【夜の街】





「マグロの頭は栄養があるにゃ!」
「マグロは頭がでかいにゃ!」
「まぐろのグミが新発売だにゃ!」





アルタミラの劇場は相変わらず意味不明なお話が公演され、
見に来たお客に溜息をつかせている。
そんな状態を放置しているレザレノも問題だが、
そんな意味不明な公演に
感慨深くうなずく会長も大問題である。



「まったく…この劇場も相変わらずつまんないねぇ……」
席に座る気すらなかったしいなは、溜息交じりの静かな会場でぽそっとつぶやく。
「進歩ってものを知らないのかい?レザレノグループは…」
「まぁ…
会長がご満悦なようだからなぁ」
少し距離を置いて隣に立っていたゼロスも呆れ果てて手をヒラヒラする。





「ねこにん一族はまぐろと話すことを日課としてるのにゃ!」





そんな台詞が大きな声で会場に響いた時、
しいなとゼロスの間を一人の男が通り過ぎる。
何気なく避けたしいなとは逆にゼロスは男の前に立ちはだかった。




「あんた何やって…」
しいなは言いかけて言葉を飲み込む。
ゼロスの瞳が黙れと訴えたのだ。
そのまま男の胸倉を左手でつかみ、右手でしいなの腰を抱え、早足で歩き出す。




「ちょ!スケベ!」
腰の手を解こうと身をよじるしいなに
「少しは大人しくしろって!」
といいながら腰を抱く腕に力を込める。
ぽかぽか殴られながらも歩き続けカジノの影まで移動したところでやっと腰を開放されたしいなが
「なんだってんだい!」
と声を張り上げるのをおかまいなしにゼロスは男の背中を壁にたたき付けた。







「さぁて。どういうつもりか説明して貰おうかぁ。」
何がおきたかわからず呆気にとられるしいなにゼロスはオーバー気味に大きな溜息。
「おんまぇなぁ。帯締めろよ」
「はぁ?」
言われるがままに帯に触れるといつもの可愛いリボンが跡形もなく消えていた。
「なっ////」
「おせえっつーの」



男の襟元の手に力を込める。
「大方、しいなの豊満なボデーに引かれちゃったんだろうけど?
すれ違いざまに帯ほどくたぁやってくれるじゃねーの。」

いつものにやけた感じとは違い、少し低めのトーンで男に威圧感をあたえるゼロス。
こんな状態でありながらも、そんなゼロスにときめいてしまうしいな。
「……あいにく、俺様はしいなの体を観衆にさらして喜ぶような趣味はないのよ」
わりぃねぇ…と小さく囁き、ゼロスは男の横っ面に一発拳をいれる。




「ちょ!あんた!やりすぎ!」
しいながゼロスの腕をつかむ。
「…訳わかんねー芝居みて虫の居所がわりーのよ」
「そ!そんなの八つ当たりじゃないか!」
「へぇ…じゃしいなはそのまま帯が落ちるまで解かれちゃう方が趣味だった?
しいなにそんな趣味があったとはなぁ〜。俺様びっくり」
「馬鹿!そんなんじゃ…」

何かいいたそうに身を起こした男にゼロスが冷ややかな視線を向ける。
「痴漢は犯罪だ。本当なら牢獄行きの所を『未遂』だから拳一発で許してやろうっていう
俺様のやさしい心遣いに感謝しろよ?」


その言葉を聞いてか聞かずか、男はゼロスに飛び掛る。
しかしゼロスはそんな男を軽くかわす。
「俺様にこんなことしちゃって・・・せっかく情けをかけてやったのに。これじゃ、牢獄いきだな」


ふとしいなも感じ取った男からの殺気。
「あんた・・・」
「やっちゃってるみたいねぇ。薬。」



厄介ごとに巻き込まれたとばかりに両手を軽く挙げるしぐさをする。
「どうりでこっちの声が届かないわけだ。」
男の矛先は自分を殴りつけたゼロスだけではなく、もちろんしいなにも向けられているわけで。



「馬鹿!くんな!すけべ!」
と罵声を浴びせるしいなにゆっくりとにじり寄る。
もちろんゼロスがそんなことを放置することもなく、
「ったく・・・」
と男を蹴り飛ばす。
いくら薬を使っているとはいえ、エクスフィアを装備した戦いなれているゼロスに蹴り飛ばされて
男はいとも簡単にその場に崩れた。



その騒ぎに警備が走ってくる音が聞こえる。
「しいな、こっち」
「え?・・・きゃぁ!」
しいなを肩まで抱え上げ、ゼロスは人目につかない場所へ隠れる。
そっとしいなをおろすと、大きな声で文句を言いそうなしいなの唇に一本指を押し当てた。


「帯、落ちてるから結べってば。」
自分の状態をすっかり忘れていたしいなが一気に顔を赤らめ、あわてて帯に手をかける。
「まぁ俺様はそのままでも大歓迎だけどな。」
うひゃひゃと笑っていつもの調子に戻るゼロスに
「・・・アリガト・・・」
小さくお礼を告げる。



いつもの可愛いリボンが出来上がったところで
「みんな心配してるから戻るか」
と背を向けたゼロスにしいなは
「あ・・・」
と声を漏らす。


「なに?帰りたくないとか可愛いこと言ってくれちゃうわけ?」
ゼロスが軽く振り返ると
「・・・・・ズボンおしり裂けてる・・・」
と目をそらすしいながいた。


「まぢ?あー、けったときかぁ?」
切れてる箇所を確認しようと自分のズボンを引っ張るゼロスに
「ばか!余計切れちまうよ」と声をかけ、
ゼロスの横に並ぶしいな。


「??」
ゼロスが不思議そうにしていると、しいなは自分の帯の端をゼロスに手渡した。
「ホテルまでそれで隠しておきな。帰ったら直してやるからさ」
「なになに?しいなちゃんが縫ってくれんの?」
「あんたに貸しを作りたくないだけだよ!」
「・・・ま、それでもいーや」


そういって再びしいなの腰を抱いて自分のほうに引き寄せる。
「なにすんだい!」
離れようとするしいなに
「くっつかねーとまた帯が解けちまうでしょーよ。」
と当たり前のことを言う。
「・・・・今だけだからね・・・」
「へいへい・・・。」



もちろんこのあと、仲間の元に戻ったしいなが
誤解を招かないように状況説明し、
ゼロスのパンツを指差して笑うジーニアスとロイドの姿に
ゼロスがショボーンとすることになる。





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ゼロスのパンツはキティちゃんで!(By真輝様)
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うほほ!真輝様と小説とりかえっこしてしまいましたよ!
テーマは「痴漢にあったしいなをかっこよく助けるゼロス」!←なんじゃそりゃ。
「ゼロスってそういうときはきっとまじめでかっこいいよ!なんて盛り上がってたら
生まれた企画。
しかしよくねこにんの芝居内容思いついたな…。←そこか。
でも、まじしいなを抱えるゼロスがかっこいいのと、帯ほどかれても鈍感なしいなが可愛い♪
真輝様いつもありがとう!これからもいろいろよろしくな!

◇ 砂 ◇