三角関数

 電気・電子の世界では、理論を体系的に理解し、表現するために数学が使われています。その中でも、高校の数学で習った三角関数は交流現象や信号解析に多く使われています。
 書籍などで数式の変換が省略されていると、内容を理解する前に数式でつまずいてしまうことがあります。(私だけ?)
 気付いたときに手軽に見られる三角関数の公式集にしました。


1.三角関数の定義
  
  斜辺、底辺、対辺のそれぞれの比の関係は∠θの値によって定まります。
  ∠θの関数なので三角関数といいます。

2.正弦定理


  △ABCの頂点Cから辺ABまでまたはその延長上に垂線CDをおろすと
  ∠A≦90°のとき、垂線CD=b・sinA
  ∠A>90°のとき、垂線CD=b・sin(180°−A)=b・sinA
  垂線CDを辺aで表すと、CD=a・sinB
  ゆえにb・sinA=a・sinB    
  同じように・・・(略)・・・c・sinB=b・sinC
  よって

 これを正弦定理といいます。

3.余弦定理

  原点に△ABCの頂点Aをとり、x軸に直線ABをとります。
  △ABCが第一象限にある場合、A,B,Cの座標は
  
  A(0,0)  B(c、0)  C(bcosA、bsinA)
  
  となります。
  
  2点間BCの長さaは、(三平方の定理より)
 

  同様にして次の等式が成り立ちます。
 これを余弦定理といいます。
 
 上の式から以下の式が求められます。



4.加法定理

  角度α、βの足し算の三角関数を加法定理といいます。
  電気・電子の計算で加法定理がそのまま利用されることは少ないが、倍角の公式、
  半角の公式などを誘導するのに使われる定理です。

*3式は全て複合同順となります。

5.二倍角の公式

  加法定理の式でβ=αとすると倍角の公式になります。


6.半角の公式

  倍角の公式  から
  αをα/2に置き換えて

  倍角の公式  から
  αをα/2に置き換えて


7.積を和に変換する公式

  下記の加法定理より
より下記のように変換すると「積を和に変換」できる。

8.和を積に変換する公式

  下記の加法定理において
上式において

とおけば
となる。
この式を加法定理の式に代入すると、下記のように「和を積に変換」できる。