I C U (集中治療室)

和花  お星様になった日


9月8日 
  朝、目が覚めたら、八時過ぎ!朝の面会に行きそびれてしまった・・・。
今日は週に一度の旦那が来る日で、二人で午後の面会に行った。相変わらずかわいい寝顔でネンネしていた。パパになでなでしてもらって良かったね(^v^)

  和花の面会が終って、夕方まで病院の外で過ごし、夜の面会に行くまで病室で休んでいると6:15頃看護婦さんが来て、「ICUから連絡来て面会に来て下さいだそうです」とのことだった。え?なに??と思いつつ、二人でICUに向かった。インターホンをならすと、中の待合室で待っていてくださいと言われ待つことにした。いったい何があったの?和花がどうかしたの?まさか、まさかじゃないよの!だまっていられず自動ドアの向こう側をずーっと見ていると看護婦さんが来て、「今処置中なのでもう少し待っててください」と言われた。処置中ということは和花、生きているんだと二人で言い聞かせながら、呼ばれるのを待った。本当に長い時間に思えた。3、40分位待った所で先生と看護婦さんが来た。先生の表情からただ事じゃないんだ!とわかった。

  先生が口を開いた。「和花ちゃんは今かなり厳しい状況です。今日の午後三時頃から心拍数が下がり、心停止までなり、その時私はその場にいなく、それから色々な処置をし、今なんとか取り戻している所です。
肺高血圧クリーゼといい、低酸素・低心拍を繰り返す状態でその為、肺水腫といって肺が血液と水で一杯になってしまっています。通常、酸素が500mHgで150〜200mHgが危険地帯で、とりあえず今、300mHgある」というような事を言っていたと思います。もう、気が動転していて、よく覚えてません。そして和花の所に向かった。

  和花のベットの周りがカーテンで囲まれていた。中に入ると沢山の人がいた。その中に小児科の担当医の方もいらっしゃった。そして和花の姿を見て、一気に涙が流れた。隣から今まで何とか冷静を保っていた旦那の泣き声が聞こえた。ハッと我に返り、「和花!しっかりして!!」と叫んだ。お昼に見た和花の顔色とはまるで別人の様に変わっていた。舌がだらんと伸びきっていて、唇も舌も紫色だった。二人で「頑張れ和花!生きて和花!」としばらく叫んでいると旦那が先生二人に呼ばれて、カーテンの外に出て行った。しばらくして戻ってきて、旦那は私の肩を叩いてうつむいた。そして「もう、あきらめた方がいいって・・・。」 和花は機械で生きていて、もう自力では心臓が動かなくなってしまったらしい。もうこれ以上和花に苦しい思いをさせるのはかわいそう!早くこの沢山の管から開放させてあげたいと思い、二人で和花の手を握って機械を止めてもらった。モニターの数字が0になり、今までギザギザだった線はまっすぐな横棒にになった。午後7時12分でした。
  
 処置が終るまで、私は病室に荷物を取りに向かった。心配して看護婦さんが後から付いて来て下さった。病室に向かう途中、看護婦さんが、「和花ちゃん、パパが来るまで頑張ったね。今度はお星様になってみんなを見守っているよ」と言って下さった。そうかー、和花はお星様になっちゃったのかぁ。しかし、いまいち実感がわかなかった。病室に戻ると、同室のママさんに和花がお星様になった事を報告した。抱きしめて励ましてもらった。ありがとう!仲の良かった他のママさんにも挨拶し、NICUの看護婦さんにも挨拶し、荷物を持ってICUに向かった。

 12日間、沢山の管につながれ、はだかん坊だった和花は久々に身軽になり、お洋服を着て、口には紅が差され、口と鼻と耳には脱脂綿が詰められていた。久々に抱っこした和花は、腹水が溜まっていたせいか、少し重くなった気がした。タオルで包み、赤ちゃんだし、わからないだろうという事で、夜間出入り口から病院を出る事にした。小児科の先生と心臓外科の先生とICUの看護婦さん方が見送って下さった。まさかこんな形で退院するとは思ってもいなかった・・・。

  和花を抱っこして、旦那の車で高速を通って帰る途中、パーキングに寄り、空を見上げると、空一面に星が輝いていた。和花もあの中に仲間入りするんだなー。