3周年企画

 こんなすみっこサイトに、いつも来ていただいて、ありがとうございます。
 細々と…ですが、なんとか3周年を迎えることができました。
 これも遊びに来てくださる皆様のおかげです♪
 そこで、管理人の超個人的な企画にお付き合いくださればと…。
 あまり3周年とは関係の無い散文を展示していますが(苦笑)
 それでは、お付き合いくださる方は、ごゆっくりとどうぞ。

ここに来てくださる皆様に、感謝を込めて。

■月光(頭文字D)
いつも見慣れた、峠の駐車場。
密やかな光を送る月の下、オレ達は、ここから始まった。

見上げれば、月明かりにゴツゴツとした妙義山の山肌が浮び上がる。
その、荘厳な姿には、いつ見ても圧倒される。

オレの前には、月光に照らされて、淡い輪郭を描く漆黒の車体。
その傍らで、紫煙を纏う男の姿は、あの時から変わらなくて。

あの時から、これからも変わらずに、オレ達はここにいる。
あの時から、これからも変わらない、月に照らされて。

あの月光はいつも、オレ達を照らし続ける。

■追憶(星のまほろば)
時折、記憶の隅を過ぎるのは、幾重にも紡がれた過去に生きた、彼者の姿。
私が私である以前の…彼としての命を生きていた刻の記憶。

あれから時は流れ、そんな記憶が薄れていくのを見計らうように。
まるで『忘れてくれるな。』と、訴えるように、私の記憶の片隅に現れる。

彼の記憶を忘れる事など、私には到底出来るはずが無い。
私として生きる今も、彼は私を縛り付けているのだから。

だが、今の私の記憶を占めているのは、あの時運命を共にと誓った、半身の彼と過ごした時間なのだ。

半身としての宿命を受けた者と、遺恨に凝固まってしまった彼者を開放するための。
その闘いの記憶を、忘れてしまうわけが無い。

■冷眼(転生学園幻蒼録)
背後から忍び寄る、冷酷な獣の気配。
付近を取り囲む天魔の群れが、凍り付いたようにその動きを止める。

魔狼 大和 ―― 僕の魂の化身…魂神と呼ばれるモノ。

低く唸りを上げながら、僕の横に並び、天魔に向けて一瞥をくれる。
途端に、足元から冷気がたち上り、氷の刃となって天魔を討ち払う。

視界に入るモノ全ての生命を凍らせ、冷艶に、冷血に、冷然に、光を放つ。
その大和の冷ややかな視線は、僕の心の奥底で燻る何かを呼び起す。

魂神の姿は、僕の心…大和は、僕に潜んだ魂の具現化。
気弱な心の裏側に隠されて、冷眼を秘めた僕は眠る。

■言い訳(星のまほろば)
いつも、僕のこと子供扱いするから。
僕だって、もう子供じゃないですよ。

やっぱり、本気にしてなかったでしょ。
余裕ぶってたら、足元すくわれるって。

僕はずっと、言ってたじゃないですか。
僕はずっと、あなたが、好きですって。

あなたはいつも、冗談だろうって笑うから。
気付かなかったあなたにも、責任はある。

そんな言い訳を並べて、僕は自分を正当化する。

■2人(頭文字D)
速い奴が走るって情報は、瞬く間に走り屋連中に広まっていく。
そんな噂を聞けば、誰だって黙ってはいられないだろう。

その峠ごとに、見応えのあるポイントを探す。
コースで一番の勝負どころは、人それぞれだろうけど。
やっぱ、実際に走る奴にしか感じることが出来ない場所がある。

俺なりに最高のポジションで、奴等が迫ってくるのを待っていた。
その隣には、いつも…あいつがいて。

 「つるんでるって、誤解されんだろ!離れやがれ!」

いつも俺と同じ感覚を持っている、悪態を吐くあいつと2人なんだ。

■8時間(頭文字D)
明日の講義が休講になったから…と、転がり込んだ昨日は木曜日。
金曜日の今日、当然あいつは仕事で、こめかみ辺りを押さえつつ、慌しく出て行った。
出掛けるなら鍵は郵便受けに突っ込んどけ、と、それだけ言い残して行った、朝の8時。

一人残されてぼけっとしている事に、耐えられたのは午後3時まで。
まだ日は高く、社会は否応なしに活動している。

でも………そんなこと、知ったことか!

だいたい、1日の労働時間ってのは、なんで8時間なんだ?
それが…こんなに長いなんて……。

【残業無視して、とっとと帰りやがれ!】―― それがオレなりの、社会への反乱

■残り香(星のまほろば)
薄っすらと戻りつつある意識の中、隣にあったはずの温もりへと手を伸ばす。
だが、伸ばした腕は空を切り、パタリとベットに沈むだけ。
深く沈んでいたオレの意識は、急速に引き上げられた。

昨夜は確かに、この手の中にあったのに。
いつだってあの人は、オレの腕からすり抜けてしまう。

溜め息を吐いて、温もりの残るそこへうつ伏せになる。
残されたのは、あの人を思い出させる、整髪料の香り。

 「何をしている?そろそろ起きたらどうだ。」

身支度を済ませ、呆れたようなあの人の声に、オレは枕に埋れて苦笑する。

■余韻(転生学園幻蒼録)
視界の端に、天魔に押されている飛鳥が映った。
初陣の彼を気遣えなかった自分に、舌打ちする。

目の前の天魔を一閃し、飛鳥の元へと駆け寄った。
圧し掛かっている獣の姿の天魔を、印で封じる。

「大丈夫か?」と手を差し出すと、しっかりと握り返す。
その手の強さ、悔しげに見つめる視線…俺の勘に狂いはなかった。
「いけるな。」その問いに、飛鳥は黙って頷いた。

じっと見つめた掌に、あの時の余韻が残っている。

俺が成すべき役割は、あの手を死守することなのだと、暮れゆく郷を見下ろした。

■ルール(頭文字D)
生きていくからには、何かとルールは付きまとう。

   社会的ルール
        交通ルール
            道徳的ルール
                   …倫理的ルール……。

犯罪を、犯してはならない……交通規則は、守らねばならない…。
人としての善悪を正しく判断し………モラルに反する行為は、禁忌とされる。

軽微な犯罪も、交通法規違反も、人間関係のいざこざも、無意識に起こしていることもあるだろう。

自らルールを討ち壊したのは、あいつに惚れたことだけだ。

■虹(転生学園幻蒼録)
鬱蒼と木々が茂る林の中、そこにあるのは無残な屍。
たった今、自分が討ち果たした、天魔の残骸。

あの人を失ってから、もうどれくらい、繰り返しているだろう。
何かの気配を感じるたびに、懐の小刀へ自然と身体が動く。
ショボショボと振りそぼる雨の中、濃い緑の匂いが辺りを包む。

林を抜けると、雲が開けた部分から射し込む、一筋の陽光。
雨粒を反射して、7層に重なり空を渡る橋。

『その橋の麓には、願いを叶える金の壷が埋まっている。』と言う。

それが本当なら、俺の願いをかなえて欲しい…俺の、たった一つの、願いを。

END


■あとがき
「10行以内で、散文を書いてみよう。」をテーマに、勝手に企画。
少しは、ストーリー性を感じてもらえたら、いいのですが…。

□月光(頭文字D)… 慎吾視点。
  2人の始まりの、妙義峠頂上駐車場。あの時と同じ、月光を感じて。

□追憶(星のまほろば)… 埴史視点。
  あの時の記憶を思い返せば、すべて、水支との記憶に繋がる。

□冷眼(転生学園幻蒼録)… 若林視点。
  魂神は、心の具現化。誠の中には、冷たい視線を放つ魔狼が眠る。

□言い訳(星のまほろば)… 知風視点。
  空見でも通じそうだけど、あえて知風で。冗談の中の、隠れた本心。

□2人(頭文字D)… 中里視点。
  3rdステージ(劇場版)ネタ。いつも、一緒の2人。

□8時間(頭文字D)… 慎吾視点。
  平日に中里の部屋に押しかけた慎吾。仕事から帰るのを待つ、8時間。

□残り香(星のまほろば)… 水支視点。
  一緒に夜を過ごした次の朝。消えた埴史の残り香に、切なさを感じる水支。

□余韻(転生学園幻蒼録)… 九条視点。
  以前書いた作品を、九条の視点から。この先に起こる自分の定めを感じた時。

□ルール(頭文字D)… 中里(?)視点。
  中里のつもりだったけど、慎吾でもいいかもしれない。ルール無用な想い。

□虹(転生学園幻蒼録)… 飛鳥視点。
  いつも同じパターンのような気がする…(苦笑)雨の日に架かる虹に、願いをかけて。

ここまで見ていただいて、ありがとうございます。
ゆるゆる更新なサイトですが、これからもよろしくお願いします。
<2006.11.4> 管理人:てるた

いろいろUP。<2006/12/24>

3周年企画を、そのまま持ってきました。
お題の一文字目の字をならべると、
サイト名になっているのは、こっそり秘密です☆彡
たいした意味はなかったけど、一応、記念だし(^_^;)

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