雪待月〜Preparation



それは、いつものように、終わるはずだった。


 「どうしたって、いうんだ…一体、これは……。」

管理する者もなく、静まり返る建物。

 「ちょっと、出掛けてるだけじゃねーのか?」

ついさっきまで、誰かがいた気配の残された部屋。

 「おれ…なんか変…すげー、寒いC〜。」
 「……辛い…です…。」
 「大丈夫かい、ジロー?樺地もすごい熱だよ。」
 「くそくそっ!大人のいないこんな時に…。」

足を踏み入れた途端、身体の不調を訴える慈郎と樺地。

 「それにしても、誰もいないなんておかしいじゃないですか。」
 「まぁ、普通は考えられへんよなぁ…。」

言い知れない不安が、彼等を包む。

 「俺…下のペンションの人に、車を出してもらえるように頼んできます!」

子供の自分たちだけで、対処出来そうもなく、助けを求めたのは…。

****

それは、いつものように、終わるはずだった。


 「ここの奥って、何かあるんですかね。」

建物があることすら、彼等は気付いていなかった。

 「とりあえず、僕が行って様子を見てきますよ。」

急病人がいて、困っているという子供達の、力になろうと。

 「電波が…届かない?カズに連絡が、つかない……。」

行ったまま、なかなか連絡も寄こさず、携帯の電波は途切れた。

 「どうしたんだ、カズ!『雪』って…こんな時期に、いったい何が起きてるんだ!」

途切れがちに繋がった声が、時期ハズレの雪の存在を告げた。

****

いつものように終わるはずだった彼等の日常が。

静かに、閉ざされていく……。

しんしんと降り積もる、白い雪に覆われていく、空間。

****

彼等は、白い世界に、閉じ込められる。


END

<2006.12.24>


雪待月の、あらすじ(?)
だいたい、こんな感じの話になればいいなぁ…という、
行きあたりばったりなパラレルです。
余裕が出来たら、徐々に書いていこうかと。
もしかしたら、そのまま消えてしまう可能性もありますが…(-_-;)
期待してる人は、はたしているんでしょうか(苦笑)

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