北海道の狩猟解禁日は10月1日です。本州(11月15日)より一足早く始まり、1ヶ月長い4ヶ月間が狩猟期間として設定されています。昨今は誰にでもチャンスがある鹿猟に人気が集中しているせいか、私が所属している猟友会の中でも「鳥撃ち」にウエイトを置く人は殆どいないようです。
それなのに、ああ、それなのにったら、それなのに。なぜ解禁日に誰も人が入っていない山へ突撃して出会いが無いのでしょう? 勿論、ターゲットはエゾライチョウ。十勝には高麗キジは殆どおりませんし、ウズラは解禁頃には南下してしまいますから、キジ類ではエゾライチョウが唯一の猟鳥です。
焼鳥用の白ネギまで栽培する熱の入れようだと言うのに……ああ、それなのに、いやいや、いるところにはいたんですね。春先の「駆除パトロール」兼「山菜採り」で、お懐かしいお姿を幸運にも間近で観察することができました。今まで1枚も撮ったことがなかった生態写真もどうにかこうにかゲット!
場所は……秘密。
平成16年4月某日、今まで一度も入ったことが無い場所を徘徊しておりました。主目的は「ギョウジャニンニク自生地」の探索です。当然、目指すところは誰も入らない(入れない)場所ということになります。道などある訳もなく、「この茂み1枚向こうにヒグマが潜んでいるのでは?」との恐怖を、しみじみありがたく感じながら、藪漕ぎ、遡行、植生の確認、写真撮影をこなしていきます。ディアカントリーでありベアカントリ−でもありますから、写真のような獣道がベッタベタ。
風倒木の上に生えた木が大きく育ってズッコケテいる場所がありました。十勝沖地震の影響でしょうか? 右下に見えるのは残雪、立て掛けてあるのはライフル銃です。駆除従事者として常に遵法、地域への貢献を忘れることはありませんが、人に危険が及ばない限りヒグマに矢を掛けようとは思いません。しかし「ヒグマを倒せる道具が我が手にある」という事実は心強いものです。人が尻込みする場所へも突撃できますしね(笑)。北海道の山暮らしは銃がなければ成り立たないハードな一面もあるんですよ。
ここまではアキアジ(白鮭 = チャムサーモン)は上ってきませんが、アメマス、岩魚は別です。僅かなポイントに釣糸を垂れると飛び付いてきます。立ち止まって釣っている時はクマ除けの鈴も鳴りませんから、人もヒグマも瀬音で聴覚が鈍り、気付いた時は数メートル。怖いですね。そうならないためにも、唄を歌うとか、ラジオを鳴らすとか、色々方法を工夫すべきでしょう。
これは「樹皮食い」。餌の乏しい時期に行われると言われています。(アウトドア関係の本には「角研ぎ」と混同している例もありますね。鹿の角研ぎを「ヒグマのマーキング」と断定している本もありました)
「樹皮食い」を見るたびに思い浮かぶのは江戸時代の「大飢饉」。松の樹皮で作った餅で飢えを凌いだという話です。でもね、鹿の場合は嫌々食べている訳ではなさそうなんですよ。何故って、溢れるばかりの緑の季節でも、樹皮を好んで食べる個体がいるんですから。ひょっとして薬食い(歯磨き、虫下し、ダイエット)のつもりかも?
おおっ! 水芭蕉の群落やんか!
ブッシュの中を流れる小川を遡行していると白い物が見えました。苦労して川から上がり、藪漕ぎして一段高い場所へ出ると、春の妖精「ミズバショウ」が群生しているではありませんか。何でこんな場所に? 恐らく、岩盤の上に偶然できた天然のプールなのでしょう。何十年(何百年?)掛けて堆積した腐葉土の沼にウグイスの声だけが響いていました。この時点でギョウジャのことは忘却の彼方(爆)。
うわっ! 今度は福寿草の群落!
川の遡行に飽きて斜面を登って行くと、クマザサの樹海がそこだけボソッと抜け落ちたような広場が出現しました。食えそうな山菜にはまだ早く、芽吹いているのは猛毒のトリカブトばかりなので、満開のフクジュソウは目の保養、眼福というヤツです。まあ、フクジュソウも猛毒なんですけどね。あ、ミズバショウも。う〜ん、毒草の花って凄く綺麗なんですよねえ。女性も同じ? 男も? ひえ〜。
トトトト、ポテポテ……ポテ(音)。
フクジュソウを撮影してから5分後、何気なく通り過ぎようとしたした木の根元から何かが転げ出ました。本当に音がしたのです。それほど近かった訳ですね。嬉しくて叫びたいのを我慢して硬直しました。なんと、エゾライチョウの「つがい」が目の前をウロウロしてる! 当たり前のことですが、今は禁猟期。することは決まってますよね。そう、カメラに収めることです。リュックのサイドポケットがこの時ほど憎たらしかったことはありません。リュックを背負ったままカメラを引っこ抜こうとしているうちに、2羽が少しずつ遠ざかっていきます。ベリッ。辛抱たまらずメッシュを引き千切り、光学3倍ズームで乱射、いや乱シャッターしたのが、この写真。上の写真を拡大して何処に鳥がいるのか分からない人は、下の写真をクリックしてください。こちらはデジタル7.5倍(シャープネス加工済)。右がオス、左がメス。重量感があってウマソ〜っす。え? 不謹慎? いやあ、私の場合、動機は純粋な食欲ですから。
これがホンマモンのスローライフだ!
いや、別に威張る必要ないんですけど、私はエゾライチョウの焼鳥を美味しく食べたいが為に、無農薬で「白ネギ」を栽培するところから拘っています。この写真は、我が家の畑のうちで最も小さいキッチンガーデンです。オカン(関西弁で御袋のこと)が思いつくままに、各種野菜、ハーブを植えているので、一言で言えば「無節操」。
無節操な畑でも、こんなに立派な「白ネギ」が作れるようになりました。試行錯誤で何回も(何年も)失敗しましたが、今はご覧の通り。さあ、エゾライチョウの焼鳥を食うぞ! と思ったら、今度はお肉のほうが入手難に(泣)。
で、コンテナ1杯の自慢の白ネギは、「鴨ネギ」とか「鹿ネギ」とかで美味しく大量消費しております。本来の目的とはズレが生じましたが、今年こそはお久しぶりのエゾライチョウと行きたいところですね。
という訳で、このネタは、とぅ・びぃ・こんてぃにゅ〜。
今秋を請うご期待!