【真実】
ねえ、お願い。
嘘だといって。
冗談だといって。
いつものようにふざけた笑い声で。
たった一言。
白い紙が。
赤く染まっていく。
鮮やかな赤。
あんたの髪の色みたいだった。
あんたそのものだと思った。
あんたの命を吸い込んで。
あたしの符が赤く染まっていく。
どうして?
どうしてこんなことしてるの?
違う。
あたしの敵はあんたじゃない。
どうしてあんたを傷つけなきゃならない?
こんなことのために。
あんたを傷つけるために。
あたしは符術を覚えたんじゃない。
傷ついて。
血が流れて。
苦しいはずなのに。
あんたは笑うんだ。
ほんと、ずるいよ。
こんなときばっかり。
穏やかな顔で。
すごく真剣で。
儚げで。
いつもみたいに。
嘘だって。
冗談だって。
下品な声で笑い飛ばしてほしいのに。
「…ゼロス…っ!」
すれ違うようにして倒れこむあんたから、たった一言だけ、あたしに告げられた言葉は。
「悪…かったな、しい…な…─────。」
─、謝罪。
違う。
「バカが…っ」
どうしてわかってくれない?
あたしがほしいのはそんな言葉じゃないのに。
ねえ、お願い。
嘘だといって。
冗談だといって。
いつものようにふざけた笑い声で。
たった一言。
あたしにとっての、『真実』の言葉を……─────────────。
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イラストのゼロしい『符術』小説ver.
しいなにとって、自分が符術を学んだ理由を一番考えさせられるのは、やっぱりゼロス死亡時でしょう。
大切な人を自らの手で傷つけ、大切な人の命を自らの力が奪う、苦しさ。
嘘でも良いから、傍にいるといって欲しかった。
嘘でも良いから死んだりしないといって欲しかった。
そんなしいなの思いです。
◇ 砂 ◇