However



嵐のような2人が去った後、スタンドに残されたlonly driver's 3人組。
精気の抜けたような池谷に、健二と樹はただ側で見守ることしかできなかった。

 「…真子ちゃん(うるうる)」
 「池谷先輩、拓海のチョコ握り締めたまま、トリップしてますよ〜。どうするんですか!健二先輩!」
 「今はそっとしてやれ、樹…。時間だけが、あいつの傷を癒す事が出来るんだ…。」
 「とりあえず、チョコは箱に入れときますかね…。」

樹は、池谷がぎゅっと握り締めている指を静かに解いて、チョコを取り戻した。

 「あんまり強く握るから、箱がひしゃげちゃうじゃないっすかぁ…。」

取り戻したチョコをじっと見つめて、樹はそのまま固まってしまった。
しばらくの沈黙…健二が何事かと側に近寄ると…。

 「なんすか、これ〜!」

近寄った途端に、樹の叫びをまともに受けて、健二はキンキンする耳を押さえながら、眩暈に耐えた。
そんな健二を気にもせず、樹は身体をワナワナと震わせてチョコを見つめる。

 「大変ですよ、健二先輩!このチョコ、沙雪さんからじゃなくて真子さんからです!」
 「はぁ〜?なんで真子さんが、拓海にチョコなんて…。」
 「拓海じゃなくて!これって……これって…池谷先輩になんすよ〜!」

衝撃を受ける2人。
すっかり終わってしまっていると思ってたのに…所詮、こいつもlonly driverなのさ、と思ってたのに、仲間だったのに、 走り屋に女はいらねえ!と思ってたのに〜!
2人の心の中に、一瞬ドス黒い感情が湧き上がった。
 (このまま、封印してしまうか……。)
ニヤリと不気味に微笑む健二と樹。
何も知らない池谷は、まだ悲しみの余韻から抜け出す事が出来ずにいた。
秋名Speed Starsは、今まさに崩壊の危機にさらされていた。



その頃の、慎吾と沙雪。

 「なぁ、それにしても、真子ちゃんからだって言わなくてよかったのか?」
 「何言ってんのよ!アンタが急かすから、言えなかったんじゃない。」
 「あぁっ!オレの所為かよっ!」
 「あたりまえでしょ!ま、あんだけいるんだから、誰かが気付くわよ。」
 「…それも、そうだな。」



その後、池谷の元に真子からのチョコが届くかどうかは、神のみぞ知る。


END



これは、池谷救済処置…になるのだろうか?
とりあえず、池谷くんと真子ちゃんにはうまくいって
ほしかったなぁ…と思います。
もう、無理なんですかねぇ。

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