休講になった午後、なんとなくぶらつく街。
向こうから駆けてくる見覚えのある姿に、思わず口元が綻ぶ。
「やぁ、ちかちゃん。そんなに走らなくても、逃げないよ。」
「こんにちは、先生。僕、先生に聞きたいことがあって…会えてよかったぁ。」
軽くあがる息を整えながら微笑む彼に、昔の辛そうな表情は見られない。
「ん?なにかなぁ。」
期待半分、不安半分…オレは続く言葉を待つ。
「先生は、いろんな女の子に優しいよね。」
「えー…あぁ、まぁねぇ…。」
いきなりの台詞に、苦笑いして。
「それで、本気で好きになった人になかなか信用してもらえないとしたら、
先生だったらどうしますか?」
「え…?」
本気で好きになった人…頭に浮かぶのは、たった一人の姿。
日頃の行いの所為か、オレの想いはなかなかあの人には届かない。それなら…。
「何度でも…何度でも、伝えるかな。オレの想いが、大事な人に届くまで。
まぁ、それがなかなかうまくいかないんだけどね。」
「ふぅん…やっぱり、そうなんだ…。」
そう言って、納得したようにちかちゃんは頷いた。
「どうしたんだい?急に、そんなこと聞いたりして…。」
「先生、気になる?今ね、クラスの女子がやってるゲームがあるんだけど。
男の人が、告白してくれるってやつ。そのゲームに、ちょっと軽くて、女の子大好きで、
でも本命の子には本気に取ってもらえないっていう男の人がいるんです。
その人が、不器用だけど必死に伝えようとしてくれるところがいいんだって騒いでたから。
女の子は、そういう状況が好きなんだなって。先生も、うまくいくといいですね。」
何か勘繰るように、ちかちゃんは笑った。
なるほどね…でも、オレの大事な人には、通用するんだろうか。
「じゃあ、オレも、頑張ってみようかな。」
まぁ、ゲームのような、恋愛も悪くない。
END
WEB拍手から、繰上げ。
言うまでもなく、某ゲームの影響を受けまくりです(^_^;)
はぅ〜…自分でも、何をしてるんだかと思いますが…。
それでも、とりあえず繰り上げてみました。
生温い目で、見てやってください(苦笑)
埴史SIDE
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