イワナの骨酒(飲み過ぎに注意)

「こつしゅ」「ほねざけ」一体どう読むのが正しいのでしょうか? 我が家では「骨酒 = こつざけ」と呼び習わしておりますが、まあ、旨けりゃどうでもエエという意見もあります。ただ、イワナいうヤツは地域的な変異が大きく、北海道には降悔型の「アメマス」が遡上したものを「エゾイワナ」と呼ぶところもあるので、正確な分類は難しかったりします。本州には「ゴギ」という亜種(?)もおりますね。
で、味覚的にどうかといえば、差はないような気がします。脂の乗り具合や太り具合は時期とその河川の餌の量で決まるものでしょうから、個人的には地元の釣り師が見向きしない「アメマス」を好んで食べています。学生時代、近畿の比良山系でアマゴは良く釣りましたが、憧れのイワナは先ず生息しておりませんでした。しかし、それが今、フナと同じ「そこら辺の魚」。地元の連中は、ヤマベ(標準和名は「ヤマメ」)や「ニジマス」を狙いますから、イワナ、アメマスは良く釣れます。畑のミミズを2〜3匹ほじくって川へ行くと、5〜6尾のアメマスをぶら下げて帰ることができて、なんか、わらしべ長者みたいな話ですが、全然釣れない時もあるから釣りは面白いですね。「イワナの骨酒」は炭火焼きを味わった後の締めくくり。こればかりは、その土地で暮らす者だけに許された「天恵」の最右翼と言えるでしょう。

七輪で炭を熾します。最近はアウトドアブームで安い木炭がジャンジャン輸入されていますが、我が家では使いません。地元産のミズナラやカシワの炭を使います。いずれは、自分で炭焼きまでこなそうと考えております。いつになることやら……。

熾きた炭を「刳り貫きコンロ」に移します。赤々と心安らぐ色でんな。

今回の材料は5尾。保存食を作るとき以外は、その日に食べ切れる分しか釣りません。それが自分に課したルール。

コンロの準備が整うまでの間、七輪の残り火で餅を焼きます。これがまた旨いんですよ。

左のケッタイなチョッポリは、自家製ニンニクの丸焼き。余興の余興といったところ。正月でもないのに、我が家は頻繁に餅を焼いて食います。ただでさえ、十勝は季節感の薄いところなのに、自分で輪を掛ける始末。

やっぱり魚にはニガリの入った海の塩が一番ですな。昔は、ヨーロッパ産の岩塩を愛用しておりましたが、塩が専売から外れて良い時代になりました。最近は、銘柄が多くなりすぎて選ぶのも一苦労。毎回、違うのを買って楽しんでいます。

コンガリと旨そうでしょ? 実際、メチャウマ。なにしろ鮮度が違う。朝、野ジメしてすぐにハラを出して、昼飯BBQに並ぶんですから。しかも、北海道の水道は真夏でも冷蔵庫で冷やしたように低温なので、食品の下拵えには最高です。まあ、その反面、真夏でもボイラーを入れなければシャワーで心臓麻痺を起こしそうになりますがね。

ちょっとコンガリすぎると思った貴方、それは違います。これでエエのです。え? 焦げた魚はガンになる? ハッハッハ、アンチオキシダントのサプリメンテーションやってまんがな。一番小さなイワナを1尾だけ残して、他のはその場で骨も残さずムシャムシャムシャ。心の底から旨いと思います。

直後、いきなり今晩のオカズ登場! これは、雄の秋味の切り身。北海道では「鮭」と言っても通じません。「秋味 = あきあじ」です。
時期的にまだ早かったので身の色が綺麗ですね。

大振りのコップに最後のイワナを放り込んで、いよいよクライマックスです。骨酒に向くのが、このサイズ。いや、コップでなくて、イワナの大きさのことです。東北地方には、大型のイワナ用の骨酒専用の器があるとか。まあ、大雑把な私たちは、こんなんでやってます。

鹿のお肉(モモ1本13キロ)を差し上げた近所の人から「丹頂・千歳鶴」を2本もお返しにもらったので、つい興奮して封を切り、熱燗にして、ウリャ、ウリャ、ウリャアアアアと、惜しげもなく注ぎます。

イワナのエキスが溶け出て、比喩でもなんでもなく、本当に黄金色に酒が染まります。尾鰭の先っちょなんかも、美味しそうですね。骨酒に使うイワナは、少しきつめに塩をするのが私共の好みです。
注意 → 塩を全く使わず焼いたほうが骨酒は旨いと言う人も多いです。お好きな方法で楽しんでください。ルール無用!(ホントに?)

イワナをスプーンで押してエキスを出しながら、熱燗を注ぎ足して楽しみます。その後、ダシの出てしまったイワナもパクリ。これが、私たちの流儀です。本当はドンブリ酒でヘロヘロになりたいところですが、稼業が稼業なもんで、自粛しております(号泣)。