中学生くらいになって色気づいてくると、急に「テレビから流れてくる歌謡曲」以外の音楽に興味を持ったり、学校でならうリコーダーもろくに吹けないくせに、ギターを弾きたくなったりするものである。今でもそうなのかどうかはわからないが、僕らの世代はそうだった。ような気がする。
まさに僕もそんな中学生のひとりで、親に頼み込んでステレオを買ってもらった。(期末試験の英語で90点以上取ればという条件を僕はみごとにクリアした)実のところ、僕としてはそこそこのラジカセを買ってもらえればそれで満足だったのだが、もともと買いたがりの父親は日本橋の電機店に入るなり、一目散にコンポ売り場にまっしぐら、我が家に似つかわしくないそこそこ高級品のコンポがやってくることとなった。想像以上の収穫に僕は大興奮であったが、帰りの車の中で、母親が家に着くまでずっと愚痴っていたのが記憶の片隅に…。中学2年の冬の出来事である。
そんなことで、僕の音楽生活は第一歩を踏み出した。それまでに友だちから仕入れた情報をもとに何枚かのシングル盤(そのころ流行ってたフォークソング、さだまさしとかそんなやつ)を買って聴いてみたが、なんかもっと違うのを聴いてみたい。少ない小遣いをためて、とりあえずレコード屋でかたっぱしから探してみることにした。
今でも多少そんなところがあるのだが、形から入るのが好きな僕は、「洋楽」ってもしかしてかっこええんちゃうんと思った。