週末、30冊を超える少年誌掲載単行本を抱えた慎吾が、いつものように転がり込んだ。
そして、アルコールを片手に、真剣に読みふけっている。
同じゼミの仲間が既刊分を全巻買い揃えているのを、一気に借りたらしい。
中里は、今更少年誌なんて、一体どういう風の吹き回しかと訝しんだ。
だが、慎吾がそれほどまでに真剣に読みふけっているものが何かも気になった。
だから、慎吾が読み終えた1巻につい手を出してしまい…。
気が付けば、2人ともその単行本を夢中になって読み込んでいた。
「なぁ、こいつって、お前っぽくね?」
そう言って慎吾に見せられたのは、やけに大人びた、いかめしい顔をしたキャラで。
確かこの作品は、中学生が主役だと思ったが、どう絡むキャラなのかと不思議に思った。
「なんか、馬鹿が付くほどお堅くて、真面目で、プライド高くて、自信ありありで。
おまけに、親父くさくてよ。でもさぁ、主役のルーキーに負けちまうんだぜ。」
中里は、これは中学生なのか!と、どこか違うところに一瞬気を取られ、はっと気付く。
慎吾が並べたこのキャラの特徴が、先に言った「お前っぽい。」にかかっているのだと。
確かに慎吾に比べれば堅いかもしれない、真面目でプライドも高いかもしれない。
それに…ルーキーに負けたというのも、その通りなのだから文句は言えなかった。
だが、慎吾がそれを言うなら、中里にも言いたい事はある。
「お前だって、こいつに似てねえか?」
中里が指差したのは、感情が高ぶり、興奮に目を充血させる、攻撃的なキャラだった。
残虐的で、挑戦的で、負けず嫌いで、そのキレっぷりは、以前の慎吾のようだ。
「あぁ?マジかよ…。しかも、負けてるし…。」
結局慎吾も、悔しいが、文句は言えないのだ。
(ってことは…この生意気なルーキーが、あのハチロクの野郎ってことか?)
お互いに同じような事を考えて、それを口には出さないで。
諦めたように、溜め息をついた。
先に読み進めていた慎吾が、中里を呼んだ。
その手元を覗き込むと、儚げに笑うキャラが描かれている。
「誰かに、似てると思わねえ?」
『王者』と呼ばれるチームの部長として頂点に立ち、その儚い容姿の裏に底知れぬ力を秘めた…。
天性のカリスマ。
「「高橋涼介!!」」
思い当たる人物の名が、同時に口を吐いて出て…。
思いつくんじゃなかったと、頭を抱える2人だった。
END
WEB拍手から、繰上げ。
もう、言うまでもなく、あの作品です(汗)
二人して、マンガなんて読んでたらいいなぁ…ってのがネタ。
中里=「真田」、慎吾=「赤也」、拓海=「リョーマ」、涼介=「幸村」
まぁ、あくまでも管理人のイメージを無理矢理こじつけただけなんで…(^_^;)
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