赤外線送受信ユニット
構成、仕組み、回路図

 パソコンからの出力をワイヤレス環境にして制御できるインターフェースユニット(赤外線送受信回路)をブレッドボードで製作して動作確認をしました。

 シリアルインターフェース(EIA232)を使いますので、シリアルポート付きのパソコンが必要になります。最近はレガシーインターフェースということで対応していないパソコンも多く見られますが、その場合は昔使っていたパソコンでもシリアルポートが付いていればOKです。Windows95、98、MeなどOSでも構いません。

 動作確認は発光素子からの赤外線を反射させ、受光素子で受信して確認します。
 


赤外線送受信ユニットブロック図



ブロック名の説明
番号 名称 機能
信号レベル変換回路 パソコン側で±に振幅する信号をTTLレベルの信号に変換する。またTTLレベルの信号を±に振幅する信号に変換します。
* ±に振幅する信号はNRZ(Non Return to Zero)信号です。

38kHz発振回路

データ信号を変調するための38kHzの周波数の信号を発生させます。

38kHz信号変調回路

データ信号を38[kHz]の周波数で変調します。

赤外線発光素子

電気信号を光(赤外線)信号に変換します。

赤外線受光素子

光(赤外線)信号を電気信号に変換します。

赤外線信号

赤外線( infrared rays)は、可視光の赤色の外側(周波数がより低い)に分布する、目に見えない光です。光と同様、電磁波の一種です。

シリアルインターフェース

1つの信号ラインで1ビットずつ信号を伝送する方式。
ここではEIA232規格を使用しています。

T.パソコンから出力される信号はシリアルポートより「1」、「0」を表すデータが連続して出力されます。
U.信号レベル変換回路でEIA232規格の信号レベルからTTLレベルの信号に変換されます。
V.次に38kHz変調回路で変調され、その信号で赤外線発光素子を点滅させます。
W.パソコンから出力されたデータはスタートビットやデータビットも全てそのまま赤外線信号に変換します。
X.赤外線発光素子から空間に出力された赤外線信号は赤外線受光素子で受信されます。
Y.受信された信号は信号レベル変換回路でTTLレベルの信号からEIA232規格の信号レベルに変換してパソコンに入力されます。

 
*「RS−232C」はシリアル通信の代表的な言い方ですが、EIA(Electronic Industies Alliance:米国電子工業会)が制定した規格にRS−232Cの規格が含まれるのでEIA232規格というのが適切なようです。


赤外線送受信ユニット回路図


信号の説明


       データはLSBから送られます。通信速度は1200bpsで確認しました。

箇所 信号波形 説明
@ 【パソコン】
シリアルポートからのデータ波形
約±9[V]のNRZ信号

マイナス電圧が”1”です。
A 【ラインドライバレシーバ】
TTLレベルに変換した波形
B 【タイマーIC】
38kHzCLOCK信号波形

36.0〜40.5[kHz]で通信可能
C データ信号を反転
D 【赤外線発光素子】
CLOCKとCをNAND
E 【赤外線受信素子】
赤外線信号を電気信号へ
変換した信号
F 【パソコン】
シリアルポートへの
受信データ波形



送受信ユニット外観図

ICの名称 ブロック図での働き
ADM3202,SP202E
(RS232ラインドライバレシーバ)
信号レベル変換回路
LM555,NE555
(タイマーIC)
38kHz発振回路


部品表
部品名/型番 外形 備考
ラインドライバレシーバ
ADM3202AN
他の型番の同機種でも動作可能です。
汎用ロジックIC
SN74HC00AP
C−MOS ICなので未使用入力ピンの処置をします。
タイマーIC
LM555CN
周波数は36.0〜40.5[kHz]が動作可能範囲でした。
赤外線発光素子
TLN105B
同等品なら別の赤外線発光素子でも代用できます。
波長950[nm]
赤外線受光素子
PL−IRM0101
(38kHz)
このタイプは蛍光灯からのノイズを受けにくくなっています。
半固定抵抗器:RV
10kΩ
調整用で使いました。
抵抗器
330Ω
TLN105Bでの電圧降下を1.5[V]として約10[mA]流れるように抵抗値を決めました。
抵抗器:
10kΩ
発振周波数f=1.44÷{(RV+2*)*
積層セラミック
コンデンサ
0.1μF
データブックのサンプル回路で指定されています。

積層セラミック
コンデンサ
1000pF
このコンデンサの容量が発振周波数に関連します。
D−SUBコレクタ
9ピン(メス)
2(RxD)、3(TxD)、5(GND)、7(RTS)、8(CTS)ピンを使用します。




平成17年6月9日作成