【魔法.3】
どれくらいそうしていただろうか。
「・・・落ち着いたか?」
その問いかけに小さくしいなは頷いた。
そっとゼロスの胸に手を置き、ゆっくりと離れる。
「─・・・ごめん、ゼロス」
「ごめんじゃねーだろ?」
告げられた言葉に首を傾げるしいな。
その目元を拭ってやりながら、ゼロスは笑った。
「"ありがとう"だ。おまえもコレットちゃんの謝り癖、うつっちまったか?」
しいなは顔を真っ赤に染めてうつむく。
「あ、あ・・・ありがとう。」
「ん〜♪どういたしまして。」
おどけてウインクをするゼロスにつられて、しいなも少し笑った。
久しぶりに見たしいなの笑顔。
ゼロスは確信した。
もう、大丈夫だと。
「・・・さて、デート再開っ!」
「!えっ・・・ちょ・・・っ」
急に腕を引かれて、ヒールを履いているしいなは転びそうになる。
「・・・っとその前に♪」
更に急にぐるっと方向を戻されて、不覚にもしがみつくような体勢になってしまった。
「きゃっ・・・!」
小さく悲鳴をあげるしいな。
そのしいなをしっかりと受け止めてゼロスが嬉しそうに声をあげて笑った。
「俺様の胸を貸したお礼♪してね♪」
「え?」
状況がつかめず動揺している一瞬の隙。
ぐいっと顔を上に向けられる。
その先にはゼロスのさっきと同じ優しい顔。
そのまま急に暗くなる視界。
唇に何かが押し当てられた。
「─!」
─・・・キス、されてる?
そう認識するまでに結構時間がかかってしまった。
突然のことに思わずきつく目を閉じてしまう。
唇は、するときとは逆にゆっくりと離れていった。
「・・・しいな。」
名を優しく耳元で囁かれてそのまま頬と額にも口づけられた。
その感触にぴくんと反応する体。
「・・・っ」
「・・・ん〜・・・色っぽいの。」
にんまりと笑ったゼロスの顔。
満足そうなその笑みに、しいなはやっと我に返る。
「ゼ、ゼロスっ!な、な、なにしてんのさっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るしいな。
「何って・・・お礼してもらったの♪」
「そんな・・・勝手に・・・っ!」
「ん〜?嫌だった?なら抵抗すればいいのに〜♪」
「・・・そ、それは・・・っ」
最もなことを言われて、返す言葉がなくなる。
「それに・・・俺様、結構本気だったんだけどな。」
「・・・え?」
予想もしなかった突然の爆弾発言に、しいなは不覚にも耳まで赤くなってしまった。
「・・・しいな、今日は随分と可愛いなぁ♪」
「・・・っ冗談はよしとくれよ・・・」
するりと頬を滑る、ゼロスの長い指。
それ以上どう返していいかわからず、しいなは俯いた。
「・・・冗談、か。そうでもねえんだけどな。」
くすりとゼロスが笑う。
「ほら。」
差し伸べられた、手。
─・・・そんな期待もたせるようなことばっかりして。
ゼロスの手に、自分の手をそっと重ねる。
─ほんとに・・・期待しちゃうじゃないか、馬鹿。
「ゼロス・・・」
「ん?」
─少し、期待しても・・・いいのかな。
「デートするからには・・・ちゃんと満足させてくれるんだろうね?」
自然笑顔がこぼれた。
泣きはらした赤い目だったけれど。
「・・・ああ。任せときな、お姫様♪」
そういって笑ったゼロスの腕に、しいなは自分から腕を絡めてみた。
「じゃあ、あたしお酒飲んでみたい。」
「え?お前飲んだことないの?」
「当たり前だろ?まだ未成年なんだから。もちろん、ゼロスの奢りでね。」
「え?俺様の?」
「あんたがデート誘ったんだろ?『姫』の言うことが聞けないってのかい?」
「はいはい・・・。了解しました〜。」
ちょっとした魔法にかかってしまったから。
今日は・・・ほんの少しだけ。
自分の気持ちに素直になってみよう。
・・・ありがとう、ゼロス。
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終わりました・・・。(汗
砂吐き袋足りましたでしょうか。は・・・反応が怖い。(滝汗
初めて書いた作品がこんなに長文で甘々でよかったのか。自分。
もう半年くらい前の作品を何度も手直ししましてこのような形に・・・。
ちゅーさせてるし。(--;)
強がりで泣かないしいなをゼロスに泣かして欲しかったが為に出来上がった小説だったり(オイ
なぜしいながオーダーメイドのドレスを着させられたか。
これには作者の野望が・・・。
詳細は、祝☆初under作品にて・・・。
◇ 砂 ◇