TLC TLC
CrazySexyCool
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■女の子と女の境界線
 例えば、同窓会で。久しぶりに見るあのこは誰?あんな綺麗な子うちのクラスにいたっけ?とか。例えば元カノに道でバッタリ出くわしちょっとドキって、なぜだか惜しいような寂しいような気持ちになったりとか。例えば普段なにげに一緒に働いてるOLを見て「やっぱ新人よりは色っぺーよな。」とか。全て男目線で恐縮だが、読者諸賢も日常的に経験したことがあると思う。ただの女の子が“女”に変わるその瞬間を。そこには必ずと言っていいほど、新しい男の影が見え隠れしている。

 TLCはT-ボズ(ボーカル)、レフト・アイ(ラップ、作詞)、チリ(ボーカル)の3人からなるガールズグループである。それぞれの頭文字をとって「TLCなのである。当時は「ヒップホップ・ソウル」とかにジャンル分けされていたが今でもそう言うのだろうか?「メアリーJ.ブライジ」などと並んで、今ハヤリの「R&B」の先駆け的存在である。
 デビューアルバム『Ooooooohhh...On The TLC Tip』では良くも悪くもティーン向けの“はっちゃけた”面が目立っている。レコードを買うのにも、何かこっ恥ずかしいような気になったものだ。しかし新人のガーリーグループとしては異例の500万枚を売ったというすごいアルバムでもあるのだ。
 さて2作目がこの『CrazySexyCool』である。今まで通りの“はっちゃけた=Crazy”スタイルを踏襲しても前作はしのげないであろう。そこに「Sexy」と「Cool」をプラスしなければならなかった。女の子から女に変わろうとしたのである。

新しい男(=プロデューサー)の力を得て。
 ベイビー・フェイスをはじめ、バッドボーイレーベルのショーン“パフィ”コムズ、チャッキー・トンプソン、他にもオーガナイズド・ノイズ、ジャーメイン・デュプリ、ダラス・オースティンなど、いま考えてもそうそうたる面々であり、その当時もそれぞれが旬であり、実際、脂ののった“ええ仕事”をしている時期でもあるのだ。
 曲を見ていこう。「A Tribe Called Quest」のファイフのラップで幕を開け、シングルカットされた『Creep』ですんなりこのアルバムに入り込める。ベイビー・フェイスプロデュースの『Diggin' On You』、メロディーがキャッチーです。あ、ちなみにこのビデオの腰使いにとりあえず惚れました。それと何と言ってもオーガナイズド・ノイズの出世作となった『Waterfalls』。はねた感じの印象的なドラムにワウワウギターが絡み、そこにT-ボズのボーカルが乗っかる。しかしこの曲の一番の聴き所は何と言っても、レフト・アイのキューティーラップだ!一目惚れならぬ、一聴惚れというべきか。「結婚して下さい!」と叫ばずにはおれないほどの取り乱しようだ。(意味不明)それほどいいということですよ。さっきの腰使いもあったしね。その他、プリンスが原曲の『If I Was Your Girlfriend』もクール。全体を通して今聴いてみても全く色あせないすばらしいアルバムなのだ!

 結果、アメリカだけで1000万枚売れた。つまりは新しい男(=プロデューサー)に魅力を存分に引き出され、ええ女になって帰ってきたのである。

リリース 1994 Mary J. Blige
おすすめ曲 Waterfalls
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Mary J. Blige / My Life
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