「大月さん!」
背中にかかる、柔らかい澄んだ声。
振り向くとそこに、嬉しそうに駆け寄る少年の姿が映る。
「やぁ、知風くん。」
「こんにちは、大月さん、今、お話しても、いいですか?」
気を使うように見つめる知風が、上目遣いに覗きこむ。
「あぁ、大丈夫だよ。」
「あの…大月さんは、困ってる人がいたら、自分が忙しくても助けてあげますか?」
「それは、そうだろうね。出来るだけの事はしようと思うが…。」
今回は、何を思いついたのか…知風や空見には、いつも突飛な発想で驚かされる。
少し身構える私にクスリと笑って、知風は言葉を続ける。
「大月さんは責任感が強いから…自分の仕事も頼まれたことも、きちんとしようとするんでしょ。」
「そんなに、大袈裟な事ではないさ。出来る事をするだけだからね。」
「でもね…。」
一旦、言葉を切る知風に、自然と私まで息を飲んでしまう。
「そうやって皆に親切にしてると、一番大事な人に心配させちゃいますよ?
忙しいのに、無理してないですか?とか。」
「心…配…?」
見上げる知風の不思議に揺らめく瞳が、じっと私を見返して思わずたじろぐ。
「でもきっと、それを口には出さないで、黙って見守ってくれる…。」
その言葉に、ある人物が思い浮かんだ。
何も言わないその人物は、こんな自分をどう思うのか?
「…そういう人が、気になるんですって。ゲームで知りました、僕。」
「え…?ゲー…ム…?」
「はい。クラスの女子がやってるゲームで、男の人はそんな女の子を好きになっちゃうんです。
大月さんも、そうですか?」
にっこりと口元に笑みを乗せる知風は、どことなく意味深で。
あぁ、またしてもやられたな…と敗北感を味わう事になる。
ゲームに恋愛感を教えられるとは、我ながら情けない。
END
WEB拍手から、繰上げ。
言うまでもなく、某ゲームの影響を受けまくりです(^_^;)
はぅ〜…自分でも、何をしてるんだかと思いますが…。
それでも、とりあえず繰り上げてみました。
生温い目で、見てやってください(苦笑)
水史SIDE
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