※「あ〜わ 頭文字お題<台詞編>」より。名前変換なし。
夏休みが明けて、新学期を向かえた学園内。
そこに、悲鳴のような甲高い声が響き渡る。
「いやぁーっ!跡部様っ!」
優雅に黒塗りの車から降り立った彼は、その喧騒に端整な顔を歪めた。
噂は、聞いていた。
全国大会…青学との準々決勝に、氷帝学園は惜敗。
跡部は、その試合に、自分の髪を賭けた。
意識を失っても尚、コートに君臨した帝王。
でも、その場で無残にも刈られた、彼の綺麗な髪。
あんまりな、話だ…。
「おはよう、跡部。」
「…あぁ。」
「あのさぁ…その…随分、短くなったね。」
からかおうとか、慰めようとか、そんなつもりは毛頭無い。
なんでもいいから、声を掛けたかっただけ。
怪訝そうに見つめる青い瞳から、私は目が離せなかった。
後に続く、重く響く声は、どんな言葉を紡ぐんだろう。
「あぁ…まぁ、長かろうが短かろうが、変わりはねえ。
俺様は俺様だ。」
そう言って、瞳を細めると、ついと顎を上げる。
たとえ強がりだとしても、いつもの俺様っぷりは健在そうで。
それが、跡部の強さなんだと思った。
「似合ってるよ。」
「当然だ。」
「何を、今さら…。」と、呆れた顔をして、校舎へと向かう。
彼ならきっと大丈夫だと、私は足早に歩く背中を追った。
END
WEB拍手公開。<2006.2.20>
サイトUP。<2007.4.22>
WEB拍手から、繰上げ。
初めての、跡部様(笑)
やっぱり、このお題には跡部様しかいなかった。
少しでも気高いプライドが出てたら…と思うけど。
跡部様には、いつも俺様でいて欲しい。
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