資料/宮城県への04春闘申し入れ、及び県からの回答
<資料注>
宮城全労協は04春闘において、雇用・賃金・労働条件などの全国統一申し入れに加えて、宮城県の「緊急経済再生戦略」及び「みやぎ知的障害者施設解体宣言」に関する申し入れを行った。以下は申し入れと県からの回答(6月23日付)です。
*雇用・賃金・労働条件に関する申し入れ事項と回答は省略。
*宮城全労協ニュース第55号(04年3月25日付)を参照してください。
なお、05年度宮城県予算案は2月議会に提出されるが、2年目を迎える「経済産業再生戦略」の財源問題をめぐって、「県職員の給与削減」に関する労使交渉が再び焦点化している。組合側は「再生戦略」の見直しと交渉の継続を求めている。知事は「今年度の削減幅3.2%から1.5%に圧縮する」と組合側に提案したが、労働者の賃金を削減して「経済再生戦略」の財源に充てるという方針は変わっていない。
交渉に出席した知事は、交渉決裂に至った昨年の経緯を「不本意」として「おわびしたい」と発言したという。これが強行突破のためのポーズでないのであれば、知事は昨年の経緯を反省・謝罪し、交渉の一方的打ち切りはしないことを先ず、組合側に約束しなければならない。
<資料/宮城県知事への申し入れ>
2004年3月29日
宮城県知事 浅野史郎殿
宮城県春闘共闘委員会(宮城全労協気付)
私たちは2004年春の全国共同行動の一環として、宮城県において04春闘の取り組みを進めてきました。雇用、賃金、労働条件をはじめ労働者の生活は一向に改善されていません。そのような実態にかんがみ、貴職および担当部局に対して、要請するものです。
「景気回復」がとりざたされています。しかし、地域経済や労働者生活は依然として厳しい状況にあります。経営者側はこの春闘においても、賃金削減や不安定雇用の拡大の姿勢を貫いています。最近、「失業者数の減少」が報告されていますが、見かけ上の求人倍率アップや完全失業者数の減少の背景には雇用・求人の質の悪化、すなわち、低賃金で不安定な雇用形態のパートなど有期雇用や派遣労働、大企業のリストラ・アウトソーシングによる請負業者への採用などがあります。なかでも若年労働者、高齢労働者の雇用情勢は悲惨なものです。
小泉政府が推し進めている社会保障への切り捨て攻撃が、労働者生活の不安を一層かきたてています。新自由主義にもとづく「構造改革」の恩恵をこうむっているのは競争に勝ち抜いた一握りの「成功者」にほかならず、地域社会や家庭から希望と活力を奪い、「フリーターの急増」、「年金崩壊」や「介護地獄」といった社会不安が深刻化しています。
地方自治体の役割と真価が問われています。労働者の権利と生活を守り向上させることは地域経済や地域社会の活性化にとって不可欠の条件です。ぜひご理解いただき、行政に反映されるよう、以下要請します。
■<申し入れ事項>
(2)宮城県の「緊急経済産業再生戦略」の撤回を求めます。
私たちは以下の諸点において、この「戦略」の内容及び一連の経緯を認めることはできません。撤回を強く求めます。
1.労働組合への不誠実で敵対的な態度
知事の一連の態度は労働組合を敵視するものであり認めることはできない。知事は謝罪のうえ、労働組合との信頼関係を築くべく努力すべきである。
2.現行人勧制度の無視
人勧制度は公務員の労働基本権を制約する代償措置であり、「労使合意に基づかない給料カット」は認められない。
3.「県職員の賃金カット」を人質とする予算
賃金カットできないなら経済再生戦略は成り立たないという恫喝であり、しかも、福祉や地震対策など事業費の多くは、本来通常予算をあてるべき性格のものである。
4.県職員の賃金カットは自治体関連労働者の賃金カットに連動する危険性がある。
5.計画されている事業による「雇用創出」の多くは、臨時、派遣、嘱託等である。これでは、県みずからが短期で低賃金の不安定雇用を増大させることになり、しかも、3年後については不明である。
<回答>
●<1.労働組合への不誠実で敵対的な態度>に対する回答・・
「緊急経済産業再生戦略に係る給料削減について、職員団体とは、知事交渉を4回(延べ14時間以上)、関係部長による交渉を7回(延べ12時間以上)行ったほか、予備交渉においても詳細な資料を提供し、説明もしてまいりました。
交渉では、財政健全化を進めながらの事業であることを繰り返し説明し、重ねて理解と協力をお願いをしましたが、残念ながら職員団体側の白紙撤回を求めるという基本主張・姿勢は変わらず、これ以上交渉を続けても平行線であると判断し、やむを得ず、職員団体側の同意が得られないままに、給与特例条例を議会に提案したものです。
労使が互いに論点を整理しながら交渉してきたものであり、決して議論が止まっていたわけではありません。また、基本的には論点は出尽くしたことから、中途半端ということではなく、主張は平行線で、これ以上議論が展開しないというところまできての判断であり、労使合意に向け、ギリギリの期限まで、最後の最後まで努力した結果であることを御理解願います。
今後とも職員団体との交渉等に当たっては真摯に対応してまいりますとともに、議会が付した「付則」の意図を尊重し、再生戦略の財源を職員の給料削減以外に求める努力を続けてまいります。」
●<2.現行人勧制度の無視>に対する回答・・
「地方公務員は、その地位の特殊性と職務の公共性により、憲法第28条に規定する労働基本権が制約されており、その代償措置の一つとして人事委員会勧告制度があり、基本的には尊重すべきものと考えております。
しかし、労働基本権制約の代償措置としてはほかにも、職員の給与について、財政事情や、政治的、社会的その他諸般の事情を考慮し、住民自治の原則に基づき議会の議決を経て条例により決定される、いわゆる条例主義が法定されています。
本県の厳しい経済情勢、雇用情勢から緊急の対策を講じなければならない事情と、その対策に講じる財源が不足し、職員の給料を削減して対応せざるを得ない事情は、正に政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的配慮に基づくものであり、そうせざるを得ないという決断をしたものです。
今回の職員の給料削減については、人事委員会勧告も当然に視野に入れながら、考慮に考慮を重ねた末のものであることをご理解願います。
また、これまでの交渉の過程において、職員団体側も真剣に検討され、具体的な代替財源の提案を行うなど前向きな議論が行なわれてまいりました。
財政健全化を進めながらも、他の財源により職員給料削減幅の圧縮ができないかという観点で、その意味では、労使が同じ方向を向いて論議を進めることができたと思っております。
県としては、交渉の中で整理された論点を予断なく受け止め、再度検討し、熟慮を重ねて、戦略推進と財政健全化とが両立するギリギリの案として、3.2%まで給料削減幅を圧縮する内容を再々提示したほか、当初予算を編成し、議案を提出するギリギリの期限まで交渉を重ねてまいりました。
職員団体側の理解が最後まで得られなかったことは誠に残念ですが、双方が真剣に交渉の着地点を探りながら議論を行なってきたものであり、労使合意に向け、ギリギリの期限まで、最後の最後まで努力した結果であることを御理解願います。」
●<3.県職員の賃金カットを人質とする予算>に対する回答・・
「長期低迷にあえぐ地域経済の再生への道筋を確かなものとするためには、経済産業再生事業全体の事業規模について相当量を確保するとともに、高い事業効果が見込める各種の政策を、体系化された一連の政策群として推進する必要があります。
こうした観点に立って、経済再生戦略プランは雇用の緊急確保とそれにつながる産業の再生・創出のための緊急性・戦略性の高い事業を厳選し、体系化したものです。
この戦略事業の財源として、やむを得ず給料の削減額を充てることについては、現下の厳しい財政状況の下で、財政健全化という課題に的確に対応しながら産業経済の再生を推進する観点から、財源の確保に最大限の努力をした結果、どうしてもその不足を回避することができなかったために苦渋の決断をしたものです。」
●<4.県職員の賃金カットは自治体関連労働者の賃金カットに連動する危険性がある>に対する回答・・
「緊急経済再生戦略は、疲弊した地域経済再生のため、本県独自の取組として緊急的に実施するものであり、今回の本県職員の給料削減については、再生戦略事業の事業費について、県が負担すべき財源の一部に不足が生じたことからやむを得ず実施するものです。
再生戦略については、県内の各市町村に対しても呼応した動きが生じることを期待しておりますが、あくまでも戦略プロジェクトを進める上で市町村にも参画していただき、県と協調して取り組んでいただきたいという趣旨であり、市町村職員の給与削減についてまで県に同調することを期待しているものではありません。
また、このような給料削減の手法について、他の自治体でも関心を持って推移を見ているものとは思いますが、当然、他の自治体に連動することを期待して実施したものではなく、あくまで本県独自の特殊事情を考慮して行なわれるものであることを御理解願います。」
●<5.不安定雇用を増大させる>に対する回答・・
「正社員として雇用されるというのが望ましいものと考えておりますが、現状は、平成5年3月以来、有効求人倍率が1に満たないという期間が10年以上続いているという大変厳しい状況です。
求職者にとってはあれこれ選べないという状況であり、また、やりがいのある仕事に就きたいとしても、そもそも求人がないといったような状況にあることも事実です。
したがって県としては、緊急経済再生戦略プランを推進し、企業誘致の促進、雇用の緊急確保、並びに新成長産業の創出及び、中小企業の再生による雇用の場の確保等を図ることが優先すべき課題であると認識しております。
なお、戦略期間終了後の事業継続については、それぞれの事業効果を適切に評価して個々に判断することとしております。」
(以上、総務部人事課・財政課、産業経済部経済産業再生戦略局)
■<申し入れ事項>
(4)「みやぎ知的障害者施設解体宣言」の撤回を
知事は2月、「船形コロニーの解体宣言から1年余経った今こそ、宮城県全体として、船形コロニー解体宣言の普遍化をなすべき時である。つまり、知的障害者の入所施設を解体し、入所者の地域生活への移行を図ることを、宮城県全体の障害福祉の方向として、明確に示す必要がある。それが、今、このような宣言を発する理由である」、と宣言しました。浅野県知事は、4月22日地元関係者に説明する、「県知的障害者福祉協会」の総会に知事が出席し、宣言に至った理由を詳しく述べ、協力を求めるとされています。
このような宣言の出され方は、入所者、家族、施設職員、ボランティアなど、各方面に疑念を与え、いわゆる「浅野知事的パフォーマンス」への憤りとあいまって、大きな不安が広がっています。知事は「説明」の前に2月21日、大津市で開催されたシンポジウムで「宣言」しました。会場では好意的な意見が出た一方、不安や注文の発言が出たと報道されています(四国新聞)。
また、解体宣言は、福祉行政の後退を意味するものであり、福祉行政を競争原理に委ねることになる危険性があります。
「宣言」の撤回を求めます。
●(4)に対する県の回答・・
「みやぎ知的障害者施設解体宣言」は、「みやぎの福祉・夢プラン」及び「みやぎ障害者プラン」の基本理念である「地域で自分らしい生活を安心して送れる社会」の実現を目指して、本県の今後の知的障害者福祉の基本的な方向性を県民の皆様にお示しし、御理解と御協力をお願いするために行ったものです。
この「宣言」では、「施設解体」を宣言していますが、県内の知的障害者の入所施設を即刻解体するということではなく、知的障害を持った方々が普通の生活を送れるような条件整備をすることに主眼があります。そのような条件整備がなされれば、結果として入所施設が不要になり、つまり解体できるということです。
県としては、知的障害を持った方々が地域で生活するための支援施設を充実することで、入所施設から地域社会へと移行し、障害があっても地域で普通の生活を送れるようにすることを目指していきたいと考えておりますので、御理解願います。
なお、宣言の内容を具体化するためには、関係の皆様の御理解と御協力が不可欠であり、(04年)4月22日の宮城県知的障害者福祉協会総会での説明はすでに終了しましたが、今後も様々な機会をとらえ、障害者とその御家族、福祉関係者、市町村など、関係の皆様に対する説明を行ってまいります。」
(以上、保健福祉部 障害福祉課 知的障害福祉班)
![]()