※「あ〜わ 頭文字お題<台詞編>」より。
「ちょたぁ〜〜!」
自分を呼んでいる聞きなれた声に、足を止めて振り返る。
そこにはやっぱり、一生懸命こちらへ走って来る、の姿。
そんなに息を切らせなくても、辿り着くまで待っているのに。
「ちょたぁ…私、今日、最下位だったの…。」
息が整うまで待っていた俺に、上目遣いな彼女のいきなりの言葉。
苦しさに潤む瞳に少し動揺して、咄嗟に返事が出来ない。
そんな俺に、不満そうに頬を膨らます仕草も、可愛いと思う。
「もう…朝から超テンション下がりまくりだよ……。」
すっかり落胆しきった表情で、項垂れる。
最下位って、何?…と、一瞬考えて、気が付いた。
が毎朝チェックしてる、星座占いのカウントダウンだ。
「だからね…。」
やっと俺が納得した頃には、もう彼女の表情は晴れやかになっていて。
さっきまでの憂鬱がウソみたいに、本当にコロコロと表情が変わる。
今ではすっかり、何かを仕掛ける前のイタズラな瞳。
「私の、開運の、おまじない!」
そう言ったかと思うと、俺の両頬に手を添えた。
いきなりのことに、金縛りになって身動きの出来ない俺。
頭まで届かないからほっぺたね、と言いながら、優しく触れられた頬。
そこだけ、火が点いた様に熱い。
多分、顔は真っ赤になっている。
「『犬をなでる』と、リラックスできて、開運アップなんだって!」
………………やっぱり、ね。
どうして『犬』で俺を連想するのかは、もう考えるのはよそう。
がっくりと肩を落とす俺へ、大丈夫?と声をかけるに、思わず苦笑する。
「どうもありがとう!朝からちょたに会えて、よかったぁ〜!
今日も一日、頑張ろうね!」
制服の裾を翻し、翔けて行く彼女は、最高の笑顔だった。
まぁ、たまにはいいのかな、と思う。
こんなことでも、俺に会えて良かったと、が言ってくれるなら。
のあの笑顔に、俺が必要だったのなら。
『犬』扱いされたって、今日ぐらいは目を瞑ろう。
俺の大切な彼女の…俺の大好きなの……。
「笑顔のために・・・、ね。」
END
WEB拍手公開。<2008.5.10>
サイトUP。<2008.10.28>
WEB拍手から、繰上げ。
拍手の時点では、先輩にするか、同級生にするか、彼女にするか…。
実は、はっきり決めてなかったけど(^_^;)
名前変換するかも、決めてなかったしねぇ。
結局は、同級生の彼女未満な感じで、お願いします(苦笑)
占いの結果は、実際にあった内容でした。
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