残夢 のこんのゆめ 様
「あれ?大月くんじゃないですか?」
「あ、ほんとだ。」
資料室の入り口で、中を伺う女性社員。
中にいるのは、今年一押しの新入社員、大月くん。
「わざわざ自分で、返しにくるんだ…なんか、新鮮。」
「最近、うちらに頼む人が多かったですしね。」
バサバサバサッ…。
盛大に音を立てて、手元から書類がこぼれる。
「あ、どじっこ…。」
「封書挿めたまま来ちゃったのね。結構、焦ってる?
なんか、かわいい。」
「いつもはおすましさんだからねぇ…
それにしても、あの封書の数は、どうよ。」
「あれって、見るからに個人的…。」
「業者からで無いことは確かだね。」
背後からの気配に同時に振り向くと、庶務課の社員が2人の間からそっと覗き込んでいる。
「あの封書って、全部取引先の女性名で、しかも大月くん御指
名。」
「…ってことは、他社からも大月くん狙いがいるってこと?」
「ま、そういうことね。」
「ライバル多数…。」
「返事、知りたい?」
「「是非!」」
『お手紙、拝見いたしました。…………今後とも、より一層の
ご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。』
「もちろん、社名入り便箋・封筒で、頭語・結語も完璧に…。
すでに、個人的な返事じゃないですからっ!残念!」
「ほんと…残念。」
文章は、私が勝手に作って付け足してしまったものです(汗) 恩を仇で返してますか?すいません…。
いつもありがとうございます、文次郎様。 何もお返しできない自分が申し訳ない。