ご挨拶
名刺代わりに自分のオリジナル手ぬぐいを・・・
現在 手ぬぐいが製作される方法は 注染という方法で、染め上げられます。日本古来 の独特の大量生産の染めの技術です。 一度に数十枚染めることが出来ますが、すべて手作業です。染色の技術は、難しく手工の職人芸です。手ぬぐいには、彩色や模様によって、様々な種類があり、それは、日本人独特の、感性がはぐくんできた手ぬぐい文化といえると思います。そして、それを愛し、支えて来たのが庶民です。庶民に愛され、庶民に根づいた 「庶民芸術の華」といえます。どんなに芸術に優れていても、名も残らない職人によって作られ、その上 安価である為、注染の技術を受け継ぐ人は、年々少なくなってきました。現在では、スクリーン捺染の手ぬぐいも普及してきましたが、注染本染めの技術は、日本の貴重な技術です。失わせてはならないものと考えます。
幸い、大阪では昭和60年に注染本染めの手法が「大阪府の伝統的工芸品」に指定されました。宮城県仙台市でも、手ぬぐいの注染めが伝統的工芸品として、認められ 且つ 守られていく様、手ぬぐい作りに 力を注いでいきたいと思っております。手ぬぐいは、単に手を拭ったりするだけでなく、包んだり、頭に被ったりと いろいろな顔を持っています。インテリアとして額に入れ、タペストリー、テーブランナー、ランチョンマット、小風呂敷き、箸包み、お弁当包み、等など。趣味の手ぬぐいを楽しむ人が増えています。特に、若い女性に好まれております。とりわけ、若い女性は、感性も豊かで、好むものを素直に取り入れる柔軟性があるということでしょうか。
しかし、 手ぬぐいこそは「男の持ち物」と思うのです。昔は、学生が腰にぶらさげ、職人が頭に巻き、首にかけ、日常で 粋な格好良さとおしゃれを演出してきました。今も祭りには、伴天と共に手ぬぐいは、欠く事の出来ない持ち物です。
日本古来の伝統美である粋なおしゃれを、手ぬぐいで楽しんで欲しいと思いますし、また 傍目にも、粋にみえます。日本の文化、技術を守り続けるためにも、男性の小道具として、なんとか普及させたいと 願っています。名刺がわりに自分のオリジナルな絵柄を染抜いた手ぬぐいを交換しあう日が来ることを夢見ております。個性のなくなった今の時代、是非、自分の個性を演出し、楽しんでいただきたいと思います。