番外編「空見君、がんばる!」



もうすぐ、クリスマス。
今年のクリスマスは、埴兄ちゃんと一緒にいるんだ。
だって、25日はお休みだって、ちゃぁ〜んとリサーチ済だし!
給湯室小話3参照(笑)
でも、最近の埴兄ちゃんは、あんまり家にも遊びに来てくれないし。
来ても用事が出来たってすぐに帰っちゃうし。
な〜んか、変なことに巻き込まれてるんじゃないのかな?
埴兄ちゃんは、人がいいから。
それに、いつも誰かと一緒に居るみたいだし。
埴兄ちゃんは、ボクのお嫁さんになる人なんだから、ボクが守ってあげなくちゃ!
変な人に騙されないようにね。
それで、最近の埴兄ちゃんの交友関係を探って見たんだけど…

●伊佐さん   この前、埴兄ちゃんの探していた本を会社まで届けに行ったって。
なんで、わざわざ会社まで行くの?もしや…!要チェックその1!
●宇津木さん  いつか埴兄ちゃんが、今時の高校生にしては珍しく、立ち姿の凛とした青年だった。
って、褒めてた事があった。最近の埴兄ちゃんには会ってないみたいだけど…でもチェック!
●大学の助教授  たまに一緒に飲みに行くって言ってたし。でも、あの人はそういう関係(!)
にはなりそうも無いんだけど…とりあえずチェック!
●江藤さん  この人が一番怪しい!最近ちょくちょく会ってるみたいだし…。
そういえば、この前用事が出来たって帰るとき、外で待ってたみたいだった!
これは、最重要チェックかもしれない!

あとは、会社の人とか近所の人とかだけど、それはノーマークでも大丈夫そうだし。
とりあえずは、この4人をマークということで。
パタンッ、とモバイルを閉じて、行動開始と行きましょう!



今日は塾の日、伊佐さんのクラスも授業がある日。
授業の前に、伊佐さんのクラスに遊びに行った。

「伊佐さん、こんにちは!」

伊佐さんは、いつものあの笑顔で迎えてくれた。
でも、今日は騙されないぞ!埴兄ちゃんを守るんだ!

「やぁ、空見君。今日はどうしたの?いつもより早いね。」
「うん、ちょっと伊佐さんに聞きたい事があるんだけど…」
「何だろう、空見君が僕に聞きたい事なんて…怖いなぁ。」
「あのね、伊佐さんは今年のクリスマスはどうするのかな?と思って…」
「今年のクリスマス?」

伊佐さんは、ちょっと首を傾げて考えているようだった。
ボクには言えない様なこと?まさか、埴兄ちゃんと…!
不安な数分間…いや、たった数秒だったのかもしれない。
そして、ボクの耳元にそっと囁いた。

「実はね、火足ちゃんを僕の家に招待して、2人でクリスマスパーティーをしようと思ってたんだ。
 まだナイショなんだけどね。」

少し頬を赤らめて、嬉しそうに笑った。
空見君も来る?って、誘われたけど、ボクだってそれほど無粋じゃないから、遠慮させてもらいます。
これでチェックリストから2人消えた。



チャットに入ると、ちょうど助教授が入ってきた。
ラッキー!周りはクリスマスの話で盛り上がってきた所だし、どさくさに紛れて探りを入れちゃおう!

グリフォン>>先生は、クリスマスのご予定は?
サラマンダー>>クリスマス?大した興味無いが、見目麗しい男をはべらせてくれるなら大歓迎だぞ!
グリフォン>>結構、身近にも見た目いいオトコが居るんじゃないですか?
サラマンダー>>あぁ、あいつか?最近は真面目にやってるみたいだから、つまらんな。
グリフォン>>真面目に?
サラマンダー>>今のところ、予定は無さそうだが。講義も出てるしな。ところで、お前の所のいい男は空いてるのか?
グリフォン>>予約済です!!
>>退室。

助教授も、あの調子だと大丈夫だろう。これで3人消えた。
それに、思わぬところで情報入手!
でも、予定が無さそうなんて、ますます怪しいじゃないか!
まさか、もう2人で約束してるんじゃ…そんなの、だめだ!
やっぱり先に、埴兄ちゃんと約束しちゃった方がいいのかな?
なんか、すごく、心配だ。



ボクだってわかってるんだ。
いつまでも甘えてばかりじゃ、ダメだって事ぐらい。
埴兄ちゃんは優しいから、ボクが我侭言えばいくら忙しくても来てくれる。
いつも笑って、ボクの話を聞いてくれる。
本当は、超常現象の話なんて苦手なはずなのに。
だからボクは、もっと大人にならなくちゃって思う。
埴兄ちゃんを守れるぐらい、心も体も大きくならなきゃいけないって思う。
でも今のボクに、埴兄ちゃんは大きすぎる。
今、埴兄ちゃんを守れるのは…悔しいけど江藤さんぐらいじゃなきゃダメなんだ。
悔しいな。今のボクは、非力だ。
埴兄ちゃん、悔しいよ…

「埴兄ちゃん、ボク、クリスマスに欲しいものがあるんだけど…」

埴兄ちゃん、ボクは意地悪です。
悔しいから、我侭です。



「埴兄ちゃん、今日お泊りしていくでしょう?ボク、久し振りに一緒に寝たいよぉ。」

埴兄ちゃんの腕を掴んで、精一杯甘えてみて、今のボクに出来る事。
きっと行ってしまうだろうけど、今はボクだけの埴兄ちゃんでいてね。
そのうち、埴兄ちゃんより大きくなって、ボクが守って見せるから。
それまでは、甘えさせてね。


END


がんばって、空見君です。
これって本当は、もっとコミカルにしようと
思ってたはずなのに、何故か最後は
愚痴っぽくなっちゃいました。
結局てるたには、痛い話しか書けないと
いうことなのかな?

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