| コメント『労働契約法』 〜労働契約法に対する批判的検討〜 全国一般労働組合全国協議会 書記長 遠藤一郎 (2008年3月) |
(注)以下は『労法センターニュース』(228号/08年3月20日)に掲載されたものです。著者の了解のうえ、宮城全労協hpに転載しました。 1.労働契約法の国会審議経過 ○臨時国会成立までの経過 ○審議過程の問題点 2.成立した契約法 ○各条文とそれに対するコメント 3.どう活用するか 一、労働契約法の国会審議経過 (1)臨時国会成立までの経過 07年2月2日、労働政策審議会(労政審)は法案要綱を答申、同3月13日、労働契約法が閣議決定され、国会に提出された。 @労働法制国会 小泉構造改革の負の側面が噴出し始める中、格差社会、ワーキングプアが問題とされた。小泉の後を受け継いだ安倍内閣は、07年通常国会を労働法制国会と銘打って、雇用対策法、雇用保険法、パート労働法、最賃法、労働契約法、労働基準法と6本の労働関連法案を国会に提出した。雇用対策法、雇用保険法、パート労働法は、自公の多数で採択されたが、通常国会の後半は、相次ぐ閣僚不祥事と消えた年金問題で混乱し、労働法制国会は吹き飛び、最低賃金法、労働契約法、労働基準法はほとんど審議されず、継続審議扱いとなった。 Aホワイトカラーエグゼンプションは国会上程から除外 国会に提出された労働時間に関する労働基準法一部改正案にはホワイトカラーエグゼンプションは盛り込まれず、月間80時間以上の時間外労働に対する割増率引き上げを内容とするものとなった。「過労死促進法」「残業代ただ法案」などと名付けられ、労働組合のみならず過労死家族、過労死弁護団などが結集した広範な反対運動が展開された結果と言える。この間の相次ぐ労働法制改悪が政府や財界の思惑通り強行されてきた状況に変化が現れたと言える。 B参議院選挙の自公惨敗と臨時国会、安倍の辞任 ・・臨時国会の焦点はイラク特措法 07年7月に行われた参議院選挙の結果は、自公が惨敗し、参議院での与野党逆転状況が生まれた。安倍首相は施政方針演説の直後、代表質問の直前に辞任し、一ヶ月近くの混乱状況が続いた。 臨時国会の焦点は、11月1日に切れるイラク特措法の延長問題に絞られていた。 C継続審議労働3法の審議の動きなし 10月中旬まで、労働契約法をはじめとする継続審議労働3法の審議の動きはほとんどなかった。私たちが、10月17日に開催した「望まれる労働契約法 講演学習会」でも、労働契約法の今臨時国会での成立はない、充分な審議をやり直し、より良い契約法づくりのために運動していこう、との認識であった。 D民主党、労働契約法と最賃法の対案を提出・・大連立構想の動きと関連、 わずか1週間の審議、本格審議なしに修正合意、成立へ 民主党は労働契約法、最低賃金法の対案を国会に提出した。10月31日に急遽、3法案と民主党対案が衆議院厚生労働委員会で審議入りした。そして、わずか1週間後の11月7日には、自公、民主の修正協議と合意により、委員会で修正可決され、8日には衆議院本会議で可決、成立し、参議院へ送られた。 11月15日、参議院厚生労働委員会に付託され、3回の委員会で審議で同27日に採択。28日の参議院本会議で可決、成立させられてしまった。 (2)審議過程の問題点 @拙速審議 03年から研究会(「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」)が始まり、05年9月に研究会報告、10月から労政審での審議に入った。翌06年6月まで審議が進められたが、扱うべき問題範囲の広さ、各項目での意見の違いがあり、労使委員双方から慎重審議を求める声が相次いでいた。 にもかかわらず、一端審議を中断した後は事務局主導のもとに一気呵成に突っ走り、報告書がまとめられ、提出された。 国会の審議はもっと極端で、07年10月31日に委員会付託されて一ヶ月を経ないうちに、衆議院、参議院を通過してしまった。 我が国で初めての労働契約法制定にもかかわらず、こんな拙速な審議でよかったのだろうか。大きく疑問が残るところだ。 A最低賃金法との一括審議 最後の国会審議の中、最低賃金法の改定と一括審議で事が進められた。最低賃金の底上げに資する最賃法改定は、ワーキングプアが社会問題化する中で強く求められていたといえる(産別最低賃金の廃止に向かう危険などの問題点はあったが)。 しかし、最低賃金法の成立と労働契約法の制定を、一括扱いで進める必要はなかった。 二、成立した契約法 成立した労働契約法は全5章19条からなる簡素なものだ。08年3月1日施行にともない厚生労働省は全27ページに及ぶ基発0123004号を発し、各都道府県労働局長に対し、内容の周知を図った。また、各労働基準監督署に、「労働契約のポイント」と題するリーフレットを置き、労使に対する周知を図っている。 以上を参考にしながら、各条を追ってコメントする。 (◎注/以下に書き出した条文には抜粋や要約が含まれています。全文は厚生労働省のホームページで確認してください。) 第1章 総則 ○第1条(目的) 「この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労使関係の安定に資することを目的とする」。 <●コメント> 政府案では、「労働契約と就業規則との関係等を定める」と目的に明記され、労働契約法と言うより就業規則を中心に労働契約を規定するものとなっていた。 これについては、民主党との修正協議の中で削除された。目的からは削除されたが、法全体が「就業規則中心の契約法である」ことには変わりはない。 ○第2条(定義) 「この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう」。 2.「・・「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう」。 <●コメント> 法適用労働者の範囲については、研究会の段階から議論があり、われわれは、請負や業務委託など、実態は雇用従属関係にある労働者を広く対象とすべきだと主張してきた。しかし、ここでは、労働基準法上の労働者と規定され、「使用従属関係が認められれば・・」と、従前の取り扱いのままだ。基発やリーフレットで対象は広く認めると書いているが、「使用従属関係」を認めさせるために、多くの請負や業務委託労働者の闘いが費やされてきたことを忘れてはならない。 法に積極的に対象労働者として明記すべきだ。 ○第3条(労働契約の原則) 「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする」。 2.「就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ」締結し、又は変更すべき。 3.「仕事と生活の調和に配慮しつつ」締結し、又は変更すべき。 4.「労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」。 5.「労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」。 <●コメント> 2項、3項は修正協議で挿入されたものだ。 「就業の実態に応じて」とは、正規従業員と非正規従業員を同等に扱うことからまぬがれる根拠を与えることになり、不十分と言わなければならないが、均衡の配慮、仕事と生活の調和に配慮が挿入されたことは、唯一成果と言えるのではないか。 ○第4条(労働契約の内容の理解の促進) 1.労働条件、労働契約の内容について理解を深めるように。 2.「労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする」。 <●コメント> 2項の労働契約の内容に「期間の定めのある労働契約に関する事項を含む}としたのは民主党案による修正が入れられたもの。当たり前であるが、有期雇用労働者問題を意識させる意味では利用できる。 労働政策審議会で経営者側委員、特に商工会議所など中小企業団体代表は一貫して、書面での合意が企業負担になるので反対してきた。本来、契約は書面確認で明確にされるものであり、「できるかぎり」とはおかしい。実際、書面確認をいい加減にする中小企業主の逃れ道になってしまう。 ○第5条(労働者の安全への配慮) 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」。 <●コメント> 政府案は「労働契約により」となっていたが、修正協議で「労働契約に伴い」とされた。当たり前ではあるが、民法等の規定では明らかになっていないので、安全配慮義務を明記したことは大切。また修正協議で「伴い」とされたことは、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、契約上の付随義務として使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたもの(基発)である。 第2章 労働契約の成立及び変更 ○第6条(労働契約の成立) 「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」。 ○第7条 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件で定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者が及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない」。 <●コメント> 第6条では、労働契約の「合意の原則」の再確認。 第7条で、政府案は「周知させた場合」となっていたが、修正協議で「周知させていた場合」となった。 労働契約で労働条件を細部まで決めていないことが多い状況のなか、合理的で、周知させていた場合、就業規則で定める労働条件が個別の労働者の労働条件になると規定したもの。労使合意の原則を越え、使用者が一方的に制定できる就業規則で定めた労働条件を労働契約内容とする、就業規則中心の労働契約法となっている。 ○第8条(労働契約の内容の変更) 労使は「その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」。 ○第9条(就業規則による労働条件の変更) 「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし次条の場合は、この限りでない」。 ○第10条 「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度(@)、労働条件の変更の必要性(A)、変更後の就業規則の内容の相当性(B)、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである(C)ときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」。ただし、就業規則では変更できないとの合意がある場合、この限りではない。 <●コメント> (T)そもそも就業規則による労働条件変更法理を労働契約法とすることは誤りだ。「労働条件の不利益変更を、就業規則の変更を通じて行うこと」を労働契約法に成文化することは、労働契約の労使対等の合意原則から見ておかしい。われわれが今回の労働契約法制定時の最大の焦点として反対してきたポイントだ。 これについては、労政審労働条件分科会審議が大詰めの06年12月21日に、労働法学者34名によって次のような声明が発せられた(「禍根を残す就業規則変更法理の成文化〜契約原理に反する労働条件変更法理の固定化は避けるべきである〜」)。使用者が一方的に作成する就業規則による労働条件変更の条文化は、使用者による一方的な契約内容の形成を認める法理の肯定である。合理性の要件を前提とする最高裁の判例法理はあるが、労働契約内容調整のツールがなかったためとられた方式である。これを固定化せず、理論的、実務的妥当性に耐えられる契約内容の変更法理と手法について検討を深めるべきだ。これをせず、しかも判例法理とも異なる形で就業規則を用いた使用者の一方的変更方法だけが成文化されようとしている。 声明は、これでは契約原理に死を宣告する契約法になりかねない、とまで警鐘乱打した。にもかかわらず、労働契約法の中心に据えられてしまった。 (U)「判例法理を足しもせず、引きもせず」の嘘 労政審労働者側委員は、最終的な報告の際、事務局の「判例法理を足しもせず引きもせず、条文化する」とのとりまとめに同意した。「理論的、実務的妥当性に耐えられる契約内容の変更法理と手法についての検討」を放棄し、現状固定化に同意したことは批判されねばならない。 同時に、「足しもせず、引きもせず」が法案になってみれば、重要な合理性判断の要素がいくつか外されてしまっている。主要な最高裁判例を見てみよう。 『秋北バス事件』では、原則としての「不利益変更はできない」こと(第9条)と、当該規則条項が合理的なものであるときは個々の労働者が同意しないことによって適用を拒否することはできない(9条但し書き)こととされた。 『大曲市農業協同組合事件』では、賃金等重要な労働条件の変更には「高度の必要性に基づいた合理的内容のものである」場合に効力を生ずる、とされた。 『第四銀行事件』では、合理性の判断基準として、@労働者の被る不利益の程度、A変更の必要性、B変更後の内容の相当性、C代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、D労働組合等との交渉の経緯、E他の労働組合または他の従業員の対応、F同種条項に関する我が国社会における一般的状況等、と7項目を列挙した。 『みちのく銀行事件』では、賃金体系の変更により大幅な不利益を生じさせる場合には、不利益を受ける労働者に対し、不利益緩和の経過措置による救済が必要。一部の労働者に不利益が収集する場合、(多数)労働組合の同意を大きな考慮要素とすることは相当ではない、とした。 これらの判例と第10条の条文を比較して、「足しもせず引きもせず」と評価できるだろうか。明らかに、「重要な労働条件の変更には高度の必要性が必要」「代償措置の必要性」、労働組合等との交渉の経緯とは別に「他の労働組合または従業員の対応」「同種条項に関する一般的状況」「一部の労働者に不利益が収集する際は多数組合の同意だけではだめ」が抜けている。 厚生労働省は国会質疑答弁で、「内容的に互いに関連しあうものもあるので第10条本文では、4項目に統合列挙したもの」「判例を変更するものではない」と、繰り返し述べていた。また、基発では「判例法理に沿ったもの」となっている。いずれにせよ、われわれは「高度の必要性」「代償措置」「一部の労働者に不利益が集中する際の判断基準」等が、この法から欠落していることを懸念する。 民主党に対案には、「労使合意の労働条件変更ルール」への工夫が垣間見えたが、修正協議では肝心の第9条、10条を中心とする就業規則部分は政府案の通りとなった。 ○第11条(就業規則の変更に関する手続き) 就業規則変更の手続きは、労働基準法第89条及び90条の定めるところによる。 ○第12条(就業規則違反の労働契約) 就業規則に達しない労働契約は無効。無効部分は就業規則通り。 ○第13条(法令及び労働協約と就業規則との関係) 法令、労働協約が就業規則の規定より優先。 <●コメント> 当然のことを条文化。 第3章 労働契約の継続及び終了 ○第14条(出向) 「・・その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効とする」。 <●コメント> 政府案では第14条の2項で「出向」についての規定を定めていたが、修正協議で削除された。配転、転勤など労働契約の継続の中、労働者の同意規定などが必要とされており、研究会報告でも取り上げられていたが、一切除外された。 ○第15条(懲戒) 懲戒する場合、「・・客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして・・無効とする」。 ○第16条(解雇) 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして、無効とする」。 <●コメント> 労働基準法第18条の2を労働契約法に移行したもの。 われわれはリストラの嵐が吹く中で、解雇自由や整理解雇に関する判例法理を逸脱した判決が下級審で出されるという危機感の中、全労協として解雇制限法の立法提言を行った。また、研究会から労政審にかけて、解雇権濫用の法理の条文化と同時に、整理解雇の4要件も条文化する動きがあった。しかし、経営側の「解雇の金銭解決」と相殺され、法制化されなかった。解雇の金銭解決方式は、03年基準法改訂時に法案要綱に盛り込まれながら、法務省等からの異論が出て見送られたものだ。本来、判例法理として一定の社会的規範になっている「整理解雇の4要件」と「解雇の金銭解決方式」をバーターすることはおかしい。 第4章 期間の定めのある労働契約 ○第17条 「使用者は、期間の定めのある労働契約法について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」。 2.有期契約の目的に照らし、「必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約法を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」。 <●コメント> 雇用の流動化、不安定化、非正規雇用化が急激に進み、そのことが格差拡大、貧困化を生んでいる中、有期雇用に関する規制をどのように法に盛り込むか、労働契約法立法の最大感心事の一つであった。しかし、法案化されたのは、従来から確認されていた期間内解雇の制限と、必要以上に短い雇用期間の反復更新を行わないようにする配慮義務だけであった。 政府案では「やむを得ない事由がないときは・・」であったが、修正協議で「・・ある場合でなければ」とされた。 「入り口規制」について。 無制限の有期雇用化に歯止めをかけるために、「有期契約には正当な理由が必要でなければならない」とするEU指令にならった入り口規制が求められていた。しかし、研究会報告は、「労使双方の多様なニーズに応じて活用されており、その機能を制限することは適当でない」とし、最初から除外してしまった。 労政審の議論の中でも論点として出され、06年6月13日付け「中間とりまとめ」では、「労働契約に際し、使用者は有期契約とする理由を示すとともに、その期間を適切なものとするよう努めなければならない」と、不十分ながらも入り口規制の手がかりになりそうな項目が提示された。しかし、これは「幻の中間とりまとめ」となり、審議会の一時中断後に示された「今後の検討について」では除外されてしまった。 「雇い止めの規制」について。 現実の有期雇用契約は、常用雇用が当然なのに解雇がたやすく行えるよう有期にしているため、反復雇用であり、10年20年と継続されているなどの例が多く見られる。このような状況では、反復更新される有期労働契約に関して、雇い止め規制が必要となる。「有期契約反復更新の際、雇い止めの効力判断にあたっては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理を類推するべきである」との判例法理もある。しかし、今回の立法にあたっては全く無視されてしまった。 第5章 雑則 第18条(船員に関する特例) 第19条(適用除外) 「この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない」。 (三)どう活用するか 労働契約法が成立してしまった。成立した以上、これを活用できる点は最大限活用し、運動に役立てなければならない。 (1)生かせる点を生かそう @労働契約法の締結に際して、以下が条文化されている。 イ、労使対等合意の原則(3条の1) ロ、均衡の考慮(3条の2) ハ、仕事と生活の調和に配慮(3条の3) ニ、契約内容の書面での確認(4条の2) ホ、安全確保への配慮(5条) これらを最大限利用し、これにそぐわない労働契約には異議を申し立てたり、積極的に「均衡待遇への考慮」や「仕事と生活の調和」の観点から契約内容に関わる要求を出していくこと。 A懲戒の制約に関する「客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当でない懲戒は無効」や、有期契約の「必要以上に短い期間を定める有期雇用契約反復更新をすることのないよう配慮」の条文も使える。 (2)就業規則による労働条件変更について @協約化の重要性 中小労働組合の場合、多くの問題について、交渉による合意を勝ちとっても、それを協約化する取り組みが不十分なことがある。労働協約は就業規則より効力が強い(第13条)。労働協約化の取り組みを強化しよう。 A職場での多数を目指し、労働組合強化を闘いとろう。 就業規則変更の際、いくら一方的に手続きが可能であっても、経営者は職場での多数組合の存在を無視しにくい。職場での多数組合を目指そう。 B就業規則による労働条件変更の際の「合理性の判断根拠」について、第10条では4項目に整理されている。しかし、厚生労働省は「最高裁判例を変更するものではない」と繰り返し説明している。4項目に整理し切り縮めたことを糾弾しつつ、「代償措置が充分か」「重要な労働条件の変更には高度な必要性が必要」「一部の労働者への不利益の受認には、適切な救済を図るべき」などをしっかり主張して、対抗していこう。 ■以上(宮城全労協/2008年5月2日) |