※「あ〜わ 頭文字お題<台詞編>」より。名前変換なし。
思えば私は、彼の背中ばかり見ていたのだと思う。
例えば…。
普段の姿からは想像がつかないほど、激しい闘志でラケットを振りかざす、彼の背中。
大きな応援旗を翻し、一生懸命仲間に声援を送る、彼の背中。
仲間の肩を借りなければ、立っていられないほど傷付いた、彼の背中。
大好きな仲間達と、勝利の喜びをかみしめる、彼の背中。
溢れる人の波の中からだって、彼の姿を探し当てられる自信がある。
それは、私がずっと、彼の背中ばかり見ていたから。
私は、彼が…その大きな背中が、大好きで。
同じクラスで、席も隣で、話だって出来ないって訳じゃないのに。
気持ちを伝える勇気なんてなくて、背中ばかり見ていたから。
でもたまに、ほんの少しだけでも、振り向いてくれないかな?なんて…。
彼の背中を見ている私に、気付いてくれないかな?なんて…。
そんなことを、思ってしまう。
彼の背中を見ていることしか出来ない…小心な私の、贅沢な望み。
いつか、彼がほんの少し立ち止まって、こちらに振り向いてくれたら。
いつか、私のこの気持ちを、素直に伝える事ができたら。
そして、彼の隣を同じ速さで、歩いて行く事が出来るようになったら。
どんなにか幸せだろうと、私は思っていた。
だから、今は少し近くにある彼の背中が、ゆっくりと振り返るのも。
はにかみながら、手を差し出してくれる、彼の笑顔も。
同じ速さで歩いてくれる、彼の優しさを感じられるのも。
そんな暖かく包まれるような、幸せの始まりは…。
背中ばかり見ていたから。
END
WEB拍手公開。<2007.10.15>
サイトUP。<2008.2.2>
WEB拍手から、繰上げ。
大きな背中って、かっこいいなぁ…って思います。
そんな、見惚れるような背中と言えば…と、思い付いたのはタカさんでした。
応援旗を翻すタカさんの背中って、惚れ惚れするじゃないですか(#^^#)
でかい背中に、漢気を感じますね。
でも、ずっと背中を見てるって、ヘタするとストーカーっすね…(苦笑)
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