JR福地山線での脱線・転覆事故に対する声明

鉄道産業労働組合

4月25日、JR福地山線において死者107人、負傷者500人にも及ぶ脱線・転覆事故が起きた。我々はこの大惨事の被害者とその家族、親戚、友人知人の人々に対して心からの哀悼とお見舞いの意を表明し、謝罪する。同時に、我々と全国の鉄道労働者や国鉄退職労働者たちの多くが、今回の脱線・転覆事故発生に心を痛め、被害者に弁解の余地もなく申し訳ない気持ちであることを、あわせて表明させていただく。

我々はこれまで、国鉄の分割民営化に反対し、JRの安全無視の経営に異義を唱えて闘ってきた。しかし、JR各社は「安全第一」の公共鉄道輸送業務を実施してこなかった。我々は鉄道労働者としてその責任を痛感している。

もちろん、JR西日本の非は明白である。また、今回の事故がJR西日本一社の問題ではないことも明らかだ。JR各社ならびに国鉄分割・民営化を強行した政府・自民党の根本的な責任が問われている。小泉首相は郵政民営化の正しさの証明として「国鉄分割・民営化」を例にあげてきた。分割・民営化の結末が今回の大惨事であった。小泉首相はその責任をとらねばならない。

かつて日本国有鉄道は安全綱領を持ち、その第一条に「安全は輸送業務の最大の使命である」と明記されていた。国鉄労使の対立の大半は、スト権ストを除いて、安全問題にあった。国鉄労働者は「安全第一」を闘いの柱にすえ、政府・自民党の「営利第一」の民営化に反対して闘い、敗北した。

民営化によって出発したJR各社は「安全綱領」を捨て去った。安全は口先だけのお題目となった。JR各社は増収を社員に強制し、安全の責任を労働者に押しつけ、増発とスピードアップを重ねた。安全第一を主張する社員に対しては、会社方針に反する非協力的社員として差別し、攻撃した。このような強権的、官僚的な職場管理が事故の背景にあることは明白である。

メディアに登場する民営化論者たちは、猪瀬直樹氏を始めとして、あたかも「公共交通の安全性は自明のこと」であるかのように主張している。しかし、安全は無前提的に存在しているのではない。完全確保のためには労使の責任と利用者の信頼に応える職場体制が不可欠である。そのような職場体制は闘いの歴史のなかで築き上げられるものだ。全国各地で発生している事故を他社の問題として扱ったり、運転士などの「自己責任」にすりかえたりしてはならない。まさに国鉄「安全綱領」の精神を復活させ、「職責を越えて」教訓化し、共有化させることが、職場の団結としてなされなければならない。

我々は被害者たちの怒りと悲しみを受けとめ、国鉄OBとともに安全輸送の誇りをかけ、民営化による営利第一主義の経営に断固反対し、今後とも安全第一の鉄道事業を追求していく決意である。
 
2005年5月1日