【夏祭り.1】






あげられた黒髪と、首筋が色っぽい。
覗く、細くて白い足に胸が高鳴って。

…普段と違って妙に女らしい姿にも戸惑って。

いつも押さえてきた想いをコントロールできなくなる、…そんな予感がしてた。









日が暮れはじめ、暗闇があたりを包みはじめると、ひとつ、またひとつと灯りが増えていった。
木に吊された「提灯」ってやつに灯りが灯ったのだ。


「これは「祭」っていってな、作物の収穫が多かった年や、お祝い事があったとき、
あとは夏とかにやるらしいぜ。最後には花火があがるんだってよ。」
「花火?花火ってなんだ?」
「おいおい…シルヴァラントには花火もないのかよ。」


説明していた俺様にむかって信じられない質問を飛ばしたのはロイド君。
しかもさきほど出店で買った林檎飴を夢中で食べている。


「花火は、夜空にすっげー大きな音を立てて打ち上げられるんだよ。
火薬の入った玉が空で弾けて、火が花みたいに色とりどりの灯りをともすのさ。」
「へぇ〜!なんかおもしろそうだな!」


会話が盛り上がってきた、そのとき。



「ロイド〜!」



明るい声が響いた。
下駄をからからと鳴らして走ってくるのはコレットちゃんだ。


「こらっコレット。あなたはすぐに転ぶのだから歩かなくてはだめよ。」
「夜道に走るのは危険です。歩いたほうが安全だと思います。」


そんなことをいいながらもにこやかなリフィル様とプレセアちゃん。
夏祭りの晴れ着…浴衣に着替えた女性陣の登場である。


「ひょ〜!リフィル様〜っ!クールビューティー!」
「ぷぷ…プレセア!か…可愛いよ!」
「コレット!似合ってるよ!へぇ〜これが晴れ着の浴衣かぁ。温泉のとは全然違うんだな!」



ほんと、うちの女性陣は華やかだなぁ。
コレットちゃんもパステルカラーの浴衣が可愛いし、プレセアちゃんもふわふわした帯が愛らしい。
リフィル様は大人の色香が漂って、美しいし。



しいなはまだきていない。
今着てる最中だろうけど…あいつももうちょっと女らしかったらなぁ…。



「あれ?しいなは?」
「しいなは今自分で着てるよ。あたしたちを先に着付けてくれたから最後になっちゃって。」


あんだけナイスバディーでしかももとはいいんだから、磨けばもっと…。




「おまたせ。」




聞こえた声に振り向く。
からからと下駄が音を立てた。

途端、目に飛び込んできた普段は見えない素足に、俺様は驚きを隠せない。


その肌が驚くほど白かったから。


しかも綺麗に施された化粧が、普段幼い表情を大人に見せている。
黒い髪を上にあげた項が、なんだか…色っぽい。
濃紺の浴衣に、白地に桃色の桜がちりばめられた帯がよくあう。


心なしか、仕草もいつもよりしとやかだった。



正直、絶句。



「うっそ…。」

唖然とする俺様に気付かずに、しいなは恥ずかしそうに「どうかな?」と笑った。

「─…ほう、衣装一つでここまで印象がかわるものとは。」
「しいな、いつもと違うな〜。」
「そりゃそうさ。あたしだって女だからね。着飾るときは気合い、いれるよ。」




どうする?俺様。
マジで鼓動が早い。




しいなが、こんなに綺麗になるなんて。




しいなは狂暴女だから。
まだ未成年だから。

しいなは、「仲間」だから。

そうやって今まで誤魔化してきた自分の本当の気持ちが、一気に熱を持つのがわかった。



「いこうぜ〜!早く金魚すくいってのやりて〜よ!」
「まって〜!あたしもいくっ!」
「ぷ…プレセア!いこうか!」
「はい、ジーニアス。」
「しかし…なかなか趣があっていいな。」
「そうね。ミズホ独自の文化…興味深いわ。」

なんだか…いつのまにかみんな二人ずつペアになって歩きはじめてしまう。

「お…おいっ」

ロイド君はそうじゃないとしても、明らかにリフィル様とリーガルわざとだろっ!
二人きりになったりしたら…それこそどうしたらいいか。


「なにさ…、あたしじゃ…不満だってのかい?」


動揺した俺の態度を悪いほうにとったしいなが、下から拗ねたように見上げてくる。




頼むから、そんな目しないでくれよ。
いつもなら怒鳴って殴るくせに…今日はやけに…可愛い態度しやがって。




いやなわけないだろ。
好きなんだから。




「─!」
「─、いくぞ。俺様がロイド君よりも多く金魚すくってやるよ。」



白い手をそっと握って、歩きだす。
突然のことに驚いて、しいなは提灯の灯りでもわかるくらいに頬を赤く染めた。



「…うん。」



ほら、また。
いつもと違う態度。




嬉しそうに笑った表情は抱き締めてしまいたくなるほど、愛らしかったから。






…普段と違って妙に女らしい姿に戸惑って。
いつも押さえてきた想いをコントロールできなくなる、…そんな予感がしてた。









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久々更新。(謝罪)
更新遅れてすみません。
業務多忙&夏コス作成にいっぱいいっぱいでした(ちょっと言い訳)

夏なので夏らしいものをと思い、祭りネタ。
本当はゼロスにも浴衣を着せたい・・・!

最近疲れてるのでラブラブモードで行きます。
恒例ですが砂吐き袋をご用意ください。

◇ 砂 ◇