※「お天気 10のお題」より。名前変換なし。
私はいつも、彼を見上げる。
彼の笑顔の向こうには、青い空が広がって。
彼はいつも、青空を連れてくる。
「長太郎くんは、いつも空と一緒なんだね。」
そう言った私を、彼は不思議そうに見つめる。
「そうなの?自分では、わからないよ。」
頬をかきながら、私を見る彼は照れ笑い。
部活が休みで、久しぶりに一緒に帰る事が出来るのに。
今日は、あいにくの、雨降りで。
あの青空を見られなくて、私はちょっと残念だった。
「お待たせ。そろそろ、帰ろうか。」
玄関を出て、彼が手にしたのは、鮮やかな空色の傘。
なんだ…やっぱり彼は、空に包まれている。
私に向けられる彼の笑顔は、青空の下と変わらない。
どこまでも広がる、高い空。
私は、青一色の空を見上げる。
「何を、見てるの?」
ひょい、と、簡単に上から覗きこむ彼の上には、雲ひとつない。
透き通る青空に、彼の笑顔が溶け込む。
「私きっと、青空を見るたびに、長太郎くんを想い出すよ。」
「出来れば…青空を見る前に、俺を見てくれないかな。」
見上げた彼の笑顔の向こう、雲ひとつない青空。
END
WEB拍手公開。<2006.8.3>
サイトUP。<2006.11.12>
WEB拍手から、繰上げ。
チョタの顔を見ようとすると、見上げなきゃならない。
見上げたチョタの背景には、空が見えるはず…という、
ありがちなお話(苦笑)
それが、青空だったらいいな、と思う。
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