【あたしの気持ち あんたの想い】



「これっとちゃ〜ん♪」
そういってあんたは笑う。
何事も無かったように。
あたしの気持ちも考えないで。

あれはどの位前だろう。
あたしはあんたを愛し、あんたもあたしを愛してくれた。
でも結局、あたしたちは別れちゃったわけで。

偶然仲間になって、一緒に居るっていうのに
あんたはあたしにも同じように笑いかける。
そう。
何事も無かったように。
あたしとの過去なんてまるで、無かったかのように。

「ぉ〜ぃ。しーなぁ??」
「・・・・・!!!」
「何考えこんでんのよぉ。俺様が呼んでもしらんふりでさ。」
「べ・・別になんでもないよ。」
「ふ〜ん・・・・・・・・・・。」

そういって疑り深い目を向ける。昔から変わらない。

「なんでもないったら!!!」

あたしとしたことが、大声を出してしまった。
一瞬あんたは驚いたような顔をした。でもどうしたらいいのかわからない。
あたしはその場を走り去ってしまった。

あたしがロイド達と別れて、ミズホに神子暗殺失敗の報告に行っている間に
あいつ・・・・ゼロスが仲間になったらしく。
再びロイドたちに合流した時あたしは、どうしたら良いのか分からなかった。
ゼロスと別れてから、まともに一緒の時間を過ごした記憶が無い。
それなのに、こんな突然、そのときが来るなんて。
どんなカオして会えばいいのさ。


「ばか・・・・バカゼロス・・・バカ神子。」


言葉を並べてもおさまらない気持ち。
あんたは、あたしとの過去を忘れてしまえるほど、強いのかい?
それとも、あたしとの過去なんて、忘れるに値するほどのことだったのかな。
別れてもうだいぶ経つのに、あたしまだこんなに引きづってる・・・。

「バカゼロスーーーーー!!!!!」

おもいきり大きな声で叫んだ。
誰かに聞こえるかどうかなんてどうでもよかった。
で、それは一番聞かれたくない人に聞かれたわけで。

「俺様バカなんて言われるようなこと、まだしてねーぜぇ?」
「ぜ・・ぜろ・・・ゼロス!!!」

背後には苦笑した張本人が立っていた。

「・・・・・何の用さ」
「べっつに〜」
「じゃ、皆のとこにいけばいいじゃないか」
「そだな〜。早く戻らないと、ハニー達がさみし〜い思いをするからなぁ〜。」

まただ。ハニーハニーハニーハニー。
ゼロスにとってあたしは、コレットやリフィルやプレセアとおなじ。
もっといえば、ロイドやジーニアスやリーガルのように仲間なのかも。
女性としても・・・見られていないのかもしれない。

「でも、俺様としては〜。しいなの『バカゼロス』の意味をきかねーと帰れないわけでぇ〜。」

言えるわけ、ないじゃないか。
『あんたはあたしと別れたこと、忘れちまったのかい?』なんて。
そんなこと、言えるわけないじゃないか。

「な〜な〜。ど〜して俺様、バカなわけぇ?」
「そーやってチャラチャラしてるからだよ」
「チャラチャラ?俺様、誰に対しても真剣よ?」
「それがチャラチャラっていうんだよ!!」
「もちろん、しいなに対しても・・・な」

言葉が返せない。
どうしたらいい?
こんなこと、あっけらかんと言い放つこいつに怒りが込み上げる。
そして力任せにおもいっきり頭を殴った。

「バカゼロス!!!!」
「〜っいってぇ・・なぐるこた〜ね〜だろうよ」
「ばか!!バカゼロス!!ばか神子!!バカバカバカ・・・・・」

気の済むまで殴ってやろうと思った。
背が足りなくて頭は連発で殴れなくて。
それでもゼロスの胸のあたりを殴りつづけて・・・。

なのにこいつ、止めないんだよ。
あたしに黙って殴られてるんだ。
その姿が余計に腹立だしくて。
殴ることもつかれてしまった。

「気が済んだか?泣き虫しいなちゃんよ」

気がつくと涙が出ていた。
どうしたら良いかわからない。
なんで泣いているかもわからない。
全部、こいつのせいだ。
このバカのせいだ・・・・。そーやって自分に言い聞かせて。

「・・・・そんなに俺様の顔見るの、辛かったか?」

不意に耳に聞こえた言葉。
驚いて顔を上げると今にも泣きそうなゼロスが居た。

「こんな奴の顔、見たくなかったもんなぁ。しいなは。」

ちがうよ。見たくなかったんじゃない。

「最初からおまえが、俺様とどう接すりゃいいか悩んでた事くらい気付いてたけどよ」

気付いてた・・?こいつ、あたしが悩んでたこと、気付いてたんだ。

「悪ぃな。こんな所までおせっかいしにきて」

そう言って背を向ける。
違うんだ。迷惑なんかじゃない。
あたしは・・・。

「・・・・・ゼロスっ!!」

あたしはとっさにゼロスの髪を引っ張った。

「ぬあ!!いてっ!首!首がゴキッて!しいな!」

引き止められたゼロスはわめいていたけど・・・
けど・・・・・

「・・・・しいな?」

あたしはゼロスに抱きついた。

「ちがう・・・・あたしは、どうしていいかわからなかったんだ」

棒立ちのゼロスがやけにおかしい。

「あたしはあんたが嫌いだから、あんたの顔見れなかったんじゃない。」
「俺様がスキだから・・・だろ?」

見上げるとニカッと笑うゼロス。
あたしは抱きついたことに気付いて突き飛ばす形で離れる。

「俺様だって、別れた女とふつ〜に笑いあえって言われたってできね〜し。けっこ〜無理してたんだぜ?」

そう言うゼロスの視線があたしの視線と交差した。

「それにしいなは、俺様のスペシャルハニーだからよ」
「スペシャルハニー?」
「今までで一番の女って事」
「ーっ!!いやらしい言い方すんじゃないよ!!」
「一番の女をキズつけた罪は重いってことよ」
「・・・・・ゼロス」
「はいはい。泣き虫しいなちゃん。気分は落ち着きましたか?」
「バカにしてんのかい?」
「あぁ。しいなも俺様のこと、散々バカバカ言ってくれたしなぁ」
「あれは・・・」
「デヒャヒャヒャ」

辛かったのは、あたしだけじゃなかったんだ。
そう気付いたら、何だかちょっと楽になった。

「なぁ。ゼロス」
「あ?」
「その・・あ・・・・あたしはコレットやプレセアやリフィルのように・・・」
「なははは。女として扱われてるかって?」
「いやっ・・だからさ・・・」
「あつかってね〜よ」
「!!このっ!」
「だってしいなは女じゃなくて、スペシャルハニーだからな」
「へ?」
「特別って事」
「バカ!!!!」
「のわっ!」

スペシャルハニーか。
悪い気はしないね〜なんて、笑って言える日がもしも来たら・・
その時こそあたしは
後悔しないようにしよう。

いまはこうして
あんたとバカな事してる
この時間が心地良いから。
やっとそう・・・思えたから。



−−−バカゼロス。でも



あたしもバカしいなだね。





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真輝さまより頂きましたゼロしい小説Vv
真輝様いつもいつもありがとうございます!
スペシャルハニーかあ・・・♪

「バカ」と言い合えるゼロしいが好きです。
次回作、期待しております。ぐふふ。(笑)

◇ 砂 ◇