鉄産労(鉄道産業労働組合)は04年12月24日、不当労働行為救済を宮城県労働委員会に申し立てた。第1回の調査は2月21日、宮城県労働委員会で行われた(平成16年(不)第4号/東日本旅客鉄道事件)。第2回調査は4月14日に行われる。
鉄産労は、組合の組織破壊を目的とした組合員の強制配転に対する謝罪と運転士への復帰、また、所属労働組合の違いによる差別・不利益扱いをやめることを求めて闘っている。(以下、「引用」は申立書より)。
当該組合員(中央本部執行副委員長)は04年7月9日、山形運輸区長より突然、7月20日付で山形車両センターの車両技術係へ転勤するよう一方的に通知された。
組合員は04年3月4日、仙山線で所定停車のところ勘違いによって駅を通過する事故を起こした。組合員は2年前にも同様の事故を起こしている。事故直後、またその後数か月に渡って、<上申書>の提出を強要するなど、会社は執拗な嫌がらせ、パワーハラスメントをもって組合員を責め立て、追い詰めた。会社は「乗務員として必要な再教育、訓練等は行わず」、組合員は「本来の業務とは関係のない事務的な雑用をさせられていた」。「通常このような事故を起こしても、2、3日から長くても1ヶ月程度の再教育・訓練で乗務に復帰させている。しかし、会社は1ヶ月が過ぎ2ヶ月が過ぎ、3ヶ月目に入っても乗務に復帰させることはなかった」。
JR東日本は「営利優先・安全軽視」の経営姿勢の中で事故を増大させ、停車駅通過や停車位置誤りの事故も多く起きている。「快速列車でも停車駅がまちまちであったり、同じ列車でも土・日・休日によって停車したり、停車しなかったり」という列車設定となっている。こうして、「会社が運転士としての適性を欠いているとする停車駅通過、停止位置誤りの事故は日常的に起きている。組合はダイヤ改正など機会あるごとに、紛らわしい停車パターンを改善するよう申し入れてきた。いずれにせよこれまで、停車駅通過事故を起こした事で、運転士職を外された社員はいなかった」。しかし、こうした経緯にもかかわらず、JR東日本は当該組合員に一方的な配転を命じたのである。
JR東日本は組合結成以来、鉄産労に対する敵視政策をとってきた。
「鉄産労は1984年2月、『国鉄動力車労働組合』から分裂して結成された。・・鉄産労は組合結成から一貫して国鉄分割民営化に反対してきた」。「国鉄当局は、国鉄分割民営化に反対してきた労働組合に所属する組合員を『人材活用センター』等に収容し、見せしめ的に草取りなどの雑作業を強要するなどあからさまな差別を行った」。鉄産労組合員も同様であり、国鉄分割民営化を控えた1987年3月、JR東日本採用が決定していた組合の半数近くが強制配転させられた。
組合は直ちに配転無効の仮処分を仙台地裁に申し立てた。仮処分の棄却により、90年に損害賠償を提訴。地裁では敗訴したが、99年に仙台高裁で勝利を勝ち取った。高裁は不当労働行為を認定し、損害賠償を命ずる逆転判決を下した。JR東日本は最高裁に上告、2000年2月、最高裁で会社の敗訴が確定した。にもかかわらず、会社は不当労働行為を続けたため、同年4月、当時の地労委に救済申立を行い、さらに仙台地裁に提訴したのであった。「損害賠償請求は仙台地裁の斡旋で、2001年2月会社と和解し」、その後同年3月、「最後まで強制配転のままとなっていた組合員が、14年ぶりに運転士として原職に復帰したため同月、本労働委員会に救済申立を取り下げた」のである。
このような経緯に照らしても、今回の強制配転は鉄産労への差別と敵視の政策に基づくものだといわざるをえない。しかも、営利優先の職場には管理者の自己保身が蔓延している。「事故の原因究明」ではなく「個人の責任追及」が横行し、このような状況に異議を申し立てる者には強制配転を始めとする差別待遇が強要されている。
鉄産労は、「不当労働行為の背景と問題の本質」を次のように指摘している。
「新会社発足とともに、『国鉄時代への逆戻りは絶対に許されない。黒字経営は輸送業務の最大の使命』として『営利優先・安全軽視』とする経営を推進してきた。鉄産労は会社のこのような経営姿勢を批判し、『安全を最優先する経営』に根本的に改めるよう求めてきた。これに対し、会社は会社の施策に批判的な労働組合の組合員を差別的に冷遇し、会社の施策に協力的な労働組合の組合員、とりわけ組合役員を優遇する労務政策が、今回の不当労働行為の背景となっている」。そして、「事故が増大し、停車駅通過、停止位置誤り事故は日常的に起きているにもかかわらず」、当該組合員だけを「運転士として適性に欠けるとして運転士職を外したのである」。
「すべてにおいて完璧な人がいるはずはなく、ヒューマンエラーはなくならない。そこでハード面、ソフト面の安全対策が必要になってくる。事故を起こした社員の責任追及をいくら行っても事故はなくならない。ましてや事故の責任を、所属する労働組合の違いによって差別するのであればなおさらのことである」、当該組合員に対する「強制配転は、会社の人事権を悪用した組合差別であり、不当労働行為であるのは明らかである」。「鉄産労は一貫して会社の安全問題、組合差別などの不当労働行為に対し、職場闘争とあわせて、裁判・労働委員会・労働基準監督署などを活用しながら原則的に闘ってきた。強制配転はこのことに対する報復であることは明白である」。
鉄産労ならびに組合員への攻撃を許さず、労働委員会の闘いに勝利しよう!
*注。宮城県地方労働委員会(地労委)は「宮城県労働委員会」と名称変更された。
(宮城全労協/2005年3月18日)
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