Super Bad
Terence Trent D'Arby
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■居場所のない孤高なる天才
 当時、ポスト・プリンスと一部では騒がれたテレンス・トレント・ダービーの2作目。なるほど今作もボーカルはもちろん、ギター、パーカッション、ドラム、キーボード、カズーにシタール!まで自在に操り、その多才ぶりを遺憾なく発揮している。
 87年にデビューしたTTDはサム・クックばりの(言い過ぎか?)歌声もさることながら、ルックス、ダンス、ステージパフォーマンスどれをとってもクールで信じられないほどにカッコ良かった。だが、しかし、売れないのだ。デビューアルバム『Introducing The Hardline According To Terence Trent D'arby』がセールス的にはピークであっただろう。あとは凋落の一途・・・。
 なぜに売れないか?巷でよく言われているような(言われてるかな?)ナルシスティックなビッグマウスぶりが災いしたのか?自らをスーパースターになるはずの存在だと公言し、神の伝道者だとのたまい、アルバムタイトルに必ず名前を入れちゃう自己愛者。最初からこういうヤツだとわかっている人にはいいが、これでは

  Super Bad 

自らが新しい聴き手を拒んでいるようなもんである。
 いや、これだけでは売れない理由にはならないであろう。久しぶりにレコードに針を落としてみる。あいたたた、いきなりタイトルの「魚でも肉でもないこの俺様(T.T.D)」宣言!続く1、2曲目を聴けばそれはもう彼独自の世界。ロックでもソウル、ファンクでもない独自の世界観。ここで聴くのをやめればTTDフリークとは言えない。いや、無理にとは言いません。たぶんここでいやになる人が大半でしょう。ついてこれる人だけ先に進みましょう。少しでも興味のある人はぜひどうぞ。T.T.Dの真価が発揮されるのはここからなのだから。

 T.T.Dは死んだ。いや正確に言えば名前が「Sananda Maitreya」(サナンダ・マイトルーヤ)に変わっただけなのだが。彼によれば、夢でこの名前を聞いたらしい。幼虫(T.T.D)から蝶(サナンダ)に変化したという・・・。また一人、ファンが減ろうとしている。

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Terence Trent D'Arby
リリース 1989
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