長)と全面対決の構造になっている。
しかし、ストを前にして、9日に協議・交渉委員会が開かれることになっている。また、選手会側は、この間、裁判所への「合併差し止め」等の仮処分申請をしてきたが、東京地裁は却下(選手会の交渉権は認定)、東京高裁は即時抗告を棄却(交渉権は後日判断)した。
球団合併・球界再編成問題は、「企業合併」が人員整理・解雇問題を引き起こすように「選手の削減・解雇」「球団従業員の整理解雇」に直結する問題なのである。ましてやプロ野球は、球団経営者のみによって存在するのではなく、「選手」「ファン」によって支えられているのである。それを「経営権」で切り捨てるのは全く不当である。
「プロ野球の改革」と「プロ野球の未来」を切り開くための選手会の要求は全く正当である。そして、その要求や団体交渉を軽視・拒否することに対し、選手会がストを決行することは正当であり、断固支持するものである。
球団オーナー側の驕り、独善を糾弾し、労組・プロ野球選手会のストに連帯しよう。
■以上
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