The Chronic / ドクター・ドレ Dr.Dre
The Chronic
■形から入る人たち
 何事でもそうだが形から入るというのはよくあることだ。特に日本人は形(型)を重んじ、冠婚葬祭などはその最たるものだと思う。卑近な例で言うと、料理好きだけど作るより先に調理器具に凝っちゃう…という感じ。中身内容よりその周辺が必ず気になってしまうのだ。音楽も然り。ファッションやスタイルなど見た目から入ったり、その音楽に関連する書物をひもとくという行為もひとつの形だと思う。
 ヒップホップもそうやって形から入っていったのだと思う。俺の場合、ファッションからではなく、本とかビデオからだったけれど。入る形はともかく、あとは中身を充実させればよいのだ。幸い、ヒップホップバンドからのお誘いがあり参加させてもらった。しかも今では伝説となったECDのヒップホップイベント「チェックユアマイク」にもラッパー MC TAKAのバックでDJとして出場もできた。スペースシャワーTVで放映されたビデオを観ると、スクラッチをびしっと決めているつもりが勢い余ってよろめいていたり、楽屋裏へ行くとスチャダラパーがうろうろしていたりと、形から入った割には貴重な体験をさせてもらった。何せクラブ初体験がこのイベントだったのだから。(たぶん…)
 「この前クラブに行ったら外人に乳もまれてん。」そのイベントに出た何年か前にある女の子が俺に言った衝撃の言葉だ。もちろんその場でクラブに行く約束を取りつけたのだが、ついぞその契りは果たせなかったのである。その時かどうかは忘れてしまったが、クラブのガイドブックを買っている。その中で近田春夫が絶賛していたのが『The Chronic』だった。
 イージーEやアイス・キューブも在籍したギャングスタラップグループ『N.W.A』を脱退したドクター・ドレが次に組んだのがスヌープ・ドギー・ドッグだった。これに『N.W.A』でも参加していたコリン・ウルフがベースとキーボードを担当する。そのサウンドはサンプリングやフレイヴァとして取り入れたP・ファンクにならってG・ファンクと呼ばれる。ちなみにG・ファンクの『G』は『ギャングスタ』ではなく、『オリジナル』の『G』なのである・・・というのは私見ではなく、実際に、ドレの弟であるウォーレンGが言っているのだ。
 そのG・ファンクの特徴としてチープな高音シンセとブリブリシンセ・ベースが挙げられる。聴く限りは簡単そうな気がするが実際に作ってみようとすればとてもむずかしいことがわかる。形から入っただけの俺は言うに及ばず、アメリカはもちろん日本でも多くのフォロワーがわんさか出現したが、やはり『オリジナル』は超えられなかった。独特のオリジナルフレイヴァ=味付けができなかったのである。

 西海岸系のリリック(歌詞)は個人的に好きではない。ライバルをディスる(けなす)か、あとはヴァイオレンス、女性蔑視、スキル自慢・・・など等。その名もズバリ『The Chronic(マリファナ)』というタイトルもやばめ。英語の意味がよくわからない普通の日本人でよかったよ。わかってたら聴くにたえないかもしれない。かっこいいんだけどね。
 10数年前と比べるまでもなく、CMなどでお茶の間までラップが浸透してきている。形から入って真似するのはわかるけど、間違っても人前では「ビヤッチ」とか言わないように!!!!!

リリース 1992 スヌープ・ドギー・ドッグ
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