漢方薬を作ろう!(鹿茸)

私にとって駆除は狩猟と何ら変わることがありません。肉が美味しく食べられるように撃ち、利用できるところは利用し尽くします。この鹿は袋角(幼角)が程よく伸びるまで追跡観察して、6月30日の雨中ストーキングにて200メートル先の斜面で採餌中を射程に捉えた個体です。成長途上の柔らかい角を干したものを漢方では鹿茸(ロクジョウ)と呼びますが、角が伸びきると薬効がなくなってしまうので、雄の大物を1頭だけ、毎年この時期にゲットしています。駆除といっても一切手を抜かず、雨に打たれながら粘りに粘って、下顎から射入する弾道でノーズショットを決めました。

肉と一緒に冷凍保存しておいた幼角は真冬に乾燥処理します。本当は年末年始にやるべき作業なのですが、今回は3月25日にまでズレ込んでしまいました。良質の大きな幼角ほど乾燥期間が長くなるので、気温と湿度が低くて蝿がいない環境を3ヶ月は維持したいところです。尚、幼角を冷凍保存するときは綺麗に洗浄してからビニールに包み、保存後は冷凍庫の扉を何度も開けないようにするのがベスト。小さな冷凍庫には大物の幼角は保管できません。

肉の保存には、写真のように小分けしたパッケージにメモを入れておくと便利です。雄の大物は臭い、夏の鹿はパサパサで食えないというのは嘘ですね。駆除だから(或いは食べもしないで不味いと思い込んで)適当に撃つ人がそういうことを言うのでしょう。しっかり処理して保存しておけば、夏の鹿でも丸2年大丈夫です。これを食べずに埋めてしまうなんて私は信じられません。因みに、この鹿は冷凍前に大半を調理して食べてしまったので、保存したのはこのモモ肉だけでした。見ているだけでヨダレが出ます。
ああ、うめえ〜(笑)。

右角560g、左角590g。長さは35センチあります。北海道では角は若いほど良いとして瘤が生えた程度の鹿を狙う人が多いのですが、本場中国の鹿茸生産者は、この写真のサイズになるまで採取しない(生きた鹿の頭から袋角を切り落とすから血まみれになるが、翌年また採取できる)ようです。薬効があるうちは大きくなるまで待つほうが重量が増えて儲かる道理。自家用目的の私達も参考にしたいものです。

血液が循環している成長途上の幼角は、ノコギリで簡単に根元から切断できます。見た目も角というより骨髄のような感じです。

野生動物にはダニが付き物ですが、この鹿の角には、たった2匹だけでした。どうせ冷凍すればダニは死ぬので、殺菌洗剤で洗ってすぐに冷凍庫に放り込んでおきました。勿論、加工前に除去済みです。

面白い形してますね。生の状態では弾力があって柔らかく、強い力を加えればボッキリいってしまいます。即倒して斜面から滑り落ちてくる時の衝撃で折れるんじゃないか、裂けるんじゃないかと、ヒヤヒヤでしたが、幸い無事でした。

血管が走っているのがハッキリ分かるでしょ? この時期の角は何かにぶつけたりすると腫れ上がるかも知れませんね。

これはケンカ角の先っちょです。秋には凶悪な尖んがりになる部分も、この時期は柔らかな毛と皮膜に覆われており、結構エエ手触りですよ。

加工方法には色々流儀がありますが、本場中国では、採取した幼角の血や汚れを落としてから大鍋の熱湯に短時間浸して殺菌と血液凝固を同時に行うようです。北海道ではストーブの上に吊るしっぱなしが主流。我が家では写真のように、ハロゲンヒーターとの対面加熱で乾燥と低温殺菌を同時に行っています。

遠赤外線効果で急速解凍、瞬く間に表面が乾燥します。

小1時間ほど加熱を続ける間、自分で山から採取してきたカバノアナタケのお茶など飲んで寛ぎます。 鹿茸を洗濯カゴで干して作っているのは、北海道広しといえども我が家だけでしょう(笑)。
これぞ田舎暮らしの真骨頂!

加熱乾燥作業が進むに従い臭ってきます。最初は何ともないのですが、徐々に獣臭が酷くなって、換気扇をフル回転させないと頭痛がします。脂が滲んだ程度で作業は終了。この後、数ヶ月冷たい部屋にぶら下げて完全に水分を抜くと長期保存に耐える高級漢方薬「鹿茸」が完成します。

鹿茸の使用量は、日本人の場合、1日0.1グラムで十分だそうです。自分で作れる人は、ついつい過剰摂取しがちですが、勿体無いことですね。

鹿茸は生薬として医薬品扱いになっているらしく、無許可調剤、販売行為は薬事法に抵触するのだとか。許可を受けていない人が「○○○○に効きます!」と効能を表示してネット販売するのは間違いなく違法。モグリはお巡りさんにパクられます。

このページを見て「鹿茸」の手作りにチャレンジする人は、販売して儲けようなどと考えないでください。

服用に際しては必ず漢方医に相談すること。血圧が高い人は服用不可だそうです。

鹿茸は健康食品ではありません。使用方法を間違えると副作用がある「薬」です。

服用、薬用酒材料他、利用全般、隅から隅まで自己責任!