【造花】
俺に似合う花はバラ。
昔から贈られる花はそればかりだったし、屋敷にも当然のようにあった。
だから当然俺に似合う花は赤いバラだと、そう思っていた。
「あんたは、チューリップだね。」
しいなは無邪気に笑って言った。
以外だ。
この俺がチューリップとは。。。。
「なんで俺様のような華やかで美しく気高い紳士がちゅーりっぷなのよ?」
すこしふてくされた様子で聞いてみる。
「何でって・・・あたしは最初からあんたは絶対チューリップだと思ってたよ。」
「俺様ってバラが似合うってよく言われるんだぜ?」
「あんたにあんな気取った花は実は似合わないんだよ。なんてったって中身はこれだ
しね」
「これってなによ?」
「甘えん坊で、強がりで、少しの衝撃で実は花びらが根元から落ちちゃうように儚げ
でさ。」
「かー・・・俺様そんなにか弱いイメージなのかねぇ」
「あ・・あたしが良く見るあんたの表情は、そんな感じだよ。」
気高い貴族の神子様は、花も気品ある華やかなバラがお似合いですよ。
そう、言われてきた。
神子である俺。
貴族である俺。
メルトキオ城の前の庭園にもたくさんのバラが咲いていて、その中には俺に例えたバラが存在するくらいなのに。
「・・・ちゅーりっぷねぇ」
「あんたがバラなんて、実は造花なんじゃないのかい?」
「バラが似合う俺様は作り物・・・・か」
「え?」
「いや、チューリップも悪くないなって話。さすがしいな。俺様のスウィートハニー
なだけあって、俺様のこと良く見てるのね〜」
「別にみてなんか・・・」
「・・・ほんと。嫌なとこも見てるよな・・・」
俺の弱さ、しいなは見ていた。
感じていた。
――――まいったなぁ。こいつには。
「しいなはさしずめ桔梗ってとこかね〜」
「桔梗かぁ。ま、花なんてがらじゃないけどね。」
「いや、そんなことねーよ」
小さくつぶやいて空を見る。
赤く染まった空に自分が解けてしまうような気持ちになった。
「・・・・・ゼロ・・」
「しいなぁ。腹へらね?俺様もうぺこぺこよ〜?」
「は?」
「しいなちゃんの手料理、早く食べさせてくれよぉ〜」
「残念だったね。今日の食事当番はリフィルだよ」
「え・・・・・なんでそれを許可すんのよ」
「仕方無いだろう?勉強したいって言うんだから」
遠くから仲間の呼ぶ声が聞こえる。
「ゼロスー、しいなー、めしだってよーぉ・・・・」
「行くか」
俺がそっと握った手をしいなは振り解かなかった。
こいつは今、俺から何を感じているんだろう。
花びらが落ちる様子か・・・。
裏切る俺様を予想しているんだろうか・・。
バラがチューリップになるこの瞬間も
もう長くはなさそうだ。
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真輝さまよりゼロス死亡ルート前提小説を頂きました!
…チューリップか、そうきたかしいな。
しいなからチューリップの花が出てくるとは予想外でした。
真輝、やるなお主(笑)
気づいて欲しくない一面に、気づいてしまう「しいな」という存在。
死亡ルートのゼロス君には、かなり痛い存在ですよね。
やっぱゼロス君死んじゃだめだああああ!
というわけでおはなさん、次は生存ルートでラブいゼロしい期待!
↑催促ともいう。
いやしかし、毎度、ほんとありがとうございます。
◇ 砂 ◇