スーパースターはブロンドがお好き / ロッド・スチュアート Rod Stewart
Blondes Have More Fun
■はじめてのステレオとピチパンの衝撃
 中学生くらいになって色気づいてくると、急に「テレビから流れてくる歌謡曲」以外の音楽に興味を持ったり、学校でならうリコーダーもろくに吹けないくせに、ギターを弾きたくなったりするものである。今でもそうなのかどうかはわからないが、僕らの世代はそうだった。ような気がする。
 まさに僕もそんな中学生のひとりで、親に頼み込んでステレオを買ってもらった。(期末試験の英語で90点以上取ればという条件を僕はみごとにクリアした)実のところ、僕としてはそこそこのラジカセを買ってもらえればそれで満足だったのだが、もともと買いたがりの父親は日本橋の電機店に入るなり、一目散にコンポ売り場にまっしぐら、我が家に似つかわしくないそこそこ高級品のコンポがやってくることとなった。想像以上の収穫に僕は大興奮であったが、帰りの車の中で、母親が家に着くまでずっと愚痴っていたのが記憶の片隅に…。中学2年の冬の出来事である。
 そんなことで、僕の音楽生活は第一歩を踏み出した。それまでに友だちから仕入れた情報をもとに何枚かのシングル盤(そのころ流行ってたフォークソング、さだまさしとかそんなやつ)を買って聴いてみたが、なんかもっと違うのを聴いてみたい。少ない小遣いをためて、とりあえずレコード屋でかたっぱしから探してみることにした。
 今でも多少そんなところがあるのだが、形から入るのが好きな僕は、「洋楽」ってもしかしてかっこええんちゃうんと思った。
レジで精算する時、「おっ、こいつわかってるな。」と思われんのちゃうかと思ったわけだ。そんなアホな中学生の目の前に、お誂え向きに飛び込んできたのが当時大ヒット中だったこのアルバムである。金髪のおっさんがヒョウ柄パンツのねえちゃん抱いて笑ってるジャケット。今さらながらすごい趣味だと思うけど、中学生にはセクシーと思えたのかもしれない。当時の僕に会うことができたなら聞いてみてもいいけれど…。

 今回、二十何年ぶりにこのアルバムを通して聴いたけど、けっこういい。やっぱりロッド・スチュワートは歌うまい。結局ロッド・スチュワートとはソロデビュー・アルバムとこのアルバムの2枚だけのおつきあいで終わってしまったが、それは彼が僕が思うところのロックンローラーではなかったからというだけで、素直にボーカリストとしてみてみれば、間違いなくすごいボーカリストだと思う。最近、スタンダードばかり歌ったアルバムがヒットしたみたいだが、なるほど納得である。彼の歌声はロックがどうとか、何がどうとか関係なく、あらゆる人々に訴えかけるのだろう。
そういえば思い出したことがある。あの頃、世良公則がロッドのヘア・スタイルをまねていたけど、僕もちょっと憧れていたような…。やっぱりすごいかっこいいと思ってたのかも。金髪のにやけたおっさんのこと。

リリース 1978 ロン・ウッド
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