※「素直になれない愛情表現 10のお題」より。
クラスの友達と、初詣に行こうと連絡が来たのは、年末の押し迫った慌しさの中。
からの電話連絡に、寒いのが苦手な私は返事に詰まった。
でも、その後に続いた彼女の言葉に、鼓動が早まる。
『あと、連絡取ってないのは、鳳君だけなんだ。なかなかつかまんなくてさ。
から、連絡してみてよ。』
叫びそうになるのを抑えて、わかった、とだけ答えた。
は、私の気持ちを知っている…私が鳳君の事、好きだって。
知っててそう言うって事は、気を利かせてくれてるってこと?
嬉しいけど、緊張で声が出ないよ…。
彼女の電話を切った後、携帯を見つめたまま、しばらく固まっていた。
もし、鳳君が行くなら、私も行こうかな。
何て言って、切り出そう…用件だけ言えばいいんだけど、それだけじゃ寂しい。
せっかくだし、少し話が出来たらいいのに。
でも、普段あまり話したこと無いのに、いきなりそんな事言われても、鳳君が困るだけ?
堂々巡りを繰り返して、私はやっと番号を押す決心をする。
だって、これ以上悩むと、電話をするには失礼な時間になっちゃうし。
別の約束が…入ってしまうかもしれない…。
数回、呼び出し音が鳴って、私はその間、息をするのも苦しくて。
それが途切れると、優しい声がすぐ傍で聞こえた。
『もしもし…。』
「あの…鳳君?私ね…。」
『あぁ、さんか。どうしたの?何かあった?』
え?私のこと、わかるの!どうして…動揺して上擦る声が、恥ずかしい。
「あ、あの…クラスの皆で、初詣に行こうって連絡が…。あ!こんな時間で、ごめんね。
鳳君が、なかなかつかまんなかったって言ってたから…。だから、私…。」
『あぁ、携帯の電源、切ったままだったから。何度も連絡くれた?ごめんね。』
「ううん…大丈夫。」
『良かった。初詣かぁ…うん、行くよ。あ、君も、行くんだよね。』
ドキン!心臓の音が、聞こえてしまいそう。
「…うん。」
『じゃ、後で、神社の前でね。』
「うん。」
携帯を握り締めたまま、呆然とする…鳳君の声が、耳の奥に残っていた。
新しい年に変わる少し前、神社の前で立っている長身の彼の姿を見つけた。
私に気付いて微笑む彼に、心臓が勝手に動きを速める。
「やぁ、さん。もう、みんな先に行ったみたいだね。俺達も、行こうか。」
「…うん。」
本当は、もう少しこのままでいたかったけど…そんな事は、言わない。
END
WEB拍手公開。<2006.1.14>
サイトUP。<2006.2.18>
WEB拍手から、繰上げ。
今年もよろしくお願いしますm(__)m なSSでした。
実は、さんは時間をずらして知らせていて、
さんとちょたを取り持とうとしていた…
という設定で、いかがでしょう?(何が??)
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