田舎で暮らしていると、狩猟や駆除出動で、日常的に、沢山お肉が手に入ります。ホルモン、焼肉、ステーキ、シチュー、鍋物などで、ありがたく頂戴するに留まらず、新たなレシピの開発にも取り組んでいます。
最近、力を入れているのは、いわゆる「シャルキュトリー」。豚肉で作るフランスのオカズやオツマミのようなもの。それを「エゾシカ肉」で置き換えてみる。使う肉をチェンジするだけでは芸がありません。オリジナルを「分解」して「改造」するのが楽しいのです。職業病丸出しで「量産化」と「省力化」に励むうちに、調味も調理もオリジナルからドンドン乖離して、今までこの世に存在しなかった食い物が生まれ、考案した本人がビックラこいて「ウマッ!」を連発。
今宵も妖しげな魔味テンコモリの「自家製でっちあげフ〜ド」が、またひとつ・・・・・・・完成(笑)
正直言って、私は罠が好きではありません。しかし、免許と捕獲技術の有無は信条と無関係。以前は甲種として一括りだったのが「罠」と「網」に免許が割られた際に、「網」だけ維持しようかとも思ったのですが、なんだか癪なので、「罠」のほうも手放さずにおきました。甲種を取得してから既に四半世紀。いずれ本格的に手を染めねばならないときが来るかもしれないだろうから・・・・・と。
で・・・・・・・・ついに、そのときが来てしまいました。因みに私の狩猟者登録証は平成21年度から連続で十勝管内「第1号」。罠を登録する人が如何に少ないか分かるでしょう? だって・・・・・・仕掛けて、翌朝ゲット! 仕掛けて、翌朝ゲット! 仕掛けて・・・・・・ウギャア〜! まるっきり仕事でんがな。猟野に罠が設置してある以上、1日たりとも休むわけにはいきません。完全に趣味の範疇を逸脱しちょります。(写真は2010年12月初旬にMy領土内で捕獲。留矢は870)
空中ブランコではありません。ホイストで目一杯に吊り上げています。今回の獲物は昨年生まれのエゾシカ1歳♂。いわゆるひとつの食べ頃っちゅうやつですね。当歳仔は四つ足なのに鳥肉の味わいを兼ね備えますが、1歳の若鹿はラムのような肉色で、これまた素晴らしい。たとえ罠で獲った個体であっても、エエお肉が手に入ると心の底からありがたくて、舞い踊りたくなります。
お肉のストックが十分できたので、新作「オツマミ」の開発に着手!
量産化と省力化、及び、再現性と安定性のためには記録が必須。抜群に旨いのが出来ても2度と同じ味が出せなければ泣きが入ります。塩やスパイスの分量は都度計量して、レシピを毎回キッチリ残すべし。たとえ初回失敗しても、データを元に修正すれば、次回にはバッチリ!?
どないでっか? まるっきり、ラム肉の色でっしゃろ?
これは上の写真の鹿のウデ肉1頭分を一口サイズにブツ切りした生肉で、目方は都合2.5キロ。脂は除去しますが、スジはそのまま。だって、旨いから。はあ? ナニ? 文句ある?
ステンレスの鍋に入れたウデ肉に調味料を揉み込みます。各家庭に好みの味加減があると思いますが、我が家の場合、このレシピの塩分量はお肉の1.6wt%。つまり、40グラムの食塩を使って酒肴向き(濃い目)に仕上げています。トライする人はご参考にどうぞ。スパイスについては、お好みで。ただし、専門書の類まんまだと必ず絶望的に薬臭くなるので、スパイスはヨーわからんという人は、ペッパーとガーリックだけで少量試作から始めると無難というか、安全です。
副材料は、白ワイン1本、ラード適宜。食料庫に前世紀末のコンチャイトロ(シャルドネ)が転がっていたので、在庫処分しました。後学のためにチリ産の白を10年以上寝かせたらどうなるか実験中のブツだったんですが、デザートワインやあるまいし、やっぱり、フレッシュなうちに飲まなあきませんなあ(反省)
鍋1個で進行できれば、洗い物で余計な時間と資源を浪費せず済みます。お肉を掻き分けてラードを1本(200グラム)ニュニュニュ、ニュ〜! そのまま弱火でラードを融かしながら、焼き色が付くまでお肉を丁寧に炒めます。
頃合を見計らって、鍋に白のフルボトルを1本、ウリャウリャウリャ〜と、ブチ込みます。使うのは絶対に辛口でないとダメですよ。ついでに言うと、ブドウの品種にも注意したほうが宜しいです。マスカット系はペケ。シャルドネなら最高。あいにく白ワインが無いねん、泡しか無いねん、という場合もご同様。辛口(ブリュット、セッコ)でいっとくんなはれ。ただし、突沸するので、泡を代用する時は少しずつでっせ!
「何故か手が滑って、グラスに1杯分、残ってしまった(笑)」ので、蓋して弱火で小1時間煮る間、滅多に機会の無い13年物の古酒(自爆)をチビチビ飲ります。因みにお味のほうは、飲めないほど不味くはないけれど、お代わりは遠慮したいという代物。仏産の安赤をうっかり5年置いてしまった場合より遥かに耐久性があって仰天するというオマケが付きましたけれど、なんちゅうか、まあ、あんまり意味のない実験でしたけどね。
蓋を取って、弱火でジックリと煮ます。途中、ラードを1本追加して液面を調整しました。最初白濁していた煮汁が徐々に澄み、やがて写真のように鍋底が黄金色に輝けばOK。
仕上げは「カレー粉」! 手に入るものを使えば宜しいです。分量は好みで加減しておくれやす。本当は英国ブレンドの某銘柄が好みなんですが、現在どこにも売っていないので、近所のお店に並んでいるエスビーの赤缶に頑張ってもらっとります。
※カレー粉を使わずに、この時点で調理終了すれば、鹿肉版「リヨンもどき」となります。人それぞれ好みがありますので、先ず、カレー粉抜きで味見してみては如何? ワイン党なら、是非!
カレー粉を適量まぶしてから、ざっと炒めて火を止めます。蓋をして、そのまま5日ほど寝かした後で、再度加熱して、若干ほぐすように仕上げます。これ、大事なコツね。
鍋を傾け、木ベラで余分な脂を絞り、冷凍できるタッパーウエアにギュウギュウ詰め。え? 誰ですか? 釘煮みたいや・・・・・とか、言うてる人は(笑)
名付けて、「グビグビ四号」!
フレンチの「シャルキュトリー」を下敷きに、私ら日本人の嗜好に合う晩酌の友をデッチ上げてみました。使い物になるオリジナルの酒肴レシピの4つ目ということで、和風(?)のネーミングにしてみました。
ご注意! 近江屋オリジナル/鹿肉おつまみ「グビグビ四号」は旨いです。自分で作っておいて言うのもなんですが、はなっから酒の肴として酒飲み本人が拵えたレシピですから、酒が旨くて旨くて、ブレーキが利かなくなります。というか、ブレーキを踏むことを忘れてしまいます。何しろ、ご機嫌なオツマミが「鍋一杯ドッサリ」あるわけですから、在庫減らしをせにゃあ〜てなもんで、連日連夜、グイグイ、グビグビ、止め処なし。
で・・・・・・・・それまで正常だった中性脂肪値が急上昇して、ドクターストップがマジ掛かりました。旨いけれど、非常に危ないレシピです。いっぺん作ってみようかという人は、くれぐれも食べすぎ(そして、飲みすぎ)に御用心くださいませ。本州、四国、九州、沖縄の酒飲みの皆さんは、鹿肉→猪肉に置き換えてもOK。その場合は、肉を炒めているうちに脂が出るので、ラードは少量からで十分です。くどいようですが、多食は禁物。できれば、タナ種(マディランが好き)やマルベック種(カオールが有名だけど、新世界から良品続々、大喜び!)などで作られたポリフェノールいっぱいの濃い赤と一緒にどうぞ。
上手に作るとカッチリ固まります。「パテ」や「テリーヌ」みたいに切断面が美しい。今回は、菜園で自家栽培したジャガイモ「花標津」と「さやあかね」で作ったポテチ(塩)とポテトフライ(七味)を付け合せにしてみました。ギンギンに冷やしたサッポロ黒生をゴキュ! 赤や泡、スコッチとも合います・・・・というか、無理矢理、合わせます(爆)
勿論、御飯のオカズにも!
タッパーに詰めたら、冷蔵庫で冷やし固めます。1個だけ残して、後は全て冷凍保存。(今回は夜ベランダに放り出して凍らせました) 塩と脂とお肉とスパイス・・・・・こういう濃い食い物を常食して平気なのは、血管に赤ワインが流れているフランス人だけやろーね。