※「あ〜わ 頭文字お題<台詞編>」より。名前変換なし。
絶対に、抜かせない。
これは、オレ自身との、バトルだから。
オレは、日本人とハンガリー人のハーフだ。
ブロンドがかった髪と、エメラルドの瞳は、ハンガリー人である母譲り。
誰もがその容姿だけで、不躾で、無遠慮で、興味本位の視線を向ける。
もう、うんざりだ…誰もオレ自身を、見ようとはしない。
それならば、オレそっくりな人形で、充分じゃないのか。
ここには、オレの存在する必要が、ない。
オレの存在を、唯一証明出来る世界。
それが、レースだった。
ドライバーとして走っている時は、外見など関係ない。
誰よりも速く、誰よりも前へ。
テクニックだけが、実力だけが重要な世界。
誰もがオレ自身を、正当に評価する世界。
天才的な走りをする、男がいるという。
たった一人で峠を駆ける、孤高のマシン。
その『天才的』と形容される走りと、全力で勝負したいと思った。
虚無を抱えて、静かに他人を拒絶するその男と、自分が重なった。
背後に迫るライトに、ゾクゾクするほどのプレッシャー。
最初から本気で勝負してくる彼とのバトルに、高揚していた。
これほど、走る事への緊迫感を感じたことは無い。
だから、絶対に、抜かせない。
それは、本当のオレが、存在する証。
END
WEB拍手公開。<2006.2.20>
サイトUP。<2007.4.20>
WEB拍手から、繰上げ。
いろいろ行きかどうか迷ったけど、ここに置いておきます(苦笑)
まだ、航河がコンプレックスに悩んでいる感じで。
航河が慧と出会って、すぐの頃…なイメージ。
でも、決して航河×慧ではない!
戻る